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第三十話 一人じゃ行きにくい所その六

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「ふ~ん・・・・・・」

 幸が健太を見る。

「健太君って、この遊園地は初めて?」  

「うん。今週、友達から絶叫アトラクションに乗った話を聞いてから乗りたくて」

「そうなんだ」

「でも、土日はお父ちゃんもお母ちゃんも仕事で行けなくて、いつもだったら穴間市あなましの爺ちゃん婆ちゃん家だったんだけど・・・・・・」

 健太が登を見る。

「お母ちゃんから叔父ちゃんが連れて行ってくれるって言われて」

「姉ちゃんから頼まれたんだ。連れて行って欲しいって・・・・・・」

「でも、叔父さんのおかげでここに来られたから良かったよ。ありがとう!」    

 健太が笑顔で言うと、

「・・・・・・どういたしまして」

 登は少し照れくさそうに返事をした。

「登さんって、お仕事は何をされてるんですか?」

東奈和市ひがしなわしの郵便局で、郵便配達をやっています」

「へぇ~もしかして、住んでるのも東奈和市ですが?」

「はい。アパート借りて住んでます」

「そうなんですか。あたしは今、永戸市ながとしでアパート借りて住んでるんですけど、元々は東奈和に住んでまして」

「そうなんですか、俺はさっきの健太の話でもわかってるとは思うんですが、元々穴間に住んでて、でも穴間より都会の永戸に行きたくて、高校は永戸の高校に」

「ちなみになんという高校ですか?」

永牧商業高校ながまきしょうぎょうこうこうです」

「えっほんとですか?あたしもです」

「えっ、うそ!」

「すごい、奇遇ですね!」

「ほんとですね!」

「じゃあ──」

 その後、二人の会話がしばらく続き、それを見ていた健太が口を開く。
 
「ねえ、お姉ちゃん達が良ければ、午後からも一緒にまわらない?」

「いや、それはさすがに厚かま──」

「うん、いいよ。お母さんはどうかな?」

「あたしもいいわよ」

「やったー」

「えっ、いいんですか?」

「はい」

「じゃあ、みんな食べ終わったみたいだし、次のに乗りにいきましょうか」

「うん」

 その後、四人はいろいろなアトラクションで楽しみ、時間は流れ夕方になった。




  
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