ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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6章 伝説マン

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そして、チラッと夏目を見ると再び苗に話しかける

「何?苗、バレーに出るのか?」


「うん、兄さんは何やるの?」

「俺はバスケだよ‥」


「バスケだけ!?」

苗は確認した

「あぁ‥なんで確認するんだ?」


「だって、兄さん噂によると伝説のプレイヤーらしいじゃん!!
バレーに出られたら困るからさっ、今回はなんとしても勝ちたいんだょ!!」


「なんで?」


熱弁する苗に晴樹は聞いた

「だって、各種目ごとに優勝したらノート貰えるんだって!!
だから今、絶対勝つための秘策を練ってるとこ!」


親しそうに話す二人を夏目は驚きながら見つめていると苗の裏切り行為が始まった…


「なんだ‥ノートが欲しいのか?
それで、あの気合いの入れようだったのか?」

晴樹はさっきのGOーGOー言ってた苗の姿を思い出した。

「てやんでぃ!だって、
ノート10冊だよ!?
その上、鉛筆1ダースがついてきやがるんだ!ちきしょぅめっ!!
勝たずにいられるかってんだ!!!」



‥なんで江戸弁なんだよっ?

興奮気味の苗に晴樹は一瞬たじろぎ言った

「‥ノートが欲しいんなら俺が手に入れてやるよ」

そんな晴樹の余裕の言葉に夏目は少しムッとしている



そして苗は素直に喜んでいた

「えっ!?兄さん、ほんと!?マジで手に入れたら苗にくれる!?」

「ああ、どうせならたくさんほしいんだろ?」

「うん!あればあるだけ、欲しっ‥」

「…っ…ちょっと待てよ苗!」


晴樹の言葉にウンウン頷く苗を見て夏目が口を出した

「皆で頑張って優勝しようって苗が言ったんだぜ!?
何、他力本願してんだよっ」


‥なんだ、この1年‥
しかも苗?‥‥
なに呼び捨てしてくれてんだ?このガキ!?
そして、明らかに俺に喧嘩売ってきてやがる!!


そう‥確かに夏目の態度は晴樹に喧嘩を売っている…


「別に他力本願じゃないょもちろん自分達でも頑張るに決まってんじゃん!!
バレー部門は男子も女子も1年が勝ち取ればいいんだよっ
だから、兄さんはバスケで優勝してね!!」



密かに威嚇し合う二人の雰囲気にも気づく事なく
苗は悪びれずに語る…
もう、頭の中にはノートをどっさりと手に入れた自分の姿しか思い浮かばなかった‥‥



「晴樹さーん‥いい加減に戻ってきて下さいっ」


遠くから直哉が呼んでいる。晴樹は仕方なしに戻り、そして直哉に言った‥

「やっぱ、さっきの却下!今回も各種目に出れるだけ出るって伝えてくれ!」



そして次の日から大会に向けて各自練習が毎日行われている‥


練習をするようになってから数日がたった昼休み‥

屋上でのランチタイムにはなぜか夏目も交ざっていた‥


実は最初の話し合いの時に“練習なんか必要ない”
といいだした、やる気のない夏目を苗は弁当作ってくるから一緒に頑張ろう!!
そう言って口説き落としていたのだった


女の子の手作り弁当…

これは男子学生の永遠の憧れではないだろうか?

