龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

文字の大きさ
74 / 86

74. 俺の家族って有名人?

しおりを挟む


「あの娘可愛いな…。」

「誰の家族だ?」

 生徒達の噂話が聞こえてくる。もちろん可愛い娘とは大谷くんのことだ。

「すごいな。大谷くんだけで俺達のクラスのカフェは稼げるの決定だな。」

 佐藤くんが笑いながら言っている。

「なんだそれ?」

 当の大谷くんは自分の可愛さに気がついてないんだけどね。

「あっ、いたわ!竜!」

 聞き慣れた声が聞こえてきた。

「ね、姉さん!」

 声のした方を見ると来ないで欲しいと願っていた姉さん達と母さんの姿があった。

「やだ、竜…。その格好似合いすぎよ。」

 姉さん達はそう言いながらも俺の姿をカメラで写している。

「お父様が悔しがるわね。沢山撮っておいてくださいね。」

 母さんはその後ろで姉さん達を見守っている。

「「「やだ、あの娘…私達より可愛いんじゃない。」」」

 なんと、違う学校に通っているはずの三つ子の姉さん達までがきている。大谷くんを見て驚いているようだ。

「お母様…お姉さま達も一緒に来たのですね。」

 手紙には連れて来ないでと頼んでいたのにな…。

「ごめんね竜ちゃん。長期休暇で、みんな家で退屈してたのよ。竜ちゃんの手紙を知らない間に読んだみたいで…ついてきちゃったのよ。」

 扇子で口元を隠しながら笑っている。母さんらしいな。

「お父様はどうしたの?」

 父さんは学校に来たがっていたのにな。

「お父様は急な仕事が入って、部下のかたに連れて行かれたわ。」

 菊花姉さんは笑って言っているけど内容は怖いよ。父さん…仕事に行きたくないとごねたんだな。

「お、おい、八岐くん…。」

 俺の後ろにいた佐藤くんと大谷くんが小さな声で話しかけてきた。

「なに?」

 2人とも挙動不審になっている。

「あの人達は八岐くんの家族なのか?」

 そう言えばまだ紹介していなかったな。

「うん、そうだよ。まだ紹介していなかったね。」

 何で2人とも顔が赤いのかな?

「お母様、お姉様達、僕の友人の佐藤くんと大谷くんです。」

「「は、はじめまして…。」」

 2人とも緊張してる?珍しいな。

「あら?可愛い女の子だと思っていたら違っていたのね。竜がお世話になってます。竜の母です。」

 母さんが笑顔で挨拶すると、続いて姉さん達を代表して桃花姉さんが挨拶を始めた。

「私達は竜の姉です。桃花、菊花、百合花、撫子、椿です。竜と仲良くしてくれてありがとう。」

「あ、こ、こちらこそ。いつも八岐くんには良くしてもらっています。佐藤 勘太郎です。」

「ぼ、僕も仲良くさせてもらっています、大谷 蘭丸です。」

 2人ともいつもの感じじゃないな。本当にどうしたの?

「元気そうで良かったわ。素敵なお友達もできたみたいだし、安心しました。」

 母さん…心配してくれていたんだな。

「お母様、あちらにケーキのお店が出ていましたわ。」

「あら、あちらのアイスのお店が先じゃないかしら。」

「えー!そちらのクレープの方が良いわよ。」

 相変わらず三つ子の姉さん達は騒がしい。俺より食べ物が目当てだと思うな。

「もう、貴方達は…。ごめんなさいね、騒がしくて。大人しくさせるためにその辺を回ってからまた来るわね。」

 母さん達は佐藤くんと大谷くんに笑顔を振りまきながら去って行った。

「「…八岐くん。」」

 母さん達の姿が見えなくなってすぐに2人が俺に迫ってきた。

「な、何…。」

「「何で家族が来るって教えてくれなかったんだよ!!」」

「へ?」

 2人が俺に掴みかかるような勢いで顔を近づけて話している。

「八岐家の女性達は美人で有名じゃないか!」

 佐藤くんはそういう噂疎いと思っていたけど違うんだね。

「そうだよ!来ると分かっていたらこんな格好していなかったよ。」

 大谷くんのその格好…。なかったらクラスのカフェの売り上げが半減してたからな…。

「え…2人とも落ち着いて…。」

 2人とも興奮しすぎだよ。

「天使の歌声と言われている、三つ子の美人姉妹の声を聞かせてもらえて興奮しない方がおかしい。」

 大谷くんの話をすごい頷いて佐藤くんが聞いている。

「桃花様や菊花様にお会いできただけでも興奮ものだ。」

 佐藤くんは姉さん達の事を知っていたんだね。それが驚きだよ。大谷くんの頷きもすごいな。


 ん?良く見ると他のクラスの皆も頷いている。もしかして俺の姉さん達って有名人なのか?

「みんな…気合いをいれるぞ!八岐家の姉妹とお母様に最高のサービスをするぞー!!!」

「「「「「おおおーーー!!!!!」」」」」

 な、なんだ?!クラスのみんなが雄叫びを上げて興奮しているのが分かる。さっきまでののほほんとした空気はどこにいったのさ!

 波乱の予感がするのは…気のせいだよね。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...