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49. 優勝者は誰だ!
しおりを挟む「いや…出来すぎだよね。」
俺の友達2人が決勝に残っただけでも凄いのに、まさかの優勝争い。
「へへっ…絶対に勝つぞ。」
佐藤くんやる気満々だね。
「僕も負ける気はないよ。」
大谷くんは相変わらずの不敵な笑みを浮かべている。
この二人って強運の持ち主なんだな。
「それでは心の準備は良いか?いくぞー!!」
「「「「「「ジャンルポン!」」」」」」
会場が二人に熱い視線を注いでいる。二人が出したのは…。
「チッ…あいこだな。」
「そうだね、佐藤くんは次は何を出すの?」
おっと、大谷くんが佐藤くんはを揺さぶろうとしているぞ!
「言わない。お前も言うなよ!先に何を出すか言って揺さぶろうとしているだろう!正々堂々と運で勝負しろ!」
ん?佐藤くんはの言っていることが分かる様な…分からない様な…。運で勝負って?
「あ~、先に言っちゃうんだ。面白くないな~。しかたないな佐藤くんの言う運で勝負するよ。」
大谷くんは大人な感じだね。別名、腹黒とも言うかもしれないけどね。
正反対の二人なんだけど普段は何かと気があっているんだよな。
「よし!ここまできたら勝負がつくまで連続でジャンケンしろ!掛け声は俺がやる。」
会長が勝負がつかないからやり方を変更した。会長は、せっかちだもんな。
「いくぞー!!ジャンケンポン!あいこでしょ!」
あれ?コールが終わった!って事は勝負がついたのか!
「うわあぁ~!!!!!」
佐藤くんが大声をあげながらその場に倒れこんだ。
「よし!!!悪いね佐藤くん…僕は運が良いんだよね。」
大谷くんが勝ったみたいだ。床に倒れている佐藤くんの肩をポンポンと叩いているのが見える。佐藤くんは悔しそうだな。あとで何か奢ってあげよう。
「第一回ジャンケン大会の優勝者は一年生の大谷 蘭丸だ!」
「「「うおおおおおーーー!!」」」
パチパチと拍手の音と大声がホールに響く。
大谷くんは優勝賞品が何かを知りたいから優勝したいって言っていたな。今頃はその事しか頭の中にはないんじゃないか?会長の祝いの言葉も聞いてなさそうだな。
「……であった。それでは優勝賞品の授与だ。中身は自分で確認すると良い。」
会長はそう言いながら大谷くんに小さな箱を渡した。大谷くんは見たこと無いような笑顔だよ。
「ありがとうございます。」
大谷くんは箱を受け取り壇上から降りて俺達の方に戻って来た。それより一足早く帰って来ていた佐藤くんは小さい声で「来年は勝つぞ…。」と言っていた。よほど悔しいかったんだな。
「おめでとう大谷くん。凄いね。」
俺は拍手をしながらお祝いの言葉を言った。
「今回は負けたが来年は勝つからな。」
佐藤くんは大谷くんに握手を求めて手を出した。
「八岐くん、ありがとう。佐藤くん、来年を楽しみにしているね。」
相変わらずのクールな感じだね。でもしっかりと佐藤くんと握手はしている。
「で、賞品は何だった?」
佐藤くんの興味は優勝賞品に移ったみたい。
「それが何かは外箱には書いてないんだよ。開けないと分からないんだ。今から開けるよ。」
話し終わると大谷くんは箱のリボンを外して蓋を開けた。
「「「え…!?」」」
箱の中身を覗き込んだ俺達は中身を確認して驚いた。
「また、箱?」
箱の中身は一回り小さな箱が入っていた。
えーと、これって前世で言うところのマトリョーシカみたいな?まさかね…。
「まさか、箱が賞品なのか?」
佐藤くんが真剣に言っている。けどそれはないでしょう。大谷くんは無言でまた箱の蓋を開けた。
「嘘だろ…。」
声を出したのは大谷くんではなく佐藤くんだ。
佐藤くんが「嘘だろ…。」と言ったのは箱の中がまた箱だったからだ。本当にマトリョーシカなのか?怪しくなってきたな。
「何のつもりなんでしょうかね…。」
大谷くん…表情は変わっていないけど怒っている?まあ、この怒りは新聞に書くつもりなんだろうな…。想像すると怖い気がする。
もし、もしも次も箱だとヤバい感じだけど大丈夫かな。俺が心配することではないかもしれないけどね。
「開けるよ。」
大谷くんは気を取り直してまた箱の蓋を開けた。
「……。何これ?」
大谷くんは暫く箱の中を見つめて無言だった。俺達も箱の中を覗かせてもらうと、中身は…。
「手紙?」
箱では無かったので良かったと思うけど、中身が手紙というのはどうなんだ?
「何が書いてあるんだ?」
佐藤くんが身を乗り出して大谷くんに聞いている。
大谷くんは折り畳んで封筒に入れてあった手紙を開けて見ている。
「フッ…。」
今、大谷くんの口元が少し上がった?
「何?!何が書いてあったの!?」
「はい、どうぞ。」
大谷くんはそう言って手紙を俺達に見せた。
手紙には…。
優勝者へ
おめでとう。優勝者には以下のものを贈る。
食堂のトッピング一年間無料券
この手紙を食堂で見せればどんなトッピングでも無料だから沢山食べてくれ。
「良いな~。これは俺が一番欲しいやつだ!」
羨ましそうな声を出したのは佐藤くんだ。
佐藤くんは大食いだからそうかもね。大谷くんには微妙な賞品だな。
「はぁ~、とりあえずは記事に出来るから良しとするよ。」
大谷くんはやっぱり微妙みたいだね。
そして白熱?のジャンケン大会は幕を閉じた。
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