上 下
79 / 109

第七十八話 幸せからの・・・・・・その四

しおりを挟む
「幸にはそう思わせる何かがあるんじゃないかと私は思う」

 もしかして、あたしの感情が顔に出るのと関係あるのかな?・・・・・・。

「ちなみに幸の感情が顔に出やすいのと関係あるのか、ないのかは正直わからない」

 ・・・・・・あたしの心が読めるの⁉

「でも、全員とは言わないが、心当たりがあるんじゃないか?」

 幸は昴と駿河が思い浮かんだ。

「・・・・・・」

「思い当たるようだな。あとはその逆で思ったほど、受け入れてもらえなくて浮気したとか・・・・・・」

 幸は猛が浮気相手と布団の中で激しく身体を揺らして、声を荒げていたことを思い出す。

「くっ!」

 幸が思わず、うつ向く。

「それも思い当たるようだな。しかも相当嫌な思い出として」

「・・・・・・」

「あと例外として、お前の胸に満足できなかったとか・・・・・・」

「うっ!」

 今度は悟を思い出した。幸はさらにうつ向いた。

「それも思い当たるようだな・・・・・・豊胸手術受けるか?金は出してやるぞ!」

 幸が雅彦を睨む。

「冗談だ。そう怖い顔をするな」

 あんたのは冗談に聞こえないんだよ!

「こんだけ前の彼氏に浮気されてると・・・・・・今の彼氏にも浮気されるかもな」

「!」

 幸がテーブルを平手で叩く。

「登さんはそんなことしない!」

「・・・・・・そう思って、今まで散々浮気されてきたんじゃないか?」

「でも、登さんは今までの彼氏とは違う!」

「・・・・・・それはどうだかな」

「・・・・・・」

「さて、そろそろお開きとするか」

 雅彦が伝票を取ろうとすると、

 「!」

 幸が伝票を奪うように取る。

「あんたなんかに奢られたくない!」

「・・・・・・そうかい。後悔しても知らんぞ」

「後悔なんかしない!」

「・・・・・・ふっ」

 雅彦が立ち上がる。

「うっ!」

 雅彦が突然、胸を押さえて苦しみ出した。幸がそれに気づく。

「ちょっと、どうしたの⁉」

 幸が駆け寄る。

「・・・・・・くっくっくっ」

「?」

「はははは」

「⁉」

「すまない。あまりにもあっさり騙されるもんだから思わず・・・・・・」

「はぁ!」

「そう怒るな。こうでもしないとなかなか幸の顔を近くで見れないと思ってな」

「ふざけないで!」

「・・・・・・」
 
 幸が会計をし、二人は店を出ていく。




 



 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

愛されない王妃は、お飾りでいたい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:752pt お気に入り:13,540

【連載版】「すまない」で済まされた令嬢の数奇な運命

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,606pt お気に入り:164

【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:6,426pt お気に入り:825

王子殿下の慕う人

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,391pt お気に入り:5,371

転生した悪役令嬢の断罪

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:10,466pt お気に入り:1,591

目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:27,407pt お気に入り:3,283

石女と呼ばれますが......

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,644pt お気に入り:45

【完結】婚約破棄の代償は

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,061pt お気に入り:386

処理中です...