死に戻ったら冷淡だった夫が離れてくれないので今度こそ幸せになるためやり直します

倉桐ぱきぽ

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メイド長を探せ2

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 ホリーは、「最後にもう一つ、」聞いてみた。

「あなた、デボラ・ズッチーナというメイドを知ってる?」

 十年後の世界では、メイド長にまでなっている人物である。今現在、どこかでメイドをしていてもおかしくはない。

「デボラ?」

 メアリーは少しの沈黙のあと、「そういえば……」と口を開いた。

「ハーラングロー男爵の愛人の一人に、アイリーン・ズッチーナという女がいるわ。彼女こそ本物の、『旦那様のお手つきメイド』よ。まぁ、今は『元』だけどね。その愛人と男爵との間に、娘がいるらしいわ」
「娘⁉ ハーラングロー男爵の? デボラが?」
「多分ね」

 男爵は娘を引き取りたかったが、正妻から猛反対されてできなかったのだと、メアリーは教えてくれた。

「それで、あたしは結局、クビなの?」

 メアリーが尋ねるのに、ホリーはきょとんと首を傾げる。

「誰がそんなこと言ったの?」
「じゃあ……」
「よろしくね」

 そう返事をすると、ホリーは、夫人に挨拶をして家を出た。



 翌日も、ホリーはレイと一緒に出かけた。
 レイが仕入れた情報によれば、デボラはとある男爵家の屋敷でメイドとして働いているという。 
 
 メアリーのことは、おぼろげながら覚えていたが、デボラがいつ屋敷に来たのか、全く覚えていない。
 少しでも彼女のことを知りたいと、ホリーは思っていた。

 デボラが働いている屋敷までは、レイが流しの馬車を捕まえてくれた。
 二人は裏口で待ち構え、数人の使用人から話を聞くことができた。彼女を褒める人もいたが。

 中には「あなたたち、メイド派遣協会メイキョーの覆面調査員でしょ!」と勘違いして、不満をぶちまけていく若いメイドもいた。

「仕事はサボるし、手抜きだし。それで失敗は全部、他人ヒトのせい! そもそも、あの子、上の人間にはいい顔して、あたしたちのことは完全に見下してるんですよ!」

 彼女が言うには、ある男爵がデボラの後見となっていて、それを鼻にかけているらしい。
 ここの旦那様もその男爵とのつき合いから、デボラが仕事に不真面目でも、あまり強くは言えないのだと言う。

「ホント、イヤな女」

 彼女は最後に、そう、吐き捨てた。
 
 一時間ほど話を聞いて、ホリーは切り上げることにした。

「帰りましょう」

 ここまでつき合ってくれたことに感謝を言って、ホリーはレイを促した。

「デボラには、会わなくていいんですか?」
「充分、話は聞けたから」
「ホリー様は、ノットルダム子爵家の話を知ってますよね。ハーラングロー家の養女が子爵の愛人となって、その後、その愛人が妻を追い出したという」
「えぇ」
「ホリー様は、それと同じことが起こるのではないかと、懸念しているのではないですか? ハーラングロー男爵が、デボラを使ってリヒト様を……」

 そうねと、ホリーはうなずいた。

「この先、彼女が悪意を持って、私の前に現れた時には、今度こそ、容赦はしないけどね」

 ホリーは答えて、歩き出す。その後を一歩遅れて、レイもついて来たが。少し行ったところで、彼はまた足を止めた。背後を振り返って、何かを見ている。

「どうかした?」

 ホリーが尋ねると、レイは「いいえ」と答え、また歩き出した。

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