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東京トラム
東京トラム(11)
しおりを挟むハルはドアの上を見上げた。
そこには東京都交通局仕様の路線図があって、東京メトロの9つの路線より、都営の4つの路線のほうが太い線で表現されている。
右下から左上へ、弓なりにブルーの三田線。
右下から右上へ、斜めにローズの浅草線。
左から右へ横断する、ライトグリーンの新宿線。
そして、横長の楕円を描くパープルの大江戸線。
なかでもパープルの楕円は中央にあってよく目立つ。
もっとも、正確にいえばそれは楕円ではなく、パープルのラインは、左回りも右回りも都庁前駅に向かって合流する形になっている。
ジシェの話によれば、円環のためにルジェが構築した環状地下空間は、真円なら直径10キロ近くになるという。
大江戸線と同じくらいの大きさだろうか——と、ハルは考えたものの、まるで想像がつかなかった。
(日本橋から飯田橋は東西線、飯田橋から駒込は南北線……)
視線でスカイブルーのラインを飯田橋まで、そこから北へはエメラルドグリーンのラインを追って行く。
これで東京の地下鉄13路線のうち、9つの路線に乗ったことになる。
残りは丸ノ内線のレッド、千代田線のグリーン、副都心線のブラウン、そして大江戸線のパープル。
日本橋駅は、南北に並行する銀座線と浅草線のホームを東西線のホームが結ぶ形になっていて、浅草線の2番線から東西線へはホーム中央に直結した改札口を抜け、短い階段を降りればすぐ。
浅草線は日本橋方面改札、東西線は江戸橋一丁目交差点方面改札。
東西線も本数が少ない時間帯で、ミチルの推奨に従い、待っている間にホームの端から端まで歩いていく。
飯田橋駅の乗り換えで都合がいいらしい。
「でも、最近はスマホのアプリも充実してるし、便利になってるよ」
(そのスマホアプリを、ひとつも起動しないで乗換案内できるポジっていったい……)
モジャコは思い悩む。
中野行きの電車に乗って飯田橋駅へ。
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