ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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4章 初夏

1

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「はぁ…」


「苗ちん‥浮かない顔してどうしたの?」



高校生活初めての初夏を迎え、結城学園にも慣れた頃。可愛い夏の制服に身を包み浮かれる女子生徒が増える中、ただ一人暗雲の陰を宿らしている者がいた…


由美は元気のない苗に声をかけた。


「ウチの隣がマンション建て始めたんだょ…それから陽当たりが悪いのなんのって‥‥」

苗は大きな溜息を吐いて肩を落とす。

「なんだそんなこと?‥あたしは又、苗んとこのオトンが警察に捕まったかと思ったよ‥‥酔っ払ってバス停、移動させて‥」


「不吉なこと言うのやめておくれ。
ただでさえ身重のオカン抱えてるのにっ…」

苗は言いながら頭を抱えて机に伏せる。

「ああっ…ほんとウチの洗濯物の量って半端じゃないじゃん!ガッツリとお陽様当たってくれないと乾かないんだよね!」


「はは、なるほどね‥‥もう主婦の悩み事ベスト4に入るネタだね」


「‥ほんとだよ‥‥」


女子高生らしかぬ話題に項垂れる。苗達がそんなシビアな語りをしていると妙に浮かれた奴がやってきた‥

「苗ー!由美ぃ!!
見て見て、じゃあ~ん!
結城の夏服!!作っちゃいましたぁ
どぅ!?可愛いっしょ? 」


中島は苗達の前でしきりにターンを披露してポーズを決めていた。

「あっいいじゃん!ねぇ中ちゃん!!もっとターンして!」



「え、そう!?」


苗のお立てにのった中島はしきりにターンを繰り返す…


‥ふぃ~、涼しい~



その間、苗は中島のターンで送り込まれる涼風を堪能していた。


「ちょっと苗!?
いい加減疲れるけどっ!?」

「ごみん」


「でも、やっぱ結城の制服可愛いね!
あたしのも早く出来ないかなぁ…」


中島の制服姿を見て由美が呟いた。
その言葉に苗はショックを受ける‥



「えぇっ!?由美も制服作ったの!?」


「うん、だって二ノ宮の夏服はまだ作ってなかったからちょうどよかったし…」


―ガタッ!‥‥‥‥


「なえちん?」
「苗?」


フラリと立ち上がる苗に二人は呼びかける
。苗のその唇は何かを呟くようにボソボソと動いていた…


「ど、どうしたの苗っ‥」

「裏切ったわね‥」

「へっ!?ちょっと苗ちんっ!!!」


苗はフルフルと震えるとその一言だけを発して泣き叫びながら教室を飛び出して行った。


ダダダダ──!

ぐぇぇっ‥ぇぐっうぅ
ぅわあぁぁーん?!



「なんだ!?あの声は‥」


晴樹達は獣の雄叫びのような声と地鳴りに驚き廊下に顔を出した!



窓から顔を出すと見覚えのある後ろ姿が勢い良く渡り廊下を突き抜け3年の校舎へ向かって行く──


「あれって田中さん?」

一緒に窓を覗いた直哉が言った。


「見たいだな‥‥ちょっと行ってくる‥‥」

小さくなっていく苗の後を晴樹は追った‥



「ぐぇぇっうぅっ……お姉さ~んっ!!うぅっ‥」


苗はちょうど晴樹達のいる2年の校舎に向かっていたお嬢軍団を見つけ、ランチをしたあの日、握手を交わしたお嬢の胸にしがみついた!!


「あら‥
たしか、1年の晴樹の
“妹”ちゃんだったよね‥どうしたの!?」



「グスッ‥うぅぇっぇ‥

ぜ‥ぜいふく‥‥グスッぅぅ」


苗はおえつ交じりにくちゃくちゃな顔で訴えた‥


「ぜいふく?‥
(どうでもいいけど凄い顔‥あまりくっつかないでっ)」


「苗っ──!」


お嬢が苗の言葉の理解に苦しんでいると晴樹が走り込んできた、そしてその後から直哉もやってくる‥


「晴樹!!
今から、そっちに行くとこだったの!」


お嬢が晴樹を見るなり黄色い声で喋りだす、だが晴樹は構わずに苗に話しかけた

「どうした?苗‥
3年の校舎に何の用だよ?」

優しく語りかける晴樹に苗はしがみついていたお嬢の胸から顔をあげた…



「うぅっ‥‥グスッ‥
兄たん‥せいふくがぁ‥」

…兄たん?

‥どうでもいいけど凄い顔だな‥‥


「直哉‥お前、ティッシュ持ってるか?」


直哉は返事の変わりに肩をすくめ、そして何かを思い出し立ち去ると戻ってきて手にしていた物は‥‥‥
トイレットペーパーだった


「サンキュ‥‥‥ティッシュより
こっちの方が拭きやすい」


晴樹はペーパーを手に取ると洪水のようにしたたる苗の鼻水をブシュブシュッと拭いてくれた


そしてもう一度問いかける晴樹に苗はシクシク泣きながら語り始めた…



「‥‥なるほどね‥ウチの夏服が欲しいと……
んで3年のこいつらが余分に持ってるんじゃないかって?‥」


晴樹は苗の言い分を聞いてお嬢に目配せした。


「あたし達も今年限りで着ないし余分にあるからあげても構わないけど‥‥
サイズがちょっと‥‥」

「たしかに‥‥」


納得する晴樹をよそに苗は再び“うぅっ”と涙を溜める‥


そぅ苗は、自分では
ぽっちゃりだと自覚しているが、周りから見ると…

ぽっちゃり×2.5‥だった

「‥‥わかった!苗っお前後でサイズを紙に書いてこい!ここの卒業生当たってみるから‥な!
だからもう泣くなよ 」


晴樹はぐずる苗の手を引き1年の教室へと連れて行った‥


そして取り残されたお嬢達は‥‥‥


「あの子‥憎めないんだけど、なんだか邪魔だわ」


「でも晴樹、ホンキで妹みたいにかわいがってるし‥」


「手なずけてみる?」



晴樹争奪戦に苗は知らずに巻き込まれるのだった‥‥












「あれ!?うそ‥‥‥
苗じゃん!!
晴樹サンと手ぇつないでる」


突然、走り去った苗を心配していた中島達は戻って来た苗の姿を見て驚いた。


苗は腫れた目で晴樹と直哉とご機嫌な様子で語りながら教室に戻って来た


「あっ、由美!中ちゃん聞いて!
あたしも結城の制服着れるかもだょ!!」



苗は中島達を見つけると晴樹達に手を振り中島の元に走り寄ってきた。


「なんで!?もしかして晴樹サンにあんた、おねだりしたんじゃ‥
(苗ならヤリかねない…)」


「違うょ
まさか、あたしもそこまではしないって!!」


苗は弁解しながら事の経緯を話した‥



「へぇ‥
でも、結局は晴樹サンが面倒見るんじゃない‥‥
苗ってちょっと、晴樹サンに迷惑かけすぎなんじゃなぃ?」


「…中ちゃん?」

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