全寮制男子校

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交流会が終わり次のイベントは体育祭だ。俺達の学校は七月に行う。そして夏休み学祭って感じで一年を過ごす。

早く体育祭が来て欲しい…。身体を動かしたくてウズウズする。
今は二週間後に迫る体育祭の出場選手を決める時間だった。


「体育祭何出るかな」



「そんな事は気にしなくていい。俺達のクラスには優秀な委員長が居る。任せていればバランスの良い配分になってるだろ」



球技大会の時もそうだったがこの委員長やり手である。ちゃんとクラスメイトのバランスを見て誘導してくる。将来凄腕の秘書とか良いと思うぞ。



「そうだな…。俺もそれには賛成だ」



翔も同じことを思ってるんだろう。
手を挙げて俺達三人は委員長に任せると言った。
少し委員長の顔色が青いのは気にしないほうがいいな。



『わかりましたっ!責任を持って種目選びます!』



「あぁ…よろしく頼む」



良い返事だ。俺も頷きながら返事を返す。
教壇の横の椅子には先生がほんわか笑いながらクラスを眺めてる。幸せそうだ。



『これで決定で大丈夫ですか?』



委員長がクラス全体に確認を取った。
俺は借り物競争と騎馬戦と最後のリレーの第一走者。
異論はない…騎馬戦…戦だ。


「俺は短距離と騎馬とリレー第二走者だから剛からバトンもらえるな。異論なし」



「俺も似たようなもんだぞ。騎馬と障害とリレーのアンカーだ」



俺達三人は殆ど花形競技に決まり団体競技は残りの生徒で構成されていた。
リレーの残り一人は俺達三人の次に足が早いヤツが選ばれた。


これならまた優勝行けるぞ…。勿論優勝の景品は決まっている。



『後は体育の時間を使って各自練習していきます!今年も優勝目指して頑張りましょう!』



委員長の挨拶でクラスが湧き上がる。
もしかしてまた生傷の絶えないクラスメイトが増えるかもしれない。
努力してる証拠だから俺は止めたりはしないが優勝の為に一致団結は素晴らしい。

無事に決まって寮に帰るかと三人で校舎を出る。
ん?何か…校門の辺りが騒がしい…。



「なんだ?」



結構な数の生徒が入り口を囲んで立っている。中心には何があるのかと近づいて様子を見てみる。



「は?」



中心にはワカメと橋本が立っていた。
その前にはボロボロの若潮。数歩下がって知らない制服を着てる生徒が二人。
外見で普通の生徒じゃない事はわかる。カラフルな頭の色をしていた。
ワカメが何か叫んでいて内容こっちまで聞こえて来る。



「お前らっ!なんで…」



「祐が高校別のところ行ったから探したんだよ。なぁ…また俺らと遊ぼうぜ」



「ふざけるな!セイジをこんなにしてっ。」



「はぁ?こいつが勝手に絡んできたんでしょ?俺ら関係ないし」



取り敢えずワカメの知り合いなんだろう。それは分かった。ワカメの同じ中学校だったヤツらという事か?
高校が違うと言っていた。



「ってかさー。祐こっち転校してこいよ。この学校楽しい?話し方も変わってさ…何があった?」




「俺はっ…前みたく我儘に生きるのは辞めたんだ。この学校の連中は俺を変えようと頑張ってくれたしいっぱい善悪話をしてくれた。
お前らみたいに適当に好きな事をルールも無くやるのは間違ってる」




ワカメがまともな事を言っている。ワカメが最初暴走していたのはこの二人が原因か。
改めて生徒会と一年二人がワカメを普通の人間にしたのかと感動する。


「っち…なんだ?本当に祐なのか?こんなつまんねぇ人間に成り下りやがって。この学校クソだな」



「お前が何か言っても俺はそっちには行かない。だから帰れ!」



「帰るわけねぇだろ…アホが。てめえ連帰って戻してやるよ」





会話が成立してない。流石にワカメをあんな風に仕立て上げた張本人共だ。
それよりもボロボロの若潮が気になる。結構な怪我をしてるんじゃないか?



「俺が止めるか…何があったら頼むな」



「わざわざ関るなよ…」



「俺も同感。あの一年の関係だろ?俺らには関係ない」



「若潮と橋本は俺の後輩だぞ?先輩が助けないでどうする」



…………………。



「「はぁ…わかった」」



渋々ながら了解をもらって中心に歩いていく。二人は俺の行動を見守ってもらっている。
俺が動き出した事で他の生徒も固唾を飲んで見つめてくる。ワカメも俺を視界に入れ凝視して固まってる。
取り敢えずお前は待機しておけ。



「若潮…大丈夫か?」



「ぐっ…剛…さん」



余程痛いのか大きい身体を折り曲げ腹を庇ってる。
蹴りでもされたか?少し触って骨に異常がないか見る。
大丈夫そうだ。蹴られた時に上手く庇ったのだろう。



「橋本…。こっちは俺が引き受けるから若潮を保健室連れて行ってくれ」



黙って様子を見ていた橋本がハッとしたように反応する。



「はっはい!連れて行きます!」



若潮の腕を肩に掛け歩いて行った。よし…これで後はこの二人とワカメだけだ。固まってるワカメの頭を叩いて覚醒させる。まだ瞬きしてるが大丈夫だろう。



「それで?少し話聞いていたがこいつが行かないって言ってるなら出ていってくれないか?」



「はぁ…すげぇーイケメン来たわ。祐今度はそいつに好き勝手やってんのー?」



「俺はそんな事してない!嫌っ…したけど…もうしない!」



「本当に変わったな…こいつがお前を変えたのか?」




「俺は何もしてない。変わったと言うならこいつの努力だろ」



まぁ…ワカメは変わった。
しかしこの二人はあの最初の頃のワカメがいいと言う。ハッキリ言って此奴らの神経を疑う…。

待てよ?確か一年二人と勝利。副会長も最初の頃のワカメに好意を寄せていたと思い出す。何が魅力か分からないがワカメには人を魅了する何かがあるんだろう。

俺に褒められたのが嬉しいのかワカメが此方を輝いた眼で見ている。
少し可愛いと思ってしまった…。

しかし早くこの事態を収集して部屋に帰りたい。
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