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第四章 伝説編

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「‥っ‥今なんて!?」


二人で同じ言葉を叫び思考が一瞬とまる


舞台の上には笑顔で手を振る行かず後家姉妹と、異国の姫風に着飾ったアルがオドオドしながら立っていた


「あれは間違いなくアルだ!俺がアルを見間違う筈がないっ」


「──…っ…」


言い切るロイドにルイスは言葉が詰まる

‥アルだって!?
でも、俺だって姫を見間違う筈はっ


――…っ

クソッ‥なんてこった!

じゃあ何か!?
あの時俺が抱いた姫は…アル、だって‥‥ことに──


ルイスは額に手を当て思考を必死でまとめる。

ロイドは静かに取り乱すそんなルイスに掴み掛った。


「ル‥イス‥

まさかお前――っ」

「嫌、違う!!
似てると思ったが全然違った…っ…
姫はもっとナイスバディだ!
そうか、あれはアルか?なんだ、孫にも衣装だな。なかなかいいんじゃないか!? はは……っ…」


何かを言いかけたロイドの言葉を遮り、ルイスは一気に巻くしたてると渇いた笑い声をあげた。


「………そ、そうか?なら‥いいんだが…」

「あぁ、どうやら俺の目当ての獲物は来てないみたいだ!! 今日は身近で手を打つよ、じゃなっ」



早口で語ると、先ほど色目を使ってきていた娘達の方へと歩いて行く
後ろ姿が何だかぎこちない。

ロイドはそんなルイスを見送ると、舞台の方へと歩みよった。


“では、今回のオークションの品々をご紹介しましょう。手掛けたのはあの、人気若手画家ウッホ!!”


‥え💧!?なんでウッホが…


アナウンスの紹介でウッホが舞台に上がり客に挨拶している
そんなウッホの登場にアルは嫌な予感が拭えない。

そして、ジェシカ達の後ろに隠れるように立っていたアルに照明が向けられた。


“では、本日の主役!流星の如く現れた我等がアイドル!
―――ディーア!‥‥”


アルは司会者の言葉に驚いた。

‥えぇ!?思いっきり女だってバラしてんじゃん💦


客がざわざわしはじめた中、アナウンスは構わず続けられる―――

“‥‥の双子のお姉さーん!!”


‥何!?💧


このアナウンスにはロイドもドギマギしていた



訳がわからないとオロオロするアルにジェシカはウィンクしながらコ言った‥

「この方が都合いいでしょ
アルもこれからは心置きなく女の子の格好できるし堂々とデートだってできるんだから…ね‥」


「‥あ‥‥//‥ぅん
ありがと‥‥‥」

‥なんだ、‥そういうことだったんだ‥//




ジェシカ達の優しい企みにアルは涙が出そうになった

男の子の格好しかできない自分の為を思ってわざわざこんな‥‥//

ありがとう‥ホントに…


嬉しそうに笑みを浮かべるアルに招待客の目が奪われる


「アル‥笑顔で挨拶して」

ジェシカはこそっと囁いた。

アルは言われた通り満面の笑みを浮かべ手を振る

そんなアルの笑顔に会場のあちらこちらから、ため息が漏れていた‥



“では、モデルの挨拶がすんだところで肖像画のオークションを始めます!!”


「おぉぉ──‥!」


アナウンスと共に会場がどよめき、品々に掛けられていた白い布が一気に剥がれた!!



‥え💧‥

うそっ!?‥モデルの挨拶って///


動揺を隠せないアルを尻目に開始されたオークションでアルの裸婦画にはどんどん高値がつけられていく。


「くそっ‥//
ジェシカ達のやつ‥
なんだよコレはっ…」

ロイドは人目に晒されたアルの裸婦画に怒りが込みあげてきていた。



「さぁ、オークションは係りの者に任してあたくし達はパーティを楽しみましょ」

「‥///💦」


早く舞台から降りたい!

アルはそそくさとジェシカ達の後について舞台を降りる




「ジェシカ!ジュリア!!

これは一体どういうことだ!?」


舞台を降りたジェシカ達にロイドがつっかかるッ


周りの男達のアルを見る目が許せない!!
アルの裸婦画を見る目も‥全てが許せなかった‥



「あら、ロイド‥
このオークションで調達した資金は全て親を亡くした子供達や学校の維持費に寄付されるのよ‥
何か文句でもおありかしら?」


「―――ぐっ💧‥」

ジェシカの反論にロイドは言葉が返せない

「でも‥アルは‥‥アルは嫌だろ!?」


ロイドはアルに訴えるように聞き返す
そしてアルはジェシカ達に言った


「ホントに?
ホントに寄付されるの?」

「もちろんそうよ‥
あの絵が売れたら丸々寄付するわ。ウッホも是非って言ってるし‥
アルは嫌かしら?」


「―――‥‥嫌じゃない!!」

「な、…っ…アル」

しばし考えたアルの答えにロイドは焦る

「ほらっ!!
だーれも文句ないでしょ?だから邪魔よロイド!
あたくし達は今から“一流狩り”に行くんだから」

「“一流狩り”?
なんだよそれ!?アルっ!」

ジェシカに扇子で追い払われながらもロイドはアルの名を呼ぶ 



「アル‥―――」


ロイドはアルに向かって手を伸ばす
真っ直ぐに見つめながらロイドは懇願の眼差しをアルに向けていた


「言ったろ‥
二人で一緒にって…」

「‥‥それは…//」


ロイドに見つめられ、アルは一瞬考えた‥


「ねぇ、ロイドも一緒じゃダメ?」

「紳士狩りに行くのに男連れてどうすんのよバカね」

「‥‥💦」

ダメもとで相談してみたアルだったが予想通り、即却下された。

「でも、姉様?狩りは後からにしたほうが‥
皆さんオークションに夢中で舞台の中心に集まってて狩れそうもありませんわ💧」

確かに会場は舞台に人だかりができており、暇を持て余しているのは軟派目的の二流以下しか見当たらない‥

「しょうがないわね💧
じゃあアル、後で迎えにくるからロイドと遊んでやんなさいな」


「ぇ…っ…
じゃあみんなで遊っ‥」


立ち去るジェシカ達を引き止めようとしたアルの手をロイドは強引に引き戻す


「二人で‥っだろ?」

「‥‥💧‥//」

なんか違う気がっ‥


揺らぐ瞳に見据えられアルはさりげなく目を反らした‥

ロイドの眼差しに熱がこもる

綺麗に着飾ったアルが眩しくてしょうがない――

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