悪逆第四皇子は僕のお兄ちゃんだぞっ! ~商人になりたいので悪逆皇子の兄と組むことにします~

野良猫のらん

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第一部 リューナジア城編

第四十一話 ジルベール先生、お怒り!?

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 今日はジルベール先生の授業の日!

「こんにちは、ジルベール先生!」
「ええ、こんにちは」

 彼はいつものにこにこ笑顔を返してくれた。
 それから真面目な顔をしてこう言い出した。

「私が専属執事になった後はどうか『ジルベール』と呼び捨てにして下さい。自分の執事を先生と呼んでは周りに示しがつかないですから」

「え、授業の時も?」

「ええ、授業の時もです。癖になってはいけないですからね」

 それからいつもの流れだと授業に入るのだが、今日のジルベール先生は「一つお聞きしたいことがあるのですが……」と切り出す。

「殿下、もしかして今まで実力を偽っておりましたね?」

 にこにこと笑みを浮かべるジルベール先生は、何故だかすごーく怒っているように見えた。
 だ、だって変な子供と思われたくなかったんだもん!

「本当はもう本を読めるのではないですか? 算数の授業もすぐに完璧に出来るようになるのに、時折わざとらしく一、二問落としておりましたね?」

「う、うぅ……」

 ジルベール先生にはお見通しだったらしい。

「……まあ、殿下の兄君の前例を考えれば詮無いことではありますね」

 先生はふっと表情を緩めた。

「ウィルフリート殿下はとても賢い方だと聞きました。その賢さ以上にずっと変人であるとも。カレン殿下もウィルフリート殿下に色々と教わったのでしょうけれど、それを隠したくなる気持ちも分かります。その突出した能力の高さは周囲の目に奇異に映るでしょうから」

 ジルベール先生は僕の知識はお兄ちゃんから教わったからだと思っているようだ。
 僕も特に否定しない。

「恥ずかしながら、私もウィルフリート殿下について囁かれる悪評を信じ込んでしまっていました」

 彼は後悔しているのか目を伏せる。

「ですが……真実がどうであろうとその才で金を生み出せるのなら関係ありませんよね!」
「う、うん」

 そういうこと、なのかなぁ?
 お兄ちゃんが悪人や悪魔憑きでないことは確かだけど、変人でないとまでは保証できないので曖昧に頷いておいた。

「さて、そういう訳でカリキュラムの見直しを行いました! 国語の方は実際に本を読んで実践に移りましょう。算数の方ももっと難しい問題をいたしましょう。さらに歴史と地理も始めていきましょう! カレン殿下ならできますよね?」

「ひ、ひえぇ……」

 何だか大変なことになってしまった。
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