百合厨な私は『悪役令嬢×クール令嬢』を成就させたいのに攻略男子が邪魔してくる~シンメトリカル・ロマンス

裏乃つむぐ

文字の大きさ
16 / 21

後悔と過ち

しおりを挟む
 昼休みが終わって授業を受けたが、全く身に入らず私は白くなって泡を吹いていた。ツンツンルームメイトやリック師匠が気にかけてくれたけれど、そっとしておいてほしいと告げると、話しかけることはなくなった。

 そして放課後、私は自習室にいた。部屋には丸いテーブルが六台ほど置かれている。

 私は机に突っ伏して、何が起きたのか再び思い出す。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん。ヴェネッサに嫌われちゃったあああああああああああああああ、きっとノエルにも引かれちゃったああああああああああああああああああああああああああああ」

 涙と鼻水を垂らしながら、自分の過ちを後悔していた。

 高慢なヴェネッサと掛け合ってイチャイチャしたかったという不純な動機が完全に裏目となり、彼女の逆鱗に触れてしまった。自業自得といえばそれまでだが、言ったことは私の本心だ。

(なんであそこまで怒ったんだろう……)

 何が彼女を怒らせたのかを考えてみる。

 彼女は公爵家という重責じゅうせきに耐え、友達を作ったり、悩みを打ち明けたりすることもなく孤高ここうに生きてきた。親の期待、周りの期待に応え続け、誰にも弱みを見せず公爵家の令嬢として振舞い続けてきた。

 そんな彼女が唯一上手くいっていなかったのが、アルフレッド王子との関係だ。

 もちろん許嫁は親が決めていて、彼女はそれを全うしようと努力したが、あのヘタレ王子はこともあろうに逃げてしまっている。そして、ヴェネッサは恋愛については未熟でどう関係を良くできるのかわかっていない。周りの女子がそんな二人を見れば、ヴェネッサ令嬢と上手くいっていないなら落とせるんじゃね?、と王子の権力に魅かれて擦り寄ってくる。

 さらに、王子は天然ジゴロな体質だ。

 グイグイしていない女の子でも話す機会があれば、もしかして私のことを好きなのかしら? と彼のことが気になり、権力と美貌に惑わされる。そんな女子が後を絶たないのではなかろうか。外から見れば、私もそんな女子と同じだと思われているだろうが……

 つまり、ヴェネッサは不安で焦っている。

 このまま上手くいかなければ、他の女に取られてしまうのではないのか?

 このまま上手くいかなければ、王子が拒絶するのではないか?

 そして。

 このまま上手くいかなければ、婚約破棄になってを裏切るのではないか?


 ……わかった。


 …………わかってしまった。


 そんな焦っている彼女の本心を突けば、怒るのは当然だ。

 彼氏と上手くいっていなくて悩んでいるところ、他の女子に「あんた、彼氏と上手くいってないっしょ、別れれば?」と言われるようなものだ。実際にそうだとしても別れたくないのなら、ムキになってイラつき怒ってしまうのは不思議ではない。
 
(はあ、結局口が滑ったのが原因か……恋愛レベルがマイナス1になってそう……)

 どうやって仲直り(仲良くはなかったけれど)すれば良いのか考えてみてもイマイチいい案が思いつかないし、ショックでもう動けない。

(立ち直るまで時間がかかりそう……)

 そんなことを考えていると、

「おーい、おーい」

 誰かが私に声をかけていた。突っ伏した状態で思考を巡らせていたので気が付かなかった。

(ん?)

 頭を上げて声の主を確認する。


「やっと気付いてくれたな。辛そうにしてるけどなんかあったのか?」


 私の前にいたのは、『緑色』の髪を持つ同学年の男子だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!

158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・ 2話完結を目指してます!

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

処理中です...