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新たな奴隷
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ドアの開く音に意識が戻った。入ってきたのはプリムラとつなぎを着たふたりだ。立ち上がって出迎える。
「さて、交渉だな」
大きく膨らんだリュックが床に置かれた。
「擬似魔力器官は五つあった」
数まで違うんだな。
「品質は申し分ない。ひとつ百万ディルといったところか」
「……」
予想以上の額を聞いて真顔になる。それでも安く見積もられているのかと勘ぐってプリムラを見るが、反応はなかった。プリムラでも相場がわからないらしい。
「他のパーツが合わせて百万ディル、合計六百万ディルだな」
リーパーを一体倒しただけでこれか。適正価格なのかどうかに疑問は残るが。
「師匠はよく買い叩きますが、今回は適正だと思います」
ビオラとやらが口を開いた。
「師匠ではなく、ご主人様と呼べ」
「師匠は師匠なんで」
なるほど、奴隷なんだな。それで弟子でもあると。よくわからない関係性だ。
「売るか売らないか、どうする?」
「……売ろう」
初めからそのつもりではあったし。適正と言いつつも、ふたりして嵌めにかかってる可能性はある。が、どこかに騙されても構わないという気持ちはあった。
おっぱいに免じて全てを許そう。
「交渉成立、と言いたいところだが」
おっぱいが腕を組んでおっぱいをことさらに強調してきた。
「今、まとまった金がない」
「……」
まさかの展開。確かに店の外観は儲かってそうに見えなかったけれど。
「そこでだ、奴隷は必要ないか?」
奴隷、だと……?
「このビオラは気立てが良い」
ああ、そっちか。おっぱいが奴隷になってくれるのかと思ったのに。挟んでもらうところまで想像した。
「それに処女だったな?」
「はあ、そうですが」
ビオラは呆れたような目でおっぱいを見る。
「性奴隷として立派に務めるだろう」
「……」
「師匠みたいにおっぱいがないので、どうですかね」
「こいつの目を見ろ。今にもお前に襲い掛かろうとしているぞ」
「師匠のおっぱいをがん見してます」
別におっぱいがなくてもいいのだが……。
「子供じゃないのか?」
「む、私は矮人族だから背が低いだけです」
そういう種族なのか。
「それと、手先が器用なのが矮人族になります。それほどマイナーな種族ではないと思っていたのですが」
ドワーフみたいなイメージで良さそうだ。
「で、どうする。支払いの代わりに奴隷を引き渡すのは」
俺はいいんだけれど。どうしても奴隷自身の意思が気になってしまう。
「ビオラは俺の奴隷になることをどう思う? それも性奴隷にだ」
「私ですか? いいんじゃないでしょうか」
「……」
あっさりすぎて、やっぱり真顔になるしかなかった。
「リーパーのパーツは中々市場には出回りませんからね。師匠が手に入れたい気持ちはわかります」
倒せるやつが少ないってこと?
「リーパーを相手にしたのは初めてか?」
「そうだな」
「忠告しておく。味を占めて何体も倒そうとするなよ」
普通にやろうと思っていたのだが。
「リーパーを倒したことを自慢して飲んでいたやつらはいつの間にか見ないようになる。リーパーが現れる以上の仕掛けが迷宮にある可能性が高い。死にたくなければ止めておくことだ」
お金に目がくらんだ馬鹿は早死にする世界か。
「そんな事情もあって持ち込みが少ないんですよね。どうせ師匠のことですから、あなたが私を奴隷にしなくても売られちゃいますので。そのお金で買い取りをすることになるでしょう」
「方法のひとつだ」
なるほど。改めて考えると奴隷一人六百万ディルなら安い気がしてきた。人の価値に値段をつけるのにはまだ抵抗感があるけれど。
ビオラは少し大人びた表情をするが可愛げのある顔をしている。正直悪くない。というか、ちょっと興奮してきた。
「どんな人に買われるかわからないのであればリーパーを倒せる人のほうがいいですね」
あまり期待されても困るのだが。
「性奴隷でも構わないのですが、ひとつだけ条件が」
「なんだ?」
