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第二話

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 馬車から降りてきたのは、リリア・バインズ男爵令嬢改めリリア・デルヴィーニュ。足まで伸びる長いピンクの髪とくりくりの青い瞳と庇護欲をそそる可愛らしい顔をしていて、黙っていれば男性の目を引く雰囲気を持っている。

 半年ほど前にデルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュと結婚をしたものの、彼女のせいでライオネルは公爵家の跡継ぎから外されたり、隣のベルンハルト国との戦いで大怪我を負って意識不明になるなどいろいろと良くない事が起こり、新しく跡継ぎに指名されたキース・デルヴィーニュによって、領地内の別荘へ連れてこられたのだった。


 別荘は王都の公爵家の屋敷とも領都の広大な屋敷とも違い、平屋の小さくて可愛い建物とそれとは不似合いな高さの高めな塀にて構成されていて、幽閉されるにはピッタリな場所であった。そして、門には出入りする者を一人ずつ確認出来るように詰所があるのだった。

 リリアはキースに引きずられる様に別荘のエントランスへ入ってきた。領都から付いてきた騎士たちがリリアの王都にあった荷物の入った十個の大きなカバンを持って後から入ってきた。

 出迎えるのは、騎士っぽい身なりの20歳位と50歳位の男が二人と侍女とおぼしき50歳位のぽっちゃりした女性であった。

 キースが「これがリリア・デルヴィーニュだ。よろしく頼む」と三人に紹介した。

 リリアは相変わらず機嫌が悪そうだったが、一応挨拶をしようとした。

「私、リリア・デルヴィーニュ」

 嫌々自分の名前を伝えるだけと言うぞんざいな挨拶のしかたに三人は眉をひそめる。
 騎士のうちで歳が50歳ぐらいのややぽっちゃりとした白髪の混じった茶色い髪を短くしているマイケルが一応会釈しながらもしぶしぶ挨拶をするのだった。

「俺はマイケル。ここでまとめ役をしてる。よろしく」

 歳が20歳ぐらいの騎士でスラッとしていて肩まで薄い茶色い髪を伸ばしている穏やかな顔立ちのニールが礼をしながら挨拶をする。

「僕はニールです。リリア様、よろしくお願いいたします」

 最後に50歳ぐらいで茶色い髪の毛をボブにしていて、小柄でぽっちゃりとしたマリーが声をかけた。

「マリーです。よろしくお願いいたします」

 三人がそれぞれ礼を終えたのだった。
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