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22 不治の病いかもしれません。

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「クラリスがあんまり可愛いし、もう子供じゃないとか、娼婦にイイコト聞きに言ったとか言うからなんか頭に血が上っちゃったみたいで!
そしたらクラリスが目を回しちゃったんですよ!!だから寝かせただけです!!
俺だって男だから下心はありますけど、そんなんじゃないです!!」
グレッグは必死だ。生命の危機だもんね。

「まあ、童貞には刺激が強かったよな」と大兄ちゃん。
「童貞にはなぁ?」ちょっとドヤ顔のサムにいちゃん。

「クラリスが座るのは硬い木の椅子よりも柔らかいベッドの方がいいと思っただけなんです!
惚れてる女の子ならみんないい方に座らせてやりたいって思うでしょ?
それだけですから!!!」

「まあ、わからないではないな」「だな」とお兄ちゃんたち。

「惚れてるだとお?お前相当年上だろ?」
お父さんがまたグレッグを睨みつける。

「俺より上だよね、確か」
大兄ちゃん、それ今必要な情報?
「ロリコンかよ」
ぼそっとサム兄ちゃんが呟く。

「違いますよ、ロリコンじゃないです。
だから大人になるのを待ってたんです!本当ですから!!
絶対に、手なんて出してませんから。大事な子なんです!!」

「前から妙にクラリスの周りをチョロチョロしてると思ったんだよなぁ。
ふうん?今、俺の頭の中にはお前の殺し方をどうするかってことしかないよ。」
お父さん、物騒、物騒だから!
ここはもう、私がグレッグを守るしかない!
グレッグ!今日は私が守るからね?!

私は、ダン!と床を蹴って立ち上がった。

「やめてよ!仕方ないじゃん。クラリスは病気なんだから!
心臓と気鬱の病になっちゃったんだよ!!!
だから倒れちゃったんだよ!グレッグのせいじゃないからね!」

もう我慢できない、ちゃんと説明してるのに、なんでずっと怒り続けてるのよ。

「病気だあ?」
お父さんが胡乱げに私を見る。

「そうだよ?私、知ってるんだから!
グレッグを見ると心臓がドキドキして大騒ぎするんだよ!
昨日なんて、グレッグが私の目を覗き込んだりするから、もう心臓が部屋中踊り回るぐらい激しく鳴っちゃって大変だったんだからね!
八百屋のジョンさんのおばあちゃんと同じ病気なんだから!
心臓病って言うんだよ!!
もう子供じゃないから、何だって知ってるんだからね?

それに、花屋のミーシャだって言ってたもん!
大兄ちゃんを見ると、息が苦しくなって、顔が赤くなって、話せなくなる気鬱の病だって!

お母さんだって、そうだったんでしょ?病気だから死んじゃったんでしょ?私と同じ病気だったんでしょ?
だからお母さんのこと教えてくれないんでしょ?
私、このまま心臓病と気鬱の病で死んじゃうんだ。うええええええん」

私は悲しくなって思い切り泣き出してしまった。

突然、猛獣の雄叫びのような声が響きわたった。

「うおおおおおおおおおおおおおおん」

何と、さっきまですごい勢いで殺気を放っていたお父さんが大泣きしていた。

まるで涙が噴水のように吹き上げている。
本当にこんな人、いるんだ。

「俺の~俺の~俺の天使があああああああああ、
うちの末っ子があああああああ
男なんかに、男なんかに‥‥‥
うおおおおおおおおおおおおおん」

耳が潰れるほどの大きな鳴き声をあげて、お父さんは食堂から飛び出して行ってしまった。

私はびっくりして涙が引っ込んじゃったよ。

一体、何が起こったの?

もしかして、猛獣?それとも、魔獣?

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