「たまにでいいのでここに働きに来てもいいでしょうか?」
「俺は構わない」
「師匠も構いませんか?」
「好きにしろ」
交渉成立だな。
「さて、交渉だな」
大きく膨らんだリュックが床に置かれた。
「擬似魔力器官は五つあった」
数まで違うんだな。
「品質は申し分ない。ひとつ百万ディルといったところか」
「……」
予想以上の額を聞いて真顔になる。それでも安く見積もられているのかと勘ぐってプリムラを見るが、反応はなかった。プリムラでも相場がわからないらしい。
「他のパーツが合わせて百万ディル、合計六百万ディルだな」
リーパーを一体倒しただけでこれか。適正価格なのかどうかに疑問は残るが。
「師匠はよく買い叩きますが、今回は適正だと思います」
ビオラとやらが口を開いた。
「師匠ではなく、ご主人様と呼べ」
「師匠は師匠なんで」
なるほど、奴隷なんだな。それで弟子でもあると。よくわからない関係性だ。
「売るか売らないか、どうする?」
「……売ろう」
初めからそのつもりではあったし。適正と言いつつも、ふたりして嵌めにかかってる可能性はある。が、どこかに騙されても構わないという気持ちはあった。
おっぱいに免じて全てを許そう。
「交渉成立、と言いたいところだが」
おっぱいが腕を組んでおっぱいをことさらに強調してきた。
「今、まとまった金がない」
「……」
まさかの展開。確かに店の外観は儲かってそうに見えなかったけれど。
「そこでだ、奴隷は必要ないか?」
奴隷、だと……?
「このビオラは気立てが良い」
ああ、そっちか。おっぱいが奴隷になってくれるのかと思ったのに。挟んでもらうところまで想像した。
「それに処女だったな?」
「はあ、そうですが」
ビオラは呆れたような目でおっぱいを見る。
「性奴隷として立派に務めるだろう」
「……」
「師匠みたいにおっぱいがないので、どうですかね」
「こいつの目を見ろ。今にもお前に襲い掛かろうとしているぞ」
「師匠のおっぱいをがん見してます」
別におっぱいがなくてもいいのだが……。
「子供じゃないのか?」
「む、私は矮人族だから背が低いだけです」
そういう種族なのか。
「それと、手先が器用なのが矮人族になります。それほどマイナーな種族ではないと思っていたのですが」
ドワーフみたいなイメージで良さそうだ。
「で、どうする。支払いの代わりに奴隷を引き渡すのは」
俺はいいんだけれど。どうしても奴隷自身の意思が気になってしまう。
「ビオラは俺の奴隷になることをどう思う? それも性奴隷にだ」
「私ですか? いいんじゃないでしょうか」
「……」
あっさりすぎて、やっぱり真顔になるしかなかった。
「リーパーのパーツは中々市場には出回りませんからね。師匠が手に入れたい気持ちはわかります」
倒せるやつが少ないってこと?
「リーパーを相手にしたのは初めてか?」
「そうだな」
「忠告しておく。味を占めて何体も倒そうとするなよ」
普通にやろうと思っていたのだが。
「リーパーを倒したことを自慢して飲んでいたやつらはいつの間にか見ないようになる。リーパーが現れる以上の仕掛けが迷宮にある可能性が高い。死にたくなければ止めておくことだ」
お金に目がくらんだ馬鹿は早死にする世界か。
「そんな事情もあって持ち込みが少ないんですよね。どうせ師匠のことですから、あなたが私を奴隷にしなくても売られちゃいますので。そのお金で買い取りをすることになるでしょう」
「方法のひとつだ」
なるほど。改めて考えると奴隷一人六百万ディルなら安い気がしてきた。人の価値に値段をつけるのにはまだ抵抗感があるけれど。
ビオラは少し大人びた表情をするが可愛げのある顔をしている。正直悪くない。というか、ちょっと興奮してきた。
「どんな人に買われるかわからないのであればリーパーを倒せる人のほうがいいですね」
あまり期待されても困るのだが。
「性奴隷でも構わないのですが、ひとつだけ条件が」
「なんだ?」
「たまにでいいのでここに働きに来てもいいでしょうか?」
「俺は構わない」
「師匠も構いませんか?」
「好きにしろ」
交渉成立だな。
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