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4 商会
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「こっちに来るってどういう事よ!?」
そう叫んだのは針子のトリである。
「まぁまぁ、往復分の時間が浮くと思えばそんなに悪い話でも無いだろ?」
トリをなだめるのは服飾部門の責任者、ルパート。
「奥様は元貴族なんでしょ?」
「元侯爵令嬢だな」
「侯爵・・・せめて子爵令嬢であれば。って、うちの店はそんな方をもてなす作りにはなってないのよ!フィッティングルームは狭いし埃っぽいし、椅子だって硬くてテカテカだし、絨毯だってカーテンだって」
「まぁ、そうぶつぶつ言うな」
声が大きいので丸聞こえである。
「あ、あの・・・」
声をかけられてトリとルパートが振り向いた先には黒髪に透けるような肌のゴージャス美人とその侍女とおぼしき女性が立っていた。
艶のある黒髪に何もかも見通すような青い瞳。この方が奥様に違いない、2人は直感した。
確かにトリのいう通りフィッティングルームは狭くて埃っぽかった。しかし、店舗にある布地は当然ながら普段スーザンが目にするものと遜色はない。
わざわざ屋敷まで運んで貰った少ない布地から選ぶより店舗の方が色々選べて楽しいのでは?
そんな事を考えながら様々な布地を見ていると
「やはり、奥様のお眼鏡にかなう布はこちらにはありませんか」
そう言いながらルパートが裏から布地を取ってきた。
それはこれまで見たことのないような布地だった。
「こちらは、東方の貴重な布でして、いかがです?このオリエンタルな紋様。あとから模様を刺繍するのではなく、織り込んであるのです。不思議でしょう?それにこの手触り。」
そう言われて触れた布はツルツルとしていて心地よかった。
「これは流行りますよ。本当でしたらもっと買い付けたいのですがなかなか旦那様の承認が取れなくて。」
ルパートはそう言ってうっとりと布地を見た。そしてチラリとこちらを見る。
目は奥様から旦那様を説得して欲しいと、訴えていた。この男なかなか策士のようだ。
「素敵な布ね。旦那様はどうしてダメだと?」
このところ流行っているオリエンタリズムはまだまだ続きそうだ。この布であれば多少無理をして入手しても十分採算は取れるだろう。
「さぁ。旦那様はこちらには興味がありませんから。旦那様が興味を持たれるのは鉄道、船舶、観光ですよ。ハロー商会を支えてきたのは服飾部門だというのに!」
なるほど。旦那様は服飾部門にあまり好かれていないようである。たしかにこの部屋一つ取ってみても商会があまり力を入れていないのがみて取れる。
これは良くない。ハロー商会は近年鉄道や船舶にも手を伸ばしているが、元々は街の洋品店から大きくなったのだ。
初心を忘れてはいけない。
服の採寸をされながら何故服飾部門を蔑ろにするのか確認しようと考えた。
しかし、男性というのは船や鉄道が好きなものである。
そう言えば彼も・・・
『船が好きだ。蒸気船は特にいい。』
『乗ったことはありますの?』
『ないよ。でもいつか乗ってみたい。いや、蒸気船を持ってそれで事業できるくらいになりたい。ゾナーの港に行くといつも蒸気船が見られるそうだ。』
『ゾナーと言えば今度王都から鉄道が通るそうですわね』
『そうだ。鉄道も蒸気の力だ。これからは馬車ではなく鉄道で移動する時代になるさ』
そう言いながら彼は蒸気船の模型を大切そうに飾棚に戻した。
そう言えば、彼にあげた初めての刺繍の柄は船だった。
彼と別れてからも何かにつけて刺す柄は船や鉄道が多かった。
そう叫んだのは針子のトリである。
「まぁまぁ、往復分の時間が浮くと思えばそんなに悪い話でも無いだろ?」
トリをなだめるのは服飾部門の責任者、ルパート。
「奥様は元貴族なんでしょ?」
「元侯爵令嬢だな」
「侯爵・・・せめて子爵令嬢であれば。って、うちの店はそんな方をもてなす作りにはなってないのよ!フィッティングルームは狭いし埃っぽいし、椅子だって硬くてテカテカだし、絨毯だってカーテンだって」
「まぁ、そうぶつぶつ言うな」
声が大きいので丸聞こえである。
「あ、あの・・・」
声をかけられてトリとルパートが振り向いた先には黒髪に透けるような肌のゴージャス美人とその侍女とおぼしき女性が立っていた。
艶のある黒髪に何もかも見通すような青い瞳。この方が奥様に違いない、2人は直感した。
確かにトリのいう通りフィッティングルームは狭くて埃っぽかった。しかし、店舗にある布地は当然ながら普段スーザンが目にするものと遜色はない。
わざわざ屋敷まで運んで貰った少ない布地から選ぶより店舗の方が色々選べて楽しいのでは?
そんな事を考えながら様々な布地を見ていると
「やはり、奥様のお眼鏡にかなう布はこちらにはありませんか」
そう言いながらルパートが裏から布地を取ってきた。
それはこれまで見たことのないような布地だった。
「こちらは、東方の貴重な布でして、いかがです?このオリエンタルな紋様。あとから模様を刺繍するのではなく、織り込んであるのです。不思議でしょう?それにこの手触り。」
そう言われて触れた布はツルツルとしていて心地よかった。
「これは流行りますよ。本当でしたらもっと買い付けたいのですがなかなか旦那様の承認が取れなくて。」
ルパートはそう言ってうっとりと布地を見た。そしてチラリとこちらを見る。
目は奥様から旦那様を説得して欲しいと、訴えていた。この男なかなか策士のようだ。
「素敵な布ね。旦那様はどうしてダメだと?」
このところ流行っているオリエンタリズムはまだまだ続きそうだ。この布であれば多少無理をして入手しても十分採算は取れるだろう。
「さぁ。旦那様はこちらには興味がありませんから。旦那様が興味を持たれるのは鉄道、船舶、観光ですよ。ハロー商会を支えてきたのは服飾部門だというのに!」
なるほど。旦那様は服飾部門にあまり好かれていないようである。たしかにこの部屋一つ取ってみても商会があまり力を入れていないのがみて取れる。
これは良くない。ハロー商会は近年鉄道や船舶にも手を伸ばしているが、元々は街の洋品店から大きくなったのだ。
初心を忘れてはいけない。
服の採寸をされながら何故服飾部門を蔑ろにするのか確認しようと考えた。
しかし、男性というのは船や鉄道が好きなものである。
そう言えば彼も・・・
『船が好きだ。蒸気船は特にいい。』
『乗ったことはありますの?』
『ないよ。でもいつか乗ってみたい。いや、蒸気船を持ってそれで事業できるくらいになりたい。ゾナーの港に行くといつも蒸気船が見られるそうだ。』
『ゾナーと言えば今度王都から鉄道が通るそうですわね』
『そうだ。鉄道も蒸気の力だ。これからは馬車ではなく鉄道で移動する時代になるさ』
そう言いながら彼は蒸気船の模型を大切そうに飾棚に戻した。
そう言えば、彼にあげた初めての刺繍の柄は船だった。
彼と別れてからも何かにつけて刺す柄は船や鉄道が多かった。
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