85 / 86
85. まさか!?
しおりを挟む目的だったじいちゃんに会うことができてから俺は魂を抜かれた様になっていた。1つの大きな目標を達成したことでやりきった感じというのかな…そんな感じがして今までみたいになかなか気合いがはいらないんだよね。
だけど1つ気になるのは最後の龍神様の言っていた話し。じいちゃんが俺の近くに転生するかも…って話がずっと引っかかっている。
「あれ…絶対に面白がられているよな。」
『わかっているじゃないか。』
一回り大きく成長した姿の翡翠が少し笑うような感じで話しかけてきた。実は龍神様との話の後で翡翠が急に大きくなったんだ。翡翠曰く『お前が成長したからだ。』らしい。
俺的には急に大きくなって凄みが増した翡翠にまだ慣れないんだよね~。
『え!?やっぱりそうなのか。』
同じ龍同士なら気持ちも通じる?翡翠が言うならやっぱりからかわれてる?
『だが、半分はお前へのご褒美だと思うぞ。』
『俺へのご褒美?』
なぜじいちゃんが転生することがご褒美になるんだ?俺の頭のなかはハテナマークで一杯だ。
『お前はおじいさんが好きだったから近くに転生させてやろうと思ったんじゃないか。直接聞いた訳ではないから想像だかな。』
そうなのか?!
じいちゃんが近くに居てくれるのは嬉しいけど…少し複雑になるだろ。だって…じいちゃんが俺より年下になるわけだよね。俺より年下なのに中身はじいちゃん…。複雑以外の何物でもないよ~!
しかもあの言い方…。かなり身近に転生する感じだよね。可能性を考えてみると…。
『そんなに思い詰めないで良いんではないか?なるようにしかならないぞ。』
まあそうなんだけどさ。
確かに…今から身近で産まれてくる赤ちゃん全てを疑ってみたところで赤ちゃんが自分がじいちゃんの生まれ変わりだと話してくれるわけではなしな。
『そうだね。考えるのは止めるよ。』
楽しみにして待っていた方が良いか。じいちゃんの方から言ってきてくれるまで…。
『それより明日からテストじゃないのか?』
『うっ…。痛いとこをつくよね。その通りなんだけどさ…。』
テスト勉強していても集中できないんだよね。やらないといけないのは分かっているんだけど手につかないんだ。
『邪魔しないように俺も消えるとするか…。』
翡翠はフッと笑って消えた。
部屋も静かになったことだし勉強するか…。
俺は何とか気合いを入れて勉強を始めた。
「テスト…難しすぎ。」
テストを終えて、佐藤くんが机に伏せている。
「うん、今日のテストは難しかったね。」
大谷くんは実は学年でもトップの成績なんだよね。その大谷くんが難しいって言うんだから相当な問題だったんだな。
俺も佐藤くんと同じくテスト…難しかったと感じてる。大丈夫かな。今回のテストは進級テストだったんだよ。まあ、終わったから今更何をいっても仕方ないんだけどね。
「でも、テストが終わったら家に帰れるね。」
大谷くんは家に帰るのか。
「そうだな~。」
佐藤くんも帰るんだね。
学年の進級テストが終わると数日休みがあるんだ。みんなそれを楽しみにしてるんだよ。家に帰る人もいれば寮に残って友人達とのんびりする人もいるみたい。
「八岐くんはどうするの?家に帰るのか。」
佐藤くんが机から身体を話して伸びをしている。
「どうしようかと迷っていたんだけど家から手紙が来て、帰ることになってるんだ。」
家族から3日くらい前に手紙が届いたんだ。今度の休みは帰っておいでとだけ書いてあった。
「じゃあ、休みはみんなバラバラだね。休みあけにまた遊ぼうね。」
新聞部もこの休みだけは活動していないらしい。寮に残る人が何人かいてその人達が自主的に取材をしてくれるんだって。
「うん。外にご飯食べに行こうぜ!」
佐藤くんはやっぱり食べ物関連なんだね。佐藤くんの言葉に大谷くんと俺は頷いた。
翌日、朝早くに寮を出て家に帰った。
「竜ちゃん、お帰りなさい。」
すぐに母さんが出迎えてくれた。
あれ…母さん…太った?だけど女性に太った?は禁句だよね。前世で学んでいます。
「ただいま帰りました。お父様は仕事ですか?」
「そうなのよ。今日は早く帰ってくるって言っていたわ。夕食には帰って来ると思うからそれまでゆっくりしなさいね。あの人が帰ってきたらゆっくりできないと思うから。」
母さんは声をあげて笑っていた。いつも忙しい父さんが夕食に帰ってくる?やっぱり何かはなしでもあるのかな。
「わかりました。」
夕食の時間、母さんの言っていた通り父さんが帰ってきていた。
「竜~!お帰り~!!待ってたよ!!!」
顔を見たとたんに父さんに抱きつかれた。変わらないな。
「ほら貴方、まずはご飯にしましょう。」
母さんに促されて父さんは俺から離れた。
久しぶりの実家での夕食を楽しんでいたら、やはり父さんが俺に話があると言い出した。
「実はな…。竜…。あのな…。」
ハッキリしないな。何が言いたいんだろうか?
「あ~もう、私が言います。竜ちゃん、あなたお兄さんになるの。」
「へ?!」
母さんが椅子から立ち上がりお腹を擦っている。
「ここに竜ちゃんの弟か妹がいるのよ。」
「え~!!!」
いや、龍神様…まさか、まさかじいちゃんじゃないですよね~!!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる