あばずれローニャ

黒神譚

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第4話

初めての共同作業 16

俺の放ったファイアーボールは龍虫の頸部の真ん中を貫通し大穴を開けた。
頸部の大穴から脊髄が完全に破壊されていることも目視確認ができた。
一撃で絶命した龍虫は痙攣けいれんさえすることなく地面に倒れ落ちた。
大きな地響きと舞い上がる砂煙が龍虫の重量が伺い知れた。

そして、その巨体をも貫通した俺のファイアーボールを見てナタリアの女たちが黄色い声を上げる。

「凄いですっ! ローニャお姉様っ!!」
「もしかして今のはLV5ですかっ!? 凄い、凄いっ!!」

あっという間に俺はナタリアの女たちに囲まれてしまった。

「お、おい。それよりもナタリアは? 無事か?」

勝利に酔いしれていたナタリアの女たちは、俺の言葉で我に返ってナタリアの元へと走っていった。
彼女達の後ろ姿を見ながら
(・・・ナタリア。大丈夫かな?
 大分、手ひどく龍虫に引きずられていたけど・・・)と心配になった。
チャームはそんな俺に(大丈夫なんじゃない? アルバートもいる事なんだし)と、軽く答えた。
(あ、それもそうか・・・彼、最高峰の神官騎士だしな。)

そう楽観視しながらナタリアの元へと歩いて行った俺はたどり着いた先でゾッとした。
ナタリアの体は地面で大きく削られ、血まみれとなり、息も絶え絶えだったのだ。

「ナタリアっ!! 大丈夫っ!?」

大丈夫なわけがない。しかし俺は反射的にそう声に出してしまったのだ。
ナタリア配下の神官の娘は泣き声を押し殺しながら俺の声に応えるように黙って左右に首を振った。
彼女の涙が絶望的な状態であることを教えてくれる。

大地に肉を大きく削がれた腕からは骨が見えていたし、出血も止まることが無かった。
こんな状態になって斧を手放さなかったのか・・・。
誰もがナタリアの根性に言葉を失った。そして同時に彼女の根性が裏目に出たことを悔やんだし、瀕死となったナタリアの様子を見て、その場にいた全員がナタリアの死を覚悟した。

「ナタリアお姉様っ!!」

誰もが泣きながらナタリアの名前を叫んでいた。それが別れの儀式のように俺は思えた。

だが、背後から近づいてきたアルバートが「どけっ!!」と、泣いている彼女達を乱暴に押しのける。
そして、ナタリアの隣に座ると祈祷を始める。

「おお、いと慈悲深き光の神々よ。救いたまえ。
 闇の力に倒れし者を憐れみ給え。
 この者の日々の信心と我が信心に免じて傷を癒したまえ。
 かしこみ畏み願いたてまつらん。」

彼が治癒の祈りを捧げるとその場に光が満ち、見る見るうちにナタリアの体が再生される。
その奇跡の力を目の当たりにした俺が
「こ、これがLV5の治癒・・・!!」と、驚きの声を上げたときにはナタリアの傷はすっかり癒えていた。

アルバートは死の淵から目を覚ましたナタリアに優しく話しかける。

「やぁ、ナタリア。大丈夫かい?」
「は、はい。アルバート様」

そしてナタリアの無事を確認すると俺に向かって自慢げに言うのだった。

「どうだい? 私も中々のものだろう?」

全く、負けず嫌いなんだから・・・。

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