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第6章 神様が棲むネットショップ〈神棚〉、営業中

67.神様は、山のふもとの我が家と縁を切って出ていったから、我が家を守るために、力を貸せない?俺と山の怪が取り返す。神様は、知恵を貸して。

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神様に助力をあおいだ俺と山の怪は、いきなりピンチに陥った。

「志春(しはる)。我が家との縁は切っておるから、志春(しはる)のためといえども、力は貸せぬ。」
と神様。

俺と山の怪(け)の快進撃と、山のふもとの我が家の庭が不法占拠されている報告を聞いた後。

我が家を取り返す目的では、神様に助けてもらえない、という新事実が判明。

手づまりのときに、神様からのバックアップなし。

う、うーん。

俺も山の怪も、どん詰まりで困っている。

名案が浮かばないから、神様に助けを求めたんだ。

ここから、どうしよう。

俺と山の怪が、頭を抱えていると。

車のヘッドライトの明かりが見えた。

俺を誘拐しようとして、後ろからつけてきた車だ。

目的地は、我が家?

俺を待ち伏せ?

ムカムカが再燃してきた。

庭は、車を乗り入れる場所じゃない!

俺の、我が家の庭に、タイヤの轍なんて、いらないんだ。

バキッ。

枝を折った?

音からして、細い枝じゃない。

ふざけるな。

俺は、我が家に住むまで、庭木の手入れなんて知らなかったから、ネットで調べながら、毎日、庭の手入れをして、今の庭にしたんだ。

俺の庭を荒らすな!

神様のバックアップがない?

よく考えたら、当たり前。

神様は、もう我が家に棲んでいない。

今は、ネットショップ〈神棚〉のホームページが、神様の住まいなんだ。

我が家は、俺の家。

取り返すのは、神様じゃない。

俺だ。
俺が、取り返す。

二度も、俺の住んでいる場所を好き勝手できると思うな!

ごめんなさいで済んだら、警察の出番はない。

俺は、ごめんなさいで済ませない。

二度と、我が家に近づかせない。

「神様。
俺と山の怪で、我が家の庭に我が物顔で居座っている、いらない人を山に送り出して、いらない人が、二度と、我が家に来たくないようにするための知恵を貸して。」

我が家を取り返す方法は、自分で思いつかないから、知恵は、神様に貸してもらおう。

神様なら、名案をくれる。

山の怪と俺は、期待している。

神様は、俺と山の怪の期待に応えてくれる。

神様が、作戦を考えてくれている間。

俺は、山の怪と親交を深めることにした。

俺は、今、山の中に潜んでいるため、暗くて、影の形が見えない。

意思疎通を図るために、山の怪が、俺のズボンの裾を引っ張る方向で、はい、いいえ、を決めた。

「山の怪は、山の動物が好き?」

『はい。』

「植物も好き?」

『はい。』

「石も好き?」

『はい。』

「山が好き?」

『はい。』

山の怪は、山好きだと分かった。

俺も、山の暮らしが楽しいから、気が合って、嬉しい。

友達が増えた?

「山の怪は、山の中で、お気に入りの場所はある?」

『はい。』

山の怪のお気に入りの場所が、いつまでもあるといいと思う。

「俺は、我が家がお気に入りなんだ。
家も庭も全部。
神様と暮らして、神様を見送ってからもずっと、俺のお気に入り。

初めて見た虫の大きさや種類の多さにびっくりしたから、次の夏は、家の全体に蚊帳を使おうか、と考えていたんだ。

家全体のサイズは、春になってから測る予定にしていた。

俺は、来年も、再来年も、その先も我が家に住むと決めている。

俺じゃない誰かに、俺の将来設計を潰させない。」

『はい。』

「ありがとう、山の怪。」

一緒に来てくれて。

何も言わずに、助けてくれて。

俺に憑いてくれて。

全部終わったら、勝利の打ち上げをしたい。

俺と神様と山の怪で。

「志春(しはる)。」
と神様。

俺と山の怪は、スマホに注目。

ネットショップ〈神棚〉のホームページにいる神様は、頭上に鞠を積み重ねて、鞠を落とさないようにゆらゆらしていた。

神様、名案をよろしく。
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