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暗殺者
Dom vs Dom
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セイフの邸の広いバルコニーは柵もなく、海の上に広く張り出していた。
ウェリスとセイフは、バルコニーに置かれたテーブルに、向かい合って座り、昼食を食べた。
セイフは、着替えることもなく、麻のシャツとズボンにサンダルで、ゆるやかに波打つ長い赤毛も、無造作に、ひとつに結んだままだ。
私的な食事会であることを、強調してだろうか。
滋養のある物と聞いて、うきうき、期待していたウェリスは、表情には出さないように努力しなければならないほど、とってもがっかりしていた。
滋養はあるのかもしれないけれど、元が何なのか、わからないほど、切り刻まれたり、煮崩されたり、混ぜ合わされたりした食べ物が、ソースをかけられて、お皿に、ちょこんと盛られている。
食べ物の味より、ソースの味しか、しない。
それを二口、三口で、食べ終わると――一口で食べられる量だったが、セイフをチラ見したら、フォークとナイフで切り分けて、ちょっとずつ食べていたので、ウェリスも、同じようにした…――召使いが空の皿を下げて、また、ちょこんと盛られた皿を、ウェリスの前に置くことが、何度も、繰り返された。
空の皿が下げられて、ソース塗れの魚の小さな切り身が載った皿が、ウェリスの前に置かれる。
フォークで、切り身のド真ん中をブっ刺して、一口で食べてしまいたい衝動を抑えて、ウェリスは、端っこにフォークを刺し、ナイフで小さく切り分け、口に運んだ。
口の中、魚の味は行方不明で、甘すぎるソースの味だけが広がってゆく……
ウェリスは、フォークとナイフを皿の端に置くと、ワインを飲む。
口の中の甘さが、苦いワインと混ざって、ちょうどいいくらいだった。
ウェリスの国でも、ワインを造っていたが、「熟成」という概念がなく、何年も寝かせたワインの味を「苦い」としか、舌が感じられない。
「あなたが望んでいるのは、ご自分の王国を、僭王から奪い返すことだけなのかな?」
セイフに聞かれて、ウェリスは、真顔を整えてから、見返した。
透き通った水晶のようなウェリスの瞳を、セイフの焦げ茶の垂れ目が見つめる。
「僭王の側近く、いらっしゃるあなたならば、それ以上を望めるのでは?」
「それ以上?」
ウェリスは聞き返す。海風が吹いて、銀色の髪を、きらきらと梳いた。
「たとえば、」
セイフは下を向き、魚の切り身の端をフォークで刺し、ナイフで切り分けた。
「このようなことをして」
「ふふっ」
ウェリスは笑ってしまった。セイフは顔を上げる。
食事で付いた脂で艶めく紅い唇を歪めて笑うウェリスに、セイフは見とれた。――ウェリスに笑われているのは、自分だということを知らずに。
思いっきり笑ってしまったので、ごまかしようもなく、笑うだけ笑って、ウェリスは答えた。
「お恥ずかしい話ですが、私は、魔力も、腕力も、僭王に敵いません」
魔力は互角、腕力は、ドニがバカ力なだけ!と、心の中で、ウェリスは訂正する。
「でも、あなたならば、」
ウェリスは下を向き、魚の切り身の端をフォークで刺し、ナイフで切り分けてみせた。そして、顔を上げ、セイフに尋ねる。
「できますか?」
「王城の中では、魔術が封じられている」
苦々しく言ってセイフは、ワインを一気に飲み干し、グラスを置いた。
「王城の扉の前には、透視魔術が仕掛けられている。カトラリーも持ち込めない」
徹底的に、直接的な言葉を避けるセイフに、ウェリスは感心する。
「寝首を掻く」とは言わずに、魚の切り身をナイフで切ってみせる。
「ナイフ」とは言わずに、カトラリーという表現にする。
権謀術数っぽいな!
