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74. 俺の家族って有名人?
しおりを挟む「あの娘可愛いな…。」
「誰の家族だ?」
生徒達の噂話が聞こえてくる。もちろん可愛い娘とは大谷くんのことだ。
「すごいな。大谷くんだけで俺達のクラスのカフェは稼げるの決定だな。」
佐藤くんが笑いながら言っている。
「なんだそれ?」
当の大谷くんは自分の可愛さに気がついてないんだけどね。
「あっ、いたわ!竜!」
聞き慣れた声が聞こえてきた。
「ね、姉さん!」
声のした方を見ると来ないで欲しいと願っていた姉さん達と母さんの姿があった。
「やだ、竜…。その格好似合いすぎよ。」
姉さん達はそう言いながらも俺の姿をカメラで写している。
「お父様が悔しがるわね。沢山撮っておいてくださいね。」
母さんはその後ろで姉さん達を見守っている。
「「「やだ、あの娘…私達より可愛いんじゃない。」」」
なんと、違う学校に通っているはずの三つ子の姉さん達までがきている。大谷くんを見て驚いているようだ。
「お母様…お姉さま達も一緒に来たのですね。」
手紙には連れて来ないでと頼んでいたのにな…。
「ごめんね竜ちゃん。長期休暇で、みんな家で退屈してたのよ。竜ちゃんの手紙を知らない間に読んだみたいで…ついてきちゃったのよ。」
扇子で口元を隠しながら笑っている。母さんらしいな。
「お父様はどうしたの?」
父さんは学校に来たがっていたのにな。
「お父様は急な仕事が入って、部下のかたに連れて行かれたわ。」
菊花姉さんは笑って言っているけど内容は怖いよ。父さん…仕事に行きたくないとごねたんだな。
「お、おい、八岐くん…。」
俺の後ろにいた佐藤くんと大谷くんが小さな声で話しかけてきた。
「なに?」
2人とも挙動不審になっている。
「あの人達は八岐くんの家族なのか?」
そう言えばまだ紹介していなかったな。
「うん、そうだよ。まだ紹介していなかったね。」
何で2人とも顔が赤いのかな?
「お母様、お姉様達、僕の友人の佐藤くんと大谷くんです。」
「「は、はじめまして…。」」
2人とも緊張してる?珍しいな。
「あら?可愛い女の子だと思っていたら違っていたのね。竜がお世話になってます。竜の母です。」
母さんが笑顔で挨拶すると、続いて姉さん達を代表して桃花姉さんが挨拶を始めた。
「私達は竜の姉です。桃花、菊花、百合花、撫子、椿です。竜と仲良くしてくれてありがとう。」
「あ、こ、こちらこそ。いつも八岐くんには良くしてもらっています。佐藤 勘太郎です。」
「ぼ、僕も仲良くさせてもらっています、大谷 蘭丸です。」
2人ともいつもの感じじゃないな。本当にどうしたの?
「元気そうで良かったわ。素敵なお友達もできたみたいだし、安心しました。」
母さん…心配してくれていたんだな。
「お母様、あちらにケーキのお店が出ていましたわ。」
「あら、あちらのアイスのお店が先じゃないかしら。」
「えー!そちらのクレープの方が良いわよ。」
相変わらず三つ子の姉さん達は騒がしい。俺より食べ物が目当てだと思うな。
「もう、貴方達は…。ごめんなさいね、騒がしくて。大人しくさせるためにその辺を回ってからまた来るわね。」
母さん達は佐藤くんと大谷くんに笑顔を振りまきながら去って行った。
「「…八岐くん。」」
母さん達の姿が見えなくなってすぐに2人が俺に迫ってきた。
「な、何…。」
「「何で家族が来るって教えてくれなかったんだよ!!」」
「へ?」
2人が俺に掴みかかるような勢いで顔を近づけて話している。
「八岐家の女性達は美人で有名じゃないか!」
佐藤くんはそういう噂疎いと思っていたけど違うんだね。
「そうだよ!来ると分かっていたらこんな格好していなかったよ。」
大谷くんのその格好…。なかったらクラスのカフェの売り上げが半減してたからな…。
「え…2人とも落ち着いて…。」
2人とも興奮しすぎだよ。
「天使の歌声と言われている、三つ子の美人姉妹の声を聞かせてもらえて興奮しない方がおかしい。」
大谷くんの話をすごい頷いて佐藤くんが聞いている。
「桃花様や菊花様にお会いできただけでも興奮ものだ。」
佐藤くんは姉さん達の事を知っていたんだね。それが驚きだよ。大谷くんの頷きもすごいな。
ん?良く見ると他のクラスの皆も頷いている。もしかして俺の姉さん達って有名人なのか?
「みんな…気合いをいれるぞ!八岐家の姉妹とお母様に最高のサービスをするぞー!!!」
「「「「「おおおーーー!!!!!」」」」」
な、なんだ?!クラスのみんなが雄叫びを上げて興奮しているのが分かる。さっきまでののほほんとした空気はどこにいったのさ!
波乱の予感がするのは…気のせいだよね。
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