悪役令嬢なのにイケメン新キャラとチートなヒロインに振り回されてるんですが⁉

倉桐ぱきぽ

文字の大きさ
7 / 9

悪役令嬢にルート改変は無理だけど

しおりを挟む
「アリ、シア……」

 声がうまく出なかった。心臓が、不穏にスピードを上げる。
 ずんずんと、アリシアが歩いて来る。近づくにつれて、その表情も見えてきた。きゅっと口を結んで、眉根を寄せている。
 すぐ側で立ち止まったアリシアは、明らかに不機嫌だった。彼女は、ゆっくりと口を開く。

「抜けがけはナシだって、言ったでしょ」

 そう言って、アリシアが、にらみつけたのはレオンで。

「へ?」

 思わず、声が漏れた。二人には、聞こえなかったらしい。
 
「君が勝手に言っただけだろう」

 すぐさま、レオンが言い返し、アリシアも応酬する。

「私に協力してくれるって、言ったじゃない」
「君も、俺に協力すると言ったじゃないか。だったら、今、協力してくれ」
「それ、ズルい!」

 二人は、ズルい、ズルくないと言い争う。ケンカするほど仲が良いなんて言うけど。

 ……って、のんきに見てる場合じゃなかった。

「ちょっといい?」

 私はアリシアの腕を引っ張った。レオンから少し離れて、尋ねる。

「ねぇ、アリシア。あなた、レオンのことが好きなのではなくて?」
「何、それ? 誰が言ったの?」
 
 そんなの、でまかせよ。アリシアは言って、そんなことよりと、話を替える。

「ねえ、イザベラ。一緒に収穫祭、行かない?」
「えっ⁉ 私?」

 どうなってるの?
 アリシアと一緒に収穫祭へ行くのは、個別ルートが確定した人物。
 誘う相手、間違ってない?
 そう思った瞬間。目の前が真っ白になって。

 ──思い出していた。

 リメイク版を買わなかった理由。

『リメイクで生ぬるくなった。監禁とかのバッドエンドは、一切なし。ルークのストーカー設定は削除、イザベラも事件を起こさない。悪役令嬢どころか、ただのお友達。取ってつけたようにイザベラルートが追加されたけど、乙女ゲームに親友エンドは必要なし!『なんだ』好きにはオススメしたくない』

 そんな低レビューを見たからだった。

 つまり、この状況は、イザベラルートへの入り口らしい。
 それどころか、リメイク版のこの世界では、イザベラはただのクラスメイトで、ざまぁ死もしない……。
 何で、忘れてたんだろう。この二ヶ月は、一体、何だったのよ。
 
「……ベラ、イザベラ?」
「え、何?」
「だから、収穫祭。公園にね、旅一座の見世物や、食べ物の屋台がたくさん、出てるんですって。きっと、楽しいわ」
「そうね」
  
 とりあえず、美味しいものをお腹いっぱい食べたい気分。
 
「じゃあ、行きましょうか。アリシア、レオン」

 私は、二人の腕をとる。
 取ってつけたような親友ルート? 
 そもそも、私にはルート改変なんて、できないんだから。
 だったら。
 これからは、思いっきり、元・悪役令嬢の人生を楽しむことにした。


           ─ 終 ─

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢として役を頂いたからには、最後まで演じきりたいです!

椎名さえら
恋愛
私は転生した侯爵令嬢。 ほどほどの家柄、ほどほどの容姿、ほどほどの人生に 満足していたのだがある日、自分に《ふられた》役目が 前世で読んでいた某恋愛小説の悪役令嬢だと知った。 そうですかそうですか じゃ、やったりますよ! ヒーローとヒロインはちゃんとくっつくんだよ!? 恨みを買わない程度に楽しんで演じていたら、 ど、どうして!? 貴方はヒロインだけ見ていればいいんだよっ! そうじゃないと物語通りにならないじゃん!! ___________________________ 動機。 ちょっと主人公に影がある作品を書きすぎて メンタルやられて、明るいやつ書きたくなった。 なんで、【いい人】しか出ません笑 軽い話を読みたい方にオススメ。 ★誤字脱字はスルー方向で…もう何回見直してもいつだって其処にある ★どうかどうか優しく見守ってください ★マイテーマソングはチェーンスモーカーズの【Young】

【完結】夜会で借り物競争をしたら、イケメン王子に借りられました。

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のセラフィーナには生まれつき前世の記憶があったが、覚えているのはくだらないことばかり。 そのどうでもいい知識が一番重宝されるのが、余興好きの国王が主催する夜会だった。 毎年余興の企画を頼まれるセラフィーナが今回提案したのは、なんと「借り物競争」。 もちろん生まれて初めての借り物競争に参加をする貴族たちだったが、夜会は大いに盛り上がり……。 気付けばセラフィーナはイケメン王太子、アレクシスに借りられて、共にゴールにたどり着いていた。 果たしてアレクシスの引いたカードに書かれていた内容とは? 意味もなく異世界転生したセラフィーナが、特に使命や運命に翻弄されることもなく、王太子と結ばれるお話。 とにかくツッコミどころ満載のゆるい、ハッピーエンドの短編なので、気軽に読んでいただければ嬉しいです。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。 小説家になろう様への投稿時から、タイトルを『借り物(人)競争』からただの『借り物競争』へ変更いたしました。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。 これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは? 命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。

前世は有名コーヒーチェーン店で働いてたので、異世界で再現してみようという話

くじら
恋愛
王立学園の薬学科には、いつも白衣を着て調合室でコーヒーを淹れている女学生がいる。 彼女の淹れるコーヒー(という回復薬)を求めて、今日も学生がやってくる。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。 ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。 邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。 「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」 そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

処理中です...