やっと、ウェリスは楽しくなって来た。
「Come!」
突然、セイフが命令を怒鳴って、ウェリスは小首を傾げた。
テーブルに近付こうとしていたワインを持った召使いは、慌てて駆け寄った。
「申し訳ありませんっ」
謝って、セイフの空のグラスにワインを注いだ。
「命令されなければ、ワインも注げないのか」
「申し訳ありませんっ」
セイフに罵られて、また召使いは謝る。
ウェリスは、なんとなく感じてはいたが、召使いはSubだった。
暴力や暴言で、Subを支配したいDomもいる。
暴力や暴言で、Domに支配されたいSubもいる。
他人から見て、不快でも、当人たちは、互いに望んでいることなのかもしれない。
けれど、ウェリスは言わずにはいられなかった。
「彼は、ワインを注ぐために、テーブルに近付いて来ていましたよ」
召使いは、セイフの視界には入らないように、後方から近付いていたので、「あなたが気付かなかっただけです」ということは、言わないでおいた。
「そうですか」
セイフの、ただの返事を聞いて、ウェリスは悟った。
セイフは、ワインを持った召使いがテーブルに近付いているのが、見えていたとしても、命令を怒鳴ったにちがいない。
「いつまで、ここに、つっ立っているんだ?」
セイフが怒鳴る、空のグラスにワインを注いだ後、テーブルの側に立ったままの召使いを。
「申し訳ありませんっ」
謝るけれど、召使いはテーブルの側に立ったままでいる。
「Come」と、セイフに命令されたのだから、召使いが、ここから一歩も動けないのは、当たり前だった。
「GO」
そっと、ウェリスは召使いに命令した。
主人に仕える召使いに、他のDomが命令することは、失礼なことはわかっている。
でも、ウェリスは、怒鳴り声を聞かされ続けるのは、嫌だった。
召使いは顔を赤らめて、熱っぽい息をつくと、ウェリスに向かって、一礼して、退がった。
すぐさま、ウェリスは言った。
「失礼。話ができませんので。」
話の続きをするために、召使いに命令を使ったということにした。
セイフの片眉が、無意識に上がる。
自分が身も心も支配している召使いが、ウェリスに支配されて、快感すら覚えていたことに、吐き気のように、腹の底から不快が込み上げる。
召使いがウェリスの命令に従ったことは、Domとしてウェリスが、セイフよりも上位だという証でもあった。
セイフは不快を、ワインで飲み下した。
自分の快・不快で、この計画を台無しにしてしまうほど、愚かではなかった。
片眉は、上がったままだったが。
「カトラリーがあれば、いいのですか?」
ウェリスは聞いた。
「カトラリー?――あ。ああ…」
セイフは自分が言ったことを忘れていて、自分の皿に置いたフォークとナイフを見て、思い出した。
「ええ。カトラリーがあれば。」
ウェリスは、ビズーイに、セイフが何か、陰謀を提案して来たら、協力するふりをするように言われていた。
「私は透視魔術を受けません」
ウェリスは言った。
広間の奥の扉からウェリスが現れたことを、セイフは思い出した。
ウェリスは、透き通った水晶のような瞳で、セイフの焦げ茶の垂れ目を見つめて、微笑んだ。
「次の会議で、僭王の隣の椅子にお座りください。僭王の隣の椅子は、誰も座りたがりませんから、空いているでしょう。あなたの隣に、私が座りましょう。テーブルの下で、カトラリーをお渡しします」
自分が本の中の登場人物になったみたいで、ウェリスは心臓が、どきどきした。
ウェリスとセイフは、バルコニーに置かれたテーブルに、向かい合って座り、昼食を食べた。
セイフは、着替えることもなく、麻のシャツとズボンにサンダルで、ゆるやかに波打つ長い赤毛も、無造作に、ひとつに結んだままだ。
私的な食事会であることを、強調してだろうか。
滋養のある物と聞いて、うきうき、期待していたウェリスは、表情には出さないように努力しなければならないほど、とってもがっかりしていた。
滋養はあるのかもしれないけれど、元が何なのか、わからないほど、切り刻まれたり、煮崩されたり、混ぜ合わされたりした食べ物が、ソースをかけられて、お皿に、ちょこんと盛られている。
食べ物の味より、ソースの味しか、しない。
それを二口、三口で、食べ終わると――一口で食べられる量だったが、セイフをチラ見したら、フォークとナイフで切り分けて、ちょっとずつ食べていたので、ウェリスも、同じようにした…――召使いが空の皿を下げて、また、ちょこんと盛られた皿を、ウェリスの前に置くことが、何度も、繰り返された。
空の皿が下げられて、ソース塗れの魚の小さな切り身が載った皿が、ウェリスの前に置かれる。
フォークで、切り身のド真ん中をブっ刺して、一口で食べてしまいたい衝動を抑えて、ウェリスは、端っこにフォークを刺し、ナイフで小さく切り分け、口に運んだ。
口の中、魚の味は行方不明で、甘すぎるソースの味だけが広がってゆく……
ウェリスは、フォークとナイフを皿の端に置くと、ワインを飲む。
口の中の甘さが、苦いワインと混ざって、ちょうどいいくらいだった。
ウェリスの国でも、ワインを造っていたが、「熟成」という概念がなく、何年も寝かせたワインの味を「苦い」としか、舌が感じられない。
「あなたが望んでいるのは、ご自分の王国を、僭王から奪い返すことだけなのかな?」
セイフに聞かれて、ウェリスは、真顔を整えてから、見返した。
透き通った水晶のようなウェリスの瞳を、セイフの焦げ茶の垂れ目が見つめる。
「僭王の側近く、いらっしゃるあなたならば、それ以上を望めるのでは?」
「それ以上?」
ウェリスは聞き返す。海風が吹いて、銀色の髪を、きらきらと梳いた。
「たとえば、」
セイフは下を向き、魚の切り身の端をフォークで刺し、ナイフで切り分けた。
「このようなことをして」
「ふふっ」
ウェリスは笑ってしまった。セイフは顔を上げる。
食事で付いた脂で艶めく紅い唇を歪めて笑うウェリスに、セイフは見とれた。――ウェリスに笑われているのは、自分だということを知らずに。
思いっきり笑ってしまったので、ごまかしようもなく、笑うだけ笑って、ウェリスは答えた。
「お恥ずかしい話ですが、私は、魔力も、腕力も、僭王に敵いません」
魔力は互角、腕力は、ドニがバカ力なだけ!と、心の中で、ウェリスは訂正する。
「でも、あなたならば、」
ウェリスは下を向き、魚の切り身の端をフォークで刺し、ナイフで切り分けてみせた。そして、顔を上げ、セイフに尋ねる。
「できますか?」
「王城の中では、魔術が封じられている」
苦々しく言ってセイフは、ワインを一気に飲み干し、グラスを置いた。
「王城の扉の前には、透視魔術が仕掛けられている。カトラリーも持ち込めない」
徹底的に、直接的な言葉を避けるセイフに、ウェリスは感心する。
「寝首を掻く」とは言わずに、魚の切り身をナイフで切ってみせる。
「ナイフ」とは言わずに、カトラリーという表現にする。
権謀術数っぽいな!
