子爵令嬢マーゴットの学園無双。相棒ミノカサゴの助言、知恵、剣と魔法、権力、資金力を使って、側近兼友人のキャスリーヌと、快適な学生生活を。

第5章 丸付けは、全部終わってからだよ？後手に回ったからって、それが何？

124.愁嘆場を見つけた。入る？様子を見る？見合わせる？

マーゴット、キャスリーヌ、バネッサは、探し人のレベッカ・ショアを見つけた。

女子寮の玄関ホールに集まった新入生と侍女達。
寮の職員と、公爵家と侯爵家のご令嬢方に囲まれて、文句を言ってそうな探し人のレベッカ・ショア。
床にひれ伏して泣いている新入生。

カオスな空間が出来上がっていた。

「入る？止めとく？」
キャスリーヌが思わず呟くくらいに、貴族のご令嬢方の生活空間とは、とても言い難かった。

「入るわ。いつ終わるかも分からない愁嘆場は、待たない。」
とマーゴット。

マーゴット、キャスリーヌ、バネッサは、レベッカ・ショアの声が聞こえる場所まで、進む。

いつも、じぃと、静かにマーゴット達を見つめているだけだった、ご令嬢は、何日か見ないうちに、上級生と寮の職員に食ってかかるようになっていた。

「成長期がきた？」
とキャスリーヌ。

「全員、同級生よね？」
とバネッサが苦笑している。

レベッカ・ショアの声を拾ってみる。

「ちょっと。
何とか言いなさい。
だいたい、寮の部屋は、入寮前に契約して、お金を払っているんだから、寮の職員と、上級生が勝手できるわけない。
早く、たちの悪い冗談を言って、ごめん、と謝って、泣き止ませてきなさいよ。
真に受けて、悲嘆にくれた泣き方しちゃっているじゃない！
冗談でも言っていいことと、悪いことがあるから！
黙ってないで、言いたいことがあれば言えば！
勝手な憶測で、噂話作るんじゃなくて！」
とレベッカ・ショア。

レベッカ・ショアの主張を聞いたキャスリーヌの見解は。
「感情のリミッターが振り切れた？後から、反動で引きこもるかも。」

「話ができるうちに、しておくわ。」
とマーゴット。

3人は、レベッカ・ショアの方へ近づいていく。

「貴女も、ひれ伏して、泣いていないで、言い過ぎです！って、主張するの！
大人しく泣いていても、ここの人達は、誰も心配しないし、助けてもくれないんだから。
私は、身をもって学んだから。
泣くほど嫌なんだから、部屋を出ません、移りません、でいいじゃん。
部屋の主が嫌がっていたら、引っ越しなんか、無理だって。」
とレベッカ・ショア。

レベッカ・ショアの言葉を聞いた女子学生は、ひれ伏したまま号泣。

「人の心配をしているとは、余裕ね。」
と侯爵家のご令嬢が、ふっと笑う。
「貴女も、仲良く移動するのよ？」

「行かない。なんで、そんなに横暴なのか、分からないんだけど。侯爵家のご令嬢には、どこか、他の人とは違う偉さがあるわけ？」
侯爵家のご令嬢にガチンコの喧嘩を売っているレベッカ・ショア。

「職員は、新入生相手に、退寮しろという意味不明な暴言はいている人の言いなりになってないで、私の侍女を探す手配をして。寮の職員なんだから、仕事らしい仕事をしたら、どうなの？ねえ？ねえ？」
侯爵家のご令嬢の次は、寮の職員にしつこく絡んでいるレベッカ・ショア。

「聞こえてきた話で、概要は、把握したわね。」
とバネッサ。

「新入生の寮の部屋を横取りしたり、新入生を寮の部屋から追い出したりするのは、歓迎行事か何かかな？」
とキャスリーヌ。

「行くわ。」
マーゴットの号令で、マーゴットとキャスリーヌとバネッサは、レベッカ・ショアが興奮気味に本音をさらけ出してぶつかっていってる空間へと踏み込んだ。

「レベッカ・ショア。」
とマーゴット。
「分かりやすく端的に、この状態をわたし達3人に説明しなさい。」