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第4話
初めての共同作業 15
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「もうっ! 何やってるのっ!?」
龍虫に攻撃を仕掛けて逆に跳ね飛ばされた女たちを見て俺は呆れた。
相手は自分たちの何十倍も巨大な生物。それに対して彼女たちは強い一撃を加えたのだ。
結果として質量に大きく差がある彼女たちの体は吹き飛ばされる。当然だ。こういった場合は、薄皮一枚切る程度の攻撃で良かったんだ。自分の攻撃力が逆に仇となることを彼女たちは知らない。
「あなた達っ、巨大生物と戦ったことがないのっ!?」
俺に怒鳴られた魔法使いは狼狽えてコクコクと頷くばかり。
なんてこと? これじゃ、戦士系はただの足手まとい・・・。と、俺が思った時、1人、ナタリアだけが龍虫の首に大斧を突き刺してぶら下がっているのが目に見えた。
そこは龍虫の動脈部分。龍虫にとっては小さな傷だが動脈である以上、かなりのダメージとなる。
「・・・凄いわ。ナタリアはぶら下がったまま斧を手放さない。」
その執念、もはや呆れるばかりである。
アルバートを追って突撃を続ける龍虫はナタリアを連れ去りながら疾走する。土属性の龍虫は土の中を水の中のように動ける。
その速度にナタリアは耐えているのだ。凄まじい鍛錬をしてきた証だ。
「きゃあっ!! アルバート様っ!
早いっ!! カッコいいっ!!」
俺は思わず声を上げてしまう。
龍虫を巧みに誘導するアルバートはハヤテのごとく大地を駆け抜けた。この男に馬は必要なのだろうか? そんな気さえしてしまう。
しかし、いつまでも黄色い声を上げて騒いでいるわけにもいかない。俺は岩場の上からアルバートの動きを予測して魔法を打つタイミングと場所を決定する。
「皆っ!! 今から詠唱を始めてっ!
俺の合図とともに指定する場所に魔法を放って! 場所はあの小高い坂の上っ!! アルバートは必ずそこに龍虫を誘導する。いいわねっ?」
「はいっ!! ローニャお姉様っ!!」
ナタリアの女たちは俺の命令に従って各々が魔法を詠唱し始める。さらに俺は神官の娘にも指示を出す。
「あなたは爆発が起きたら、脇目も振らずに突撃してナタリアを救って!!」
「はいっ!!」
全員への指示が終わると、俺は自身もファイアーボールを詠唱する。
「おお、偉大なる炎の美男子。我が友イーフリートよ。
光と敵対する悪を焼き尽くすための一灯を我に貸し与えたまえ。
炎を投げつけ世の悪性を打ち滅ぼしたまえ。
善なる義務を果たし給え・・・。」
準備は整った。あとはこの娘たちがきちんと遠距離から魔法を打てるかどうか・・・。と、俺が思った時、異変に気が付いた。
「・・・遅くなっている。」
そう、ナタリアの攻撃が効果を発揮しだしたのだ。龍虫は出血により動きが鈍くなっていたのだ。これならいけるっ!
俺は確信し、龍虫が予定の場所に来た時に合図する。
「よしっ! 放てっ!!」
それと同時にナタリアの女たちが魔法を射出した。それは龍虫の顔面にヒットし、魔法は目くらましのように爆発する。
龍虫は悲鳴を上げて体をのけぞらし、顎の下をさらけ出した。
「ファイアーボールっ!!」
俺が射出した火球も正しく龍虫の頸部を破壊するのだった。
龍虫に攻撃を仕掛けて逆に跳ね飛ばされた女たちを見て俺は呆れた。
相手は自分たちの何十倍も巨大な生物。それに対して彼女たちは強い一撃を加えたのだ。
結果として質量に大きく差がある彼女たちの体は吹き飛ばされる。当然だ。こういった場合は、薄皮一枚切る程度の攻撃で良かったんだ。自分の攻撃力が逆に仇となることを彼女たちは知らない。
「あなた達っ、巨大生物と戦ったことがないのっ!?」
俺に怒鳴られた魔法使いは狼狽えてコクコクと頷くばかり。
なんてこと? これじゃ、戦士系はただの足手まとい・・・。と、俺が思った時、1人、ナタリアだけが龍虫の首に大斧を突き刺してぶら下がっているのが目に見えた。
そこは龍虫の動脈部分。龍虫にとっては小さな傷だが動脈である以上、かなりのダメージとなる。
「・・・凄いわ。ナタリアはぶら下がったまま斧を手放さない。」
その執念、もはや呆れるばかりである。
アルバートを追って突撃を続ける龍虫はナタリアを連れ去りながら疾走する。土属性の龍虫は土の中を水の中のように動ける。
その速度にナタリアは耐えているのだ。凄まじい鍛錬をしてきた証だ。
「きゃあっ!! アルバート様っ!
早いっ!! カッコいいっ!!」
俺は思わず声を上げてしまう。
龍虫を巧みに誘導するアルバートはハヤテのごとく大地を駆け抜けた。この男に馬は必要なのだろうか? そんな気さえしてしまう。
しかし、いつまでも黄色い声を上げて騒いでいるわけにもいかない。俺は岩場の上からアルバートの動きを予測して魔法を打つタイミングと場所を決定する。
「皆っ!! 今から詠唱を始めてっ!
俺の合図とともに指定する場所に魔法を放って! 場所はあの小高い坂の上っ!! アルバートは必ずそこに龍虫を誘導する。いいわねっ?」
「はいっ!! ローニャお姉様っ!!」
ナタリアの女たちは俺の命令に従って各々が魔法を詠唱し始める。さらに俺は神官の娘にも指示を出す。
「あなたは爆発が起きたら、脇目も振らずに突撃してナタリアを救って!!」
「はいっ!!」
全員への指示が終わると、俺は自身もファイアーボールを詠唱する。
「おお、偉大なる炎の美男子。我が友イーフリートよ。
光と敵対する悪を焼き尽くすための一灯を我に貸し与えたまえ。
炎を投げつけ世の悪性を打ち滅ぼしたまえ。
善なる義務を果たし給え・・・。」
準備は整った。あとはこの娘たちがきちんと遠距離から魔法を打てるかどうか・・・。と、俺が思った時、異変に気が付いた。
「・・・遅くなっている。」
そう、ナタリアの攻撃が効果を発揮しだしたのだ。龍虫は出血により動きが鈍くなっていたのだ。これならいけるっ!
俺は確信し、龍虫が予定の場所に来た時に合図する。
「よしっ! 放てっ!!」
それと同時にナタリアの女たちが魔法を射出した。それは龍虫の顔面にヒットし、魔法は目くらましのように爆発する。
龍虫は悲鳴を上げて体をのけぞらし、顎の下をさらけ出した。
「ファイアーボールっ!!」
俺が射出した火球も正しく龍虫の頸部を破壊するのだった。
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