やっと、ウェリスは楽しくなって来た。
「Come!」
突然、セイフが命令を怒鳴って、ウェリスは小首を傾げた。
テーブルに近付こうとしていたワインを持った召使いは、慌てて駆け寄った。
「申し訳ありませんっ」
謝って、セイフの空のグラスにワインを注いだ。
「命令されなければ、ワインも注げないのか」
「申し訳ありませんっ」
セイフに罵られて、また召使いは謝る。
ウェリスは、なんとなく感じてはいたが、召使いはSubだった。
暴力や暴言で、Subを支配したいDomもいる。
暴力や暴言で、Domに支配されたいSubもいる。
他人から見て、不快でも、当人たちは、互いに望んでいることなのかもしれない。
けれど、ウェリスは言わずにはいられなかった。
「彼は、ワインを注ぐために、テーブルに近付いて来ていましたよ」
召使いは、セイフの視界には入らないように、後方から近付いていたので、「あなたが気付かなかっただけです」ということは、言わないでおいた。
「そうですか」
セイフの、ただの返事を聞いて、ウェリスは悟った。
セイフは、ワインを持った召使いがテーブルに近付いているのが、見えていたとしても、命令を怒鳴ったにちがいない。
「いつまで、ここに、つっ立っているんだ?」
セイフが怒鳴る、空のグラスにワインを注いだ後、テーブルの側に立ったままの召使いを。
「申し訳ありませんっ」
謝るけれど、召使いはテーブルの側に立ったままでいる。
「Come」と、セイフに命令されたのだから、召使いが、ここから一歩も動けないのは、当たり前だった。
「GO」
そっと、ウェリスは召使いに命令した。
主人に仕える召使いに、他のDomが命令することは、失礼なことはわかっている。
でも、ウェリスは、怒鳴り声を聞かされ続けるのは、嫌だった。
召使いは顔を赤らめて、熱っぽい息をつくと、ウェリスに向かって、一礼して、退がった。
すぐさま、ウェリスは言った。
「失礼。話ができませんので。」
話の続きをするために、召使いに命令を使ったということにした。
セイフの片眉が、無意識に上がる。
自分が身も心も支配している召使いが、ウェリスに支配されて、快感すら覚えていたことに、吐き気のように、腹の底から不快が込み上げる。
召使いがウェリスの命令に従ったことは、Domとしてウェリスが、セイフよりも上位だという証でもあった。
セイフは不快を、ワインで飲み下した。
自分の快・不快で、この計画を台無しにしてしまうほど、愚かではなかった。
片眉は、上がったままだったが。
「カトラリーがあれば、いいのですか?」
ウェリスは聞いた。
「カトラリー?――あ。ああ…」
セイフは自分が言ったことを忘れていて、自分の皿に置いたフォークとナイフを見て、思い出した。
「ええ。カトラリーがあれば。」
ウェリスは、ビズーイに、セイフが何か、陰謀を提案して来たら、協力するふりをするように言われていた。
「私は透視魔術を受けません」
ウェリスは言った。
広間の奥の扉からウェリスが現れたことを、セイフは思い出した。
ウェリスは、透き通った水晶のような瞳で、セイフの焦げ茶の垂れ目を見つめて、微笑んだ。
「次の会議で、僭王の隣の椅子にお座りください。僭王の隣の椅子は、誰も座りたがりませんから、空いているでしょう。あなたの隣に、私が座りましょう。テーブルの下で、カトラリーをお渡しします」
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