龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

文字の大きさ
49 / 86

49. 優勝者は誰だ!

しおりを挟む


「いや…出来すぎだよね。」

 俺の友達2人が決勝に残っただけでも凄いのに、まさかの優勝争い。

「へへっ…絶対に勝つぞ。」

 佐藤くんやる気満々だね。

「僕も負ける気はないよ。」

 大谷くんは相変わらずの不敵な笑みを浮かべている。

 この二人って強運の持ち主なんだな。

「それでは心の準備は良いか?いくぞー!!」

「「「「「「ジャンルポン!」」」」」」

 会場が二人に熱い視線を注いでいる。二人が出したのは…。

「チッ…あいこだな。」

「そうだね、佐藤くんは次は何を出すの?」

 おっと、大谷くんが佐藤くんはを揺さぶろうとしているぞ!

「言わない。お前も言うなよ!先に何を出すか言って揺さぶろうとしているだろう!正々堂々と運で勝負しろ!」

 ん?佐藤くんはの言っていることが分かる様な…分からない様な…。運で勝負って?

「あ~、先に言っちゃうんだ。面白くないな~。しかたないな佐藤くんの言う運で勝負するよ。」

 大谷くんは大人な感じだね。別名、腹黒とも言うかもしれないけどね。

 正反対の二人なんだけど普段は何かと気があっているんだよな。

「よし!ここまできたら勝負がつくまで連続でジャンケンしろ!掛け声は俺がやる。」

 会長が勝負がつかないからやり方を変更した。会長は、せっかちだもんな。

「いくぞー!!ジャンケンポン!あいこでしょ!」

 あれ?コールが終わった!って事は勝負がついたのか!

「うわあぁ~!!!!!」

 佐藤くんが大声をあげながらその場に倒れこんだ。

「よし!!!悪いね佐藤くん…僕は運が良いんだよね。」

 大谷くんが勝ったみたいだ。床に倒れている佐藤くんの肩をポンポンと叩いているのが見える。佐藤くんは悔しそうだな。あとで何か奢ってあげよう。

「第一回ジャンケン大会の優勝者は一年生の大谷 蘭丸だ!」

「「「うおおおおおーーー!!」」」

 パチパチと拍手の音と大声がホールに響く。

 大谷くんは優勝賞品が何かを知りたいから優勝したいって言っていたな。今頃はその事しか頭の中にはないんじゃないか?会長の祝いの言葉も聞いてなさそうだな。

「……であった。それでは優勝賞品の授与だ。中身は自分で確認すると良い。」

 会長はそう言いながら大谷くんに小さな箱を渡した。大谷くんは見たこと無いような笑顔だよ。

「ありがとうございます。」

 大谷くんは箱を受け取り壇上から降りて俺達の方に戻って来た。それより一足早く帰って来ていた佐藤くんは小さい声で「来年は勝つぞ…。」と言っていた。よほど悔しいかったんだな。

「おめでとう大谷くん。凄いね。」

 俺は拍手をしながらお祝いの言葉を言った。

「今回は負けたが来年は勝つからな。」

 佐藤くんは大谷くんに握手を求めて手を出した。

「八岐くん、ありがとう。佐藤くん、来年を楽しみにしているね。」

 相変わらずのクールな感じだね。でもしっかりと佐藤くんと握手はしている。

「で、賞品は何だった?」

 佐藤くんの興味は優勝賞品に移ったみたい。

「それが何かは外箱には書いてないんだよ。開けないと分からないんだ。今から開けるよ。」

 話し終わると大谷くんは箱のリボンを外して蓋を開けた。

「「「え…!?」」」

 箱の中身を覗き込んだ俺達は中身を確認して驚いた。

「また、箱?」

 箱の中身は一回り小さな箱が入っていた。

 えーと、これって前世で言うところのマトリョーシカみたいな?まさかね…。

「まさか、箱が賞品なのか?」

 佐藤くんが真剣に言っている。けどそれはないでしょう。大谷くんは無言でまた箱の蓋を開けた。

「嘘だろ…。」

 声を出したのは大谷くんではなく佐藤くんだ。

 佐藤くんが「嘘だろ…。」と言ったのは箱の中がまた箱だったからだ。本当にマトリョーシカなのか?怪しくなってきたな。

「何のつもりなんでしょうかね…。」

 大谷くん…表情は変わっていないけど怒っている?まあ、この怒りは新聞に書くつもりなんだろうな…。想像すると怖い気がする。

 もし、もしも次も箱だとヤバい感じだけど大丈夫かな。俺が心配することではないかもしれないけどね。

「開けるよ。」

 大谷くんは気を取り直してまた箱の蓋を開けた。

「……。何これ?」

 大谷くんは暫く箱の中を見つめて無言だった。俺達も箱の中を覗かせてもらうと、中身は…。

「手紙?」

 箱では無かったので良かったと思うけど、中身が手紙というのはどうなんだ?

「何が書いてあるんだ?」

 佐藤くんが身を乗り出して大谷くんに聞いている。

 大谷くんは折り畳んで封筒に入れてあった手紙を開けて見ている。

「フッ…。」

 今、大谷くんの口元が少し上がった?

「何?!何が書いてあったの!?」

「はい、どうぞ。」

 大谷くんはそう言って手紙を俺達に見せた。

 手紙には…。


 優勝者へ

 おめでとう。優勝者には以下のものを贈る。

 食堂のトッピング一年間無料券

 この手紙を食堂で見せればどんなトッピングでも無料だから沢山食べてくれ。



「良いな~。これは俺が一番欲しいやつだ!」

 羨ましそうな声を出したのは佐藤くんだ。

 佐藤くんは大食いだからそうかもね。大谷くんには微妙な賞品だな。

「はぁ~、とりあえずは記事に出来るから良しとするよ。」

 大谷くんはやっぱり微妙みたいだね。

 そして白熱?のジャンケン大会は幕を閉じた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...