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第16話
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朝食を終えたアレン様を屋敷の外まで見送る。
「それじゃあ、行ってくるよエミリー」
「はい、いってらっしゃいませアレンさま」
アレン様はルークさんとともに出かけて行った。
遠方で開かれる宝飾品の品評会に出席するそうで、帰ってくるのは3日後らしい。
そして、それ以後はまた忙しい日々に戻るそうで私が食事を作る必要も無くなるそうだ。
正直なところ私はホッとしていた。
襟元に残されたキスマークを目撃して以来、アレン様と自然体で接することができなくなっていたから。
お飾りの妻である以上、キスマークの出所を追求することも、この屋敷から出奔することも許されない。
見上げれば空は快晴だったけど、心の中は曇天だった。
ガラガラと車輪を鳴らしながら馬車が遠ざかっていく
また1人だけの、寂しくも穏やかな日々が戻ってきた。
ザクッ!
手にしたスコップで庭の土を掘る。
アレン様の食事をつくる役割が終わり、再び暇ができた私はガーデニングをすることにした。
屋敷には植物を植えるのにぴったりの土があって半分を私の好きな花、もう半分をフローラさんの備忘録に書かれていた花を植える。
前々から少しずつ雑草を抜いて準備はしていた。
スコップで地面にくぼみを作り、苗や種を静かに置いてまた土をかぶせる。
「少し暑いわね・・・」
日差しの下で活動していたら汗をかいてしまった。
夕暮れになってから夕食を作った。
自分1人のために複数の料理を作るのは面倒なので肉も野菜もまとめて摂れるスープを作った。
「あら・・これは多く作りすぎたわね」
出来上がった鍋の中身を見て気づく。
ここ最近はアレン様・・・そしてルークさんの食事も用意していたせいだろう。
1人分のつもりだったのに明らかに3人分のスープができていた。
「可笑しいわね。フフッ・・」
浮かび上がった感情を誤魔化すように笑う。
「アレン様・・・今頃どうしているかしら」
考えても意味のないことを、つい考えながらスープを飲み干した。
「それじゃあ、行ってくるよエミリー」
「はい、いってらっしゃいませアレンさま」
アレン様はルークさんとともに出かけて行った。
遠方で開かれる宝飾品の品評会に出席するそうで、帰ってくるのは3日後らしい。
そして、それ以後はまた忙しい日々に戻るそうで私が食事を作る必要も無くなるそうだ。
正直なところ私はホッとしていた。
襟元に残されたキスマークを目撃して以来、アレン様と自然体で接することができなくなっていたから。
お飾りの妻である以上、キスマークの出所を追求することも、この屋敷から出奔することも許されない。
見上げれば空は快晴だったけど、心の中は曇天だった。
ガラガラと車輪を鳴らしながら馬車が遠ざかっていく
また1人だけの、寂しくも穏やかな日々が戻ってきた。
ザクッ!
手にしたスコップで庭の土を掘る。
アレン様の食事をつくる役割が終わり、再び暇ができた私はガーデニングをすることにした。
屋敷には植物を植えるのにぴったりの土があって半分を私の好きな花、もう半分をフローラさんの備忘録に書かれていた花を植える。
前々から少しずつ雑草を抜いて準備はしていた。
スコップで地面にくぼみを作り、苗や種を静かに置いてまた土をかぶせる。
「少し暑いわね・・・」
日差しの下で活動していたら汗をかいてしまった。
夕暮れになってから夕食を作った。
自分1人のために複数の料理を作るのは面倒なので肉も野菜もまとめて摂れるスープを作った。
「あら・・これは多く作りすぎたわね」
出来上がった鍋の中身を見て気づく。
ここ最近はアレン様・・・そしてルークさんの食事も用意していたせいだろう。
1人分のつもりだったのに明らかに3人分のスープができていた。
「可笑しいわね。フフッ・・」
浮かび上がった感情を誤魔化すように笑う。
「アレン様・・・今頃どうしているかしら」
考えても意味のないことを、つい考えながらスープを飲み干した。
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