夏目はついつい“弁当”
と言う響きに惹かれてしまっていた‥


夏目は手作り弁当を広げ苗達と昼を過ごす‥


「ねぇ、なんで夏目君、最近田中サン達と一緒にいるの!?」


「わかんない‥でも、田中サン夏目君にお弁当作ってきてるじゃん‥‥
付き合ってるのかも‥」

「うそ、やだぁ
あたし夏目君狙ってたのに!!」



他のテーブルでランチしてる女子達は苗達の様子をみながらボソボソと話している



「由美はバスケどんな?
あんまり練習してなさそうだけど‥」


バレー部門は朝練と放課後も練習してるのに対し、由美達のバスケ部門はなんだか余裕を持て余していた‥



「それがさぁ、結城先輩がバスケ部門だって解ってからみんな諦めモードなんだよね~
あたし、まさか伝説の1年生プレイヤーが結城先輩だとは思わなかったょ‥

19歳なら大人なはずだよね~、アメリカに留学かぁ…やっぱりセレブなんだよなぁ経営学勉強に行くなんてさぁ!なんか、期待された次期若社長って感じ!!」


由美はホゥ~とため息をついた‥


「‥‥見てみろよ、噂をすればなんとやら。だぜ?」

夏目がそう言いながら顎をしゃくった方を見ると、屋上のドアから晴樹が現れた…手には何やら大きな紙袋を下げている。


そして、こっちに向かってくる晴樹の目が一瞬、夏目の方に注がれ足が止まった‥‥‥




「兄さん!どーしたの?」

晴樹の複雑な表情にも気づかず苗は無邪気に手を振ってくる


「昨日、拓海さんから連絡があって制服を‥‥」


晴樹はそう 言いながら隣のテーブルから余ってた椅子を引き寄せ苗の隣に腰掛けた‥


「みんなでいつも弁当食ってんのか?」

晴樹は夏目をチラッと見る‥その視線には“なんで
お前もいるんだ!?”そんな思いが込められているようだった。



そして、夏目もその雰囲気を感じ取っている。夏目の晴樹を見る目も鋭くなっていた‥

二人の雰囲気に気づかず鈍感な苗は火に油を注ぎ始める


「試合で勝てるように今、朝も放課後も練習してるから、大ちゃんの分も弁当作ってきてんだよ‥大ちゃん自分の弁当早弁するからさぁ」


「弁当作ってきてる!?」


苗の言葉に晴樹は目を向いて聞き返した。
覗いて見ると確かに同じ弁当箱に中身も同じおかず‥‥


「へえ‥」

晴樹の声のトーンが下がると同時にその場の雰囲気も変わってきた‥‥


そして、晴樹はいきなり夏目の弁当の玉子焼きを盗み食いする!!


「ちょっ、あんた何すんだよ!?」

「あんた!?お前、俺に向かってあんたたぁイイ度胸してるな!?え!?」

「──っ…(しまった‥ついっ…)」


椅子から立ち上がって睨み合う二人を苗はなだめる。

「まぁまぁ、落ち着いて‥兄さんも玉子焼き欲しいんだったら苗のを取ればいいんだよ。
はぃ、大ちゃんには苗のをあげるからこれで兄さんを許してあげて!」


苗はそう言いながら自分の玉子焼きをフォークでさして、はぃ、ぁ~んして‥
そう言い夏目に玉子焼きを差し出した。




──!?っ
‥っ…なんだそれっ!?


目を見開き額に青筋を立てる晴樹をよそに、夏目は赤くなりながら苗に向けて口をぁ~んと開けた…



「‥ぁ~ん…」



パクっ!













!?・・・・・なにっ!!



夏目は目を剥く!!



「サンキュ!やっぱり旨いな!苗の料理は!!」








身を乗り出して玉子焼きを頬張ったのは晴樹の口だった……。


「兄さんてば‥」

知らなかった‥兄さんそんなに玉子焼き好きなんだ‥


晴樹の行動が誤解を招いた瞬間だった‥‥‥


「俺っ!知らなかったな!!案外、結城先輩って大人げないんですね!!」


横から割り込まれ奪われた玉子焼きの恨みも兼ねて夏目は皮肉った。


「‥‥う」


確かに、今の行動は自分でも大人げないと思う‥‥

でも仕方ない‥‥
ムカつくものはムカつく‥‥
なんでムカつくのかわからないが、晴樹はなんだか苛々してしょうがなかった


「じ‥じゃあ…制服ここに置いておくから忘れずに持ってかえれよ!
あと、拓海さんの事務所のTel番書いてあるからお礼の電話して‥」


晴樹はそれだけ言い残し自分の大人げない行動に違和感を感じながら、ムカつく思いを堪え屋上を後にした‥‥‥


自分の教室に足を向けて晴樹はいろいろ考える。



‥あいつら毎日、一緒に練習してるのか?



体育館で楽しそうに夏目と話していた苗を思い出した‥



‥くそ!なんかムカつく!!


晴樹はキリキリと痛む胸を抑えた‥‥

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