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第二章:サジェット食堂
15話 さくっと!お手軽サンドウィッチ②
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腕まくりをした私は腕組みをして悩んでいた。
意気揚々と新メニュー開拓と厨房にやってきたのはいいものの、肝心のものがないことに気づいた。
「パンが……ない」
そうなのだ。今からまさに作ろうとしていたのは、サンドウィッチ。中身の具材によって味は七変化する上に、手軽に食べることができる、私の大好物。
リッタの畑でとれたみずみずしい野菜たちを、サンドウィッチにしたらどれほど美味しいか……とワクワクしていたのだが。
この近くのパンは硬いものが多い。もちろん、硬めのパンやフランスパンなどではさんでも美味しいが、今の私の気分はふわっふわのパンに挟むことだった。
「ふわふわのパン……諦めるか……」
ずーんとした気分で硬い黒パンをごりごりと切り分け、焼きにかける。
シャキッと音を立ててちぎられるレタスも、心なしか色褪せて見える。
どんよりした気分で、パンをひっくり返そうと持った時、予想外の感触が伝わった。
「え?ふわっ?」
思わず声に出してしまう。驚きのまま、つんつんとパンをつつくも、かえってくる感触はふわふわと心地よいものだ。
「ええ~~~っ!?」
脳がやっと感触の正体に追いついたとき、思わず大きな声が出てしまった。
「一体なんだね。大きな声出して」
「いや、ごめんなさいリチャトさん。その、黒パンを習慣で焼いてみたらふわふわになって、びっくりしてそれで......」
「なあんだ、そんなことかい。この黒パンは、普通焼いて食べるものだよ。そうでもないと到底硬くて食べられないだろう」
「ええっ!そうなんですか!てっきりこの噛み応えが売りなのかと」
「それを好む人いるがね。なかなか珍しいよ」
リチャトさんの言葉にほほうとおもわず息を漏らす。
セントラル家では、特にヘールが噛み応えがあるものを好むため、焼かずに出されていた。
それが、まさかこんなにふわふわなものに化けるとは。
「よし!これでより完成度をあげられますよ!」
「そうかい、楽しんどくれ」
すっかり落ち込んでいた気分も晴れ上がり、下がってきていた袖を改めてまくり上げる。
焼いてふわっふわになった黒パンをやけどしないようにまな板の上に置き、慎重に真ん中に切り込みをいれる。
すっと刃先が入る感覚に思わず感動した。
パンの粗熱をとる間に、家から持ってきた簡易マヨネーズと、準備しかけのレタス、トマトを用意する。
卵をひとつぱかりとボウルにわりいれ、ちゃちゃっと混ぜたら、じゅわりとサミンチュの油をひいたフライパンの上に垂らす。
サミンチュというのは、元の世界の豚によく似ているが、一角獣のように角がある生物のことだ。
なかなか濃厚な油がとれ、クリーミーに仕立ててくれるので、最近のマイブームだ。
卵が固まらないうちにぐるぐると勢いよく混ぜ、半熟とろとろのスクランブルエッグにしたら、下準備は完璧だ。
パンをつついてみると、ふわふわ感は残されたままいい感じに熱が取れている。
うんうんとうなずきながら、入れておいた切り込みにマヨネーズを両面にべったりと塗る。この時点ですでにかなりおいしそうで、じゅるりと口の中に唾がたまったのを感じた。
はやる気持ちを抑え、丁寧にレタスと薄切りにしたトマト、スクランブルエッグを入れ込む。
「やば、やっぱ私かなり天才かも」
そのつぶやきとともに、ぐぐぐ~~というなんとも間抜けな腹の虫の鳴き声が厨房に響いたのであった。
意気揚々と新メニュー開拓と厨房にやってきたのはいいものの、肝心のものがないことに気づいた。
「パンが……ない」
そうなのだ。今からまさに作ろうとしていたのは、サンドウィッチ。中身の具材によって味は七変化する上に、手軽に食べることができる、私の大好物。
リッタの畑でとれたみずみずしい野菜たちを、サンドウィッチにしたらどれほど美味しいか……とワクワクしていたのだが。
この近くのパンは硬いものが多い。もちろん、硬めのパンやフランスパンなどではさんでも美味しいが、今の私の気分はふわっふわのパンに挟むことだった。
「ふわふわのパン……諦めるか……」
ずーんとした気分で硬い黒パンをごりごりと切り分け、焼きにかける。
シャキッと音を立ててちぎられるレタスも、心なしか色褪せて見える。
どんよりした気分で、パンをひっくり返そうと持った時、予想外の感触が伝わった。
「え?ふわっ?」
思わず声に出してしまう。驚きのまま、つんつんとパンをつつくも、かえってくる感触はふわふわと心地よいものだ。
「ええ~~~っ!?」
脳がやっと感触の正体に追いついたとき、思わず大きな声が出てしまった。
「一体なんだね。大きな声出して」
「いや、ごめんなさいリチャトさん。その、黒パンを習慣で焼いてみたらふわふわになって、びっくりしてそれで......」
「なあんだ、そんなことかい。この黒パンは、普通焼いて食べるものだよ。そうでもないと到底硬くて食べられないだろう」
「ええっ!そうなんですか!てっきりこの噛み応えが売りなのかと」
「それを好む人いるがね。なかなか珍しいよ」
リチャトさんの言葉にほほうとおもわず息を漏らす。
セントラル家では、特にヘールが噛み応えがあるものを好むため、焼かずに出されていた。
それが、まさかこんなにふわふわなものに化けるとは。
「よし!これでより完成度をあげられますよ!」
「そうかい、楽しんどくれ」
すっかり落ち込んでいた気分も晴れ上がり、下がってきていた袖を改めてまくり上げる。
焼いてふわっふわになった黒パンをやけどしないようにまな板の上に置き、慎重に真ん中に切り込みをいれる。
すっと刃先が入る感覚に思わず感動した。
パンの粗熱をとる間に、家から持ってきた簡易マヨネーズと、準備しかけのレタス、トマトを用意する。
卵をひとつぱかりとボウルにわりいれ、ちゃちゃっと混ぜたら、じゅわりとサミンチュの油をひいたフライパンの上に垂らす。
サミンチュというのは、元の世界の豚によく似ているが、一角獣のように角がある生物のことだ。
なかなか濃厚な油がとれ、クリーミーに仕立ててくれるので、最近のマイブームだ。
卵が固まらないうちにぐるぐると勢いよく混ぜ、半熟とろとろのスクランブルエッグにしたら、下準備は完璧だ。
パンをつついてみると、ふわふわ感は残されたままいい感じに熱が取れている。
うんうんとうなずきながら、入れておいた切り込みにマヨネーズを両面にべったりと塗る。この時点ですでにかなりおいしそうで、じゅるりと口の中に唾がたまったのを感じた。
はやる気持ちを抑え、丁寧にレタスと薄切りにしたトマト、スクランブルエッグを入れ込む。
「やば、やっぱ私かなり天才かも」
そのつぶやきとともに、ぐぐぐ~~というなんとも間抜けな腹の虫の鳴き声が厨房に響いたのであった。
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