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5章 田中家
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晴樹は車から大量の荷物を下ろしながら苗の家を眺めた。
ここに10人で住んでんのか?ある意味凄いな…っ…
木造二階建て5LDK
築32年。
ちなみに周りにどんどん建てられているのは結城グループのマンションだった。
この辺りは土地開発の為に急激に高騰し、一部の土地を除き他はすべて買収できたと聞いている‥
‥その一部って苗の家だったのか…っ…
晴樹は新築のビルに囲まれた木造の古民家を眺め、苦笑う。ただ、ここも借家だ。大家は売る気満々だったが住民の立ち退きに手間取っているとの情報だった。
そう。長い間住んでいると例え借家でも居住権が発生してしまう。
苗は追い出されてはイカン!! と思い、立ち退きのネタになってしまう滞納していた家賃を一括で払い込んでいた。
そのために当分は今まで以上に苦しい生活を余儀なくされる。
従って、苗にとってたまにお持ち帰りをくれる存在の晴樹は拝んでも拝みきれないありがた~い人になっていたのだ。
買い物した荷物を晴樹は苗と一緒に玄関に運び込む。
「……よっ…と、苗。重いのは俺が運ぶから……っ」
まとめ買いした重い食材を置いて顔を上げると、晴樹の目の前には同じ顔が三つ並んでいた。
そして、晴樹を見るなり奥の部屋に向けて叫ぶ。
「姉ちゃんが男連れて帰ってきたぞ――っ!」
・
後ろから荷物を運んできた苗は三人の弟達を見て目を見張った。
「陸っー!!
あんた頭に何被ってんのっ…」
よく見れば三つ子のウチの一人。陸と呼ばれた弟は頭に白い猫ミミのような物を巻き付けていた。
「あんたまたっ姉ちゃんのブラジャーでそんなことして!!」
「だ、だってっ…ニャンだーマンに変身するにはコレが一番なんだ!!」
猫耳を庇うように陸は両手で頭を隠す。
陸達は三人でプロレスをする度に苗のブラを活用していた。
晴樹の目の前で揉み合うように取っ組み合いの姉弟喧嘩が始まる。
‥ニャンだーマン?‥‥
ああ!今、人気の覆面プロレスラーか…
晴樹は苗と陸のプロレスをしばしの間眺めた。そして苗の決め技が入る!!
「ぅお…っ…姉ちゃん!ギブですっ…ごめんなさいぃっ!!!」
足裏で股間に繰り出される苗の電気アンマ攻撃に、陸は悶絶を打ちながらぐったりと絶えた……。
「ほらっあんた達も荷物運んで!」
勝ち誇ったように苗は指示を出す。
…さすが…っ…高級レストランで持ち帰りする根性といい──
伊達に十人家族を切り盛りしてる訳じゃねぇな……
晴樹は密かに感心した。
「みんな兄さんにお礼言って!!
あの美味しい持ち帰りは兄さんが持たせてくれたんだから」
「ぇ!?じゃあこの兄ちゃんがあのパスタ兄さんか!?」
三つ子は同時に叫んだ。
・
「頼むからあんまり見ないでくれる?」
キラキラとした視線がむず痒い。
晴樹がパスタ兄さんだとわかった瞬間、三つ子の態度が変わる。三人は晴樹を羨望の眼差しで見つめ始めた。
「そっくりだな?苗は見分けつくんだろ?」
晴樹の問いに苗はサラッと応えた。
「うん。ブラを被ってたのが陸(りく)で、今奥に行ったのが海(かい)。んで、そこでキャベツ担いでるのが空(そら)」
「へぇ‥さすがだな…」
指を差して説明されても区別するのが難しい。
「じゃ、兄さん上がって!すごく狭い家で申し訳ないけど…」
車の荷物も全部運び終わり、晴樹は苗に誘われるまま家に上がった。
「……っ」
‥マジで狭いな…
擦りきれて色の変わり果てた畳みの居間に、長方形の座卓が二台繋げて置いてある。
テーブルには苗のW祖父母のペアがちょこんと座っていた。
そして、隅の方では腹巻きにステテコ姿で横になり尻を掻きながらテレビを観ている人が居る……。
‥!!…
もしかして‥満作父さん?
「もう!!また、父ちゃんそんな恰好してっ…お客さんだよ!!」
苗の口にした言葉に晴樹は思わず頬が緩んだ。
‥やっぱり、満作父さん!!
