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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

521.マーゴット。仕えて使われることは、仕えている誰かに命を預けること。レベッカ・ショア、わたし達といつまでも笑いあえるようになりなさい。

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マーゴットとレベッカ・ショアは、マーゴットが生かしておくと決めて、レベッカ・ショアがヒレ足形成魔法をかけた3人を回収することにした。

近寄って確認して、レベッカ・ショアは、拳を突き上げたくなった。

レベッカ・ショアのヒレ足形成魔法は、目当ての3人に問題なく装着できている。

靴の代わりに、しなやかで脱げないヒレ足を履いた3人。

生かされた3人の周りには、屍累々。

マーゴットは、生かした3人を魔法で捕縛しておく。

「学園で、ジュゴン先生にプレゼントする前に洗っておいた方がよくない?
水槽が汚れるよ。」
とレベッカ・ショア。

プレゼントして、水槽にドボンさせた途端に、水槽を丸洗いする羽目になったら目もあてられない。

楽しい授業をしてくれそうなジュゴン先生の心象を悪くするようなことをレベッカ・ショアはしたくない。

「移動中は、まだ汚れる。ジュゴン先生の水槽に入れる前に、水槽を洗うのと一緒に3人を洗えば、一回で済む。」
とマーゴット。

「合理的。」
と納得するレベッカ・ショア。

生かした3人の周囲の息絶えた敵を見ながら、マーゴットは、レベッカ・ショアに解説する。

「魔法は使えても魔力量が少ない者だけが、この場にいた。

年代的に、全員が、今の国王陛下が即位してから生まれた世代で、王太子殿下より年上。

戦闘職は、毎日が命日になりえる。

仮に、今日が命日になるなどと、この場にいた者が誰一人考えていなかったとしても。

ニンデリー王国の貴族として、肩で風を切るような生き方ができなかったから、この者達はこの場にいた、とも言える。」
とマーゴット。

「魔力が少ないから、偉くなるのが難しかった?
ニンデリー王国は、魔法大好き国家だよね。」
とレベッカ・ショア。

「魔力が少ないと判明した後に、貴族社会から離れる選択をしていたら、違った未来があったかもしれない。

貴族社会を離れたら、今よりも早く命を落としていたかもしれない。

終わった命に、もしもはない。」
とマーゴット。

「選んだ選択肢でどんな未来になるか、選んでみないと分からないってことだよね?

選んだら、戻れないから、選ばなかった方の未来は永遠に分からない。

私、志半ばで、死なないように頑張るよ。

さっき、人生の目標を決めたところだから。」
とレベッカ・ショア。

「誰かに仕えて、使われるということは、誰かに命を預ける行為。

本人も、家族も、仕事で命を落とすことは辛い。

仕事だから、とそのときは納得していても、時間が経てば、納得できなくなることもある。

その逆も、またしかり。

レベッカ・ショア。

わたしやキャスリーヌと、いつまでも、笑いあえるくらいになりなさい。」
とマーゴット。

マーゴットの応援。

「任せて。」
と、胸を張るレベッカ・ショア。

マーゴットは、満足そうに頷いた。

魔法でまとめた3人を連れて、マーゴットとレベッカ・ショアは、キャスリーヌとバネッサとベリーベリー・イニーのところへ戻る。

レベッカ・ショアの担当した方向に、重要人物がいないのは、マーゴットが確認済み。

キャスリーヌの方向か、バネッサのところにいるだろう。
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