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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

487.レベッカ・ショア。男子学生の2番目の人格は、魔法で攻撃してはこなかった。『気持ち悪いことを要求していると自覚した方がいいよ。』

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レベッカ・ショアに帰れと言われた男子学生は、やっと声を出した。

「どこに?」
と男子学生。

「知らない。」
とレベッカ・ショア。

男子学生の帰る場所は、使用人を帯同しない貴族の男子寮のどこかだ。

男子寮に近づかず、男子寮からの注目を集めるために、バネッサは、夜空の下で魚の解剖を始めたのだ。

バネッサの後を引き継いで、後片付けをしているレベッカ・ショアの目的は、バネッサの目的と同じ。

レベッカ・ショアの方から、使用人を帯同しない貴族の男子寮について、わざわざ話題にすることはしない。

グダグダしていないで、目と鼻の先にある使用人を帯同しない貴族の男子寮に戻って、とレベッカ・ショアは思った。

「帰る場所が分からないなら、帰れないだろう。」
と話す男子学生の話し方に、小馬鹿にされているように感じて、イラッとするレベッカ・ショア。

「あなたが、あなたの帰る場所を知っているかどうか、はあなたの責任であって、私は関係ない。

そもそも、私とあなたの知り合いじゃない。」
とレベッカ・ショアは、はっきり拒絶した。

「嘘だろ?」
と真顔で驚く男子学生。

「どれが?」
と素っ気なく返すレベッカ・ショア。

男子学生を見ていると、無性に腹立たしくなってくるレベッカ・ショア。

前世の意識は、沈黙している。

「こういう出会いの場面で放置されたら、ストーリーが進まない。

君がこれからすることを教えるから、僕の言うことをよく聞いて、間違わずに実行してくれ。

僕の横で、何もしないでボケっと突っ立っているのはまず止めるべきだ。

君がまず、することは、僕を心配して、色々と僕に尋ねて、僕の知らないことを親切に教えることだ。

その後は、困っている僕に手を貸すんだよ。」
とレベッカ・ショアに解説しながら、上から目線で話す男子学生。

レベッカ・ショアは、男子学生の話す言葉の意味を理解するまで数秒を要した。

男子学生は、レベッカ・ショアに、男子学生の面倒を見てくれ、親切にしてくれ、と要求しているようだ。

レベッカ・ショアは理解したが、理解した内容に触れたくない。

「ストーリーって、何?」
とレベッカ・ショア。

「君は、僕じゃないから、ストーリーの全貌を知る日は来ない。

ラブコメやチートな生活をする僕が困らないように助けるのが、君のような、普通の第一発見者の役割なんだよ。

有名人とか、絶世の美女とか、王女様との出会いじゃなかったようで、残念。」
と男子学生。

レベッカ・ショアは、前世の意識が出てこないのは、男子学生の2番目の人格を苦手としているからだ、と思った。

「あなたは、気持ち悪いことを話しているんだという自覚を持った方がいいよ。」
とレベッカ・ショア。
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