微かに嬉しさを漂わせる晴樹の前で、満作はせっかくくつろいでいるところを苗に無理矢理引っ張り起こされていた。
そして、満作は晴樹と目が合う……。
「お!なんだ苗のコレか!?お前ぇもやるなぁっ!さすが、俺の娘だ!ガハハっ」
・
ここに10人で住んでんのか?ある意味凄いな…っ…
木造二階建て5LDK
築32年。
ちなみに周りにどんどん建てられているのは結城グループのマンションだった。
この辺りは土地開発の為に急激に高騰し、一部の土地を除き他はすべて買収できたと聞いている‥
‥その一部って苗の家だったのか…っ…
晴樹は新築のビルに囲まれた木造の古民家を眺め、苦笑う。ただ、ここも借家だ。大家は売る気満々だったが住民の立ち退きに手間取っているとの情報だった。
そう。長い間住んでいると例え借家でも居住権が発生してしまう。
苗は追い出されてはイカン!! と思い、立ち退きのネタになってしまう滞納していた家賃を一括で払い込んでいた。
そのために当分は今まで以上に苦しい生活を余儀なくされる。
従って、苗にとってたまにお持ち帰りをくれる存在の晴樹は拝んでも拝みきれないありがた~い人になっていたのだ。
買い物した荷物を晴樹は苗と一緒に玄関に運び込む。
「……よっ…と、苗。重いのは俺が運ぶから……っ」
まとめ買いした重い食材を置いて顔を上げると、晴樹の目の前には同じ顔が三つ並んでいた。
そして、晴樹を見るなり奥の部屋に向けて叫ぶ。
「姉ちゃんが男連れて帰ってきたぞ――っ!」
・
後ろから荷物を運んできた苗は三人の弟達を見て目を見張った。
「陸っー!!
あんた頭に何被ってんのっ…」
よく見れば三つ子のウチの一人。陸と呼ばれた弟は頭に白い猫ミミのような物を巻き付けていた。
「あんたまたっ姉ちゃんのブラジャーでそんなことして!!」
「だ、だってっ…ニャンだーマンに変身するにはコレが一番なんだ!!」
猫耳を庇うように陸は両手で頭を隠す。
陸達は三人でプロレスをする度に苗のブラを活用していた。
晴樹の目の前で揉み合うように取っ組み合いの姉弟喧嘩が始まる。
‥ニャンだーマン?‥‥
ああ!今、人気の覆面プロレスラーか…
晴樹は苗と陸のプロレスをしばしの間眺めた。そして苗の決め技が入る!!
「ぅお…っ…姉ちゃん!ギブですっ…ごめんなさいぃっ!!!」
足裏で股間に繰り出される苗の電気アンマ攻撃に、陸は悶絶を打ちながらぐったりと絶えた……。
「ほらっあんた達も荷物運んで!」
勝ち誇ったように苗は指示を出す。
…さすが…っ…高級レストランで持ち帰りする根性といい──
伊達に十人家族を切り盛りしてる訳じゃねぇな……
晴樹は密かに感心した。
「みんな兄さんにお礼言って!!
あの美味しい持ち帰りは兄さんが持たせてくれたんだから」
「ぇ!?じゃあこの兄ちゃんがあのパスタ兄さんか!?」
三つ子は同時に叫んだ。
・
「頼むからあんまり見ないでくれる?」
キラキラとした視線がむず痒い。
晴樹がパスタ兄さんだとわかった瞬間、三つ子の態度が変わる。三人は晴樹を羨望の眼差しで見つめ始めた。
「そっくりだな?苗は見分けつくんだろ?」
晴樹の問いに苗はサラッと応えた。
「うん。ブラを被ってたのが陸(りく)で、今奥に行ったのが海(かい)。んで、そこでキャベツ担いでるのが空(そら)」
「へぇ‥さすがだな…」
指を差して説明されても区別するのが難しい。
「じゃ、兄さん上がって!すごく狭い家で申し訳ないけど…」
車の荷物も全部運び終わり、晴樹は苗に誘われるまま家に上がった。
「……っ」
‥マジで狭いな…
擦りきれて色の変わり果てた畳みの居間に、長方形の座卓が二台繋げて置いてある。
テーブルには苗のW祖父母のペアがちょこんと座っていた。
そして、隅の方では腹巻きにステテコ姿で横になり尻を掻きながらテレビを観ている人が居る……。
‥!!…
もしかして‥満作父さん?
「もう!!また、父ちゃんそんな恰好してっ…お客さんだよ!!」
苗の口にした言葉に晴樹は思わず頬が緩んだ。
‥やっぱり、満作父さん!!
微かに嬉しさを漂わせる晴樹の前で、満作はせっかくくつろいでいるところを苗に無理矢理引っ張り起こされていた。
そして、満作は晴樹と目が合う……。
「お!なんだ苗のコレか!?お前ぇもやるなぁっ!さすが、俺の娘だ!ガハハっ」
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