ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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8章 宣戦布告

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「いやぁ~助かった‥‥
たかがノートでも数あるとめちゃめちゃ重いもんね!」



ご機嫌な口調で語りながら校舎に向う苗に夏目が言う

「苗‥しょっちゅう、結城先輩に送って貰ってんのか?‥」

「えっ、んなことないよ~この間、一回送って貰っただけだょ!!」


「えっ!?じゃぁなえちん、あのボロ屋を結城先輩に見せちゃったの?!」

「‥由美、何もそこまで‥‥‥
てまぁ、見せただけじゃなくウチのファミリーも紹介したけどね‥」


苗の言葉に由美は尊敬した

「勇気あるね‥なえちん」

「それはどーゆーこと!?」


「何?苗の家族ってそんなにすごいの!?」


夏目が食い付いてきた‥


「別に人数多いってだけで普通だょ、たぶん‥」

苗も自分の言葉に自信がない。
そんな苗の様子を見て夏目は言った

「‥‥俺も行っていい?」

「‥‥ウチの家族は見せ物じゃないっスょ」


「ごめん、ダメならいい‥」


シュンとなる夏目を見て苗は考えると何かを思いついた

「‥そだ!打ち上げやろうか!?お好み焼きパーティーしよう!!今日は3時で終わりだし、あたしもバイトないからさっちょうど小腹もすく頃だし由美も来るでしょ?
久しぶりにおいでよ!!」


「う~んいいね!
あたしも今日は塾ないから行く!」




「──…っ!」


待ち合わせ場所に来ていた三人に晴樹は一瞬、絶句していた‥

「…あ、あのね…

みんな‥
乗せてくれる…かなっ

‥ウチでお好みパーティーしようって話になってさ」

晴樹は眉間にシワを寄せる。

「あ、もちろん兄さんもどうかなっ?」


「当たり前だ!ボケっ
行くに決まってんだろ!!」

晴樹はキレていた。


‥由美はわかるがなんでコイツがいる!?



晴樹はムシャクシャしながら三人を車に乗せる‥そして苗は更に晴樹を不愉快にさせるのだった‥‥



「ねぇ由美‥」

苗は由美にコソッと耳打ちした

「せっかくだから、助手席に座んなょ!」

「えっ、マジで?
‥‥ぃぃのかな?///‥」

「いいって別に、誰が隣でも兄さんには関係ないんだからさ!今の内に携番聞いてアピっちゃいなょっ」



「んじゃ、大ちゃん!あたしらはこっち!!」

「えっ!?ちょっ?///‥」

苗はそういうと夏目の手を引きさっさと後部座席に乗り込んだ‥


「──っ!?‥‥」


そして晴樹はキレまくる。

「あの~、あたし、助手席でいいですか?」



額に青筋を立てる晴樹に由美は顔を赤らめ確認した‥


「あぁ…構わないよ」


晴樹は笑顔を引きつらせながら運転席に乗り込む。
そして異様な雰囲気の短いドライブが始まった。


「由美?どう!?助手席の乗り心地は?」


「最高~!さすが高級車だよね。座席の座り心地もウチのファミリーカーと全然違う〰!!」


無言の晴樹をよそに盛り上がる二人を見て夏目は苗にコソッと話しかけた‥

「苗は助手席じゃなくてよかったのか?」

自分の隣で何となく嬉しい気もするが‥ミラー越しにたまに睨みを利かしてくる晴樹の存在も気になる。

苗は夏目の耳元でヒソヒソ話しを始めた‥

「あのね‥実は由美が兄さんを狙ってるの‥
だから…ボソボソボソ‥‥」

苗の吐息と共に囁きが耳に伝わり甘い疼きに変わる‥

夏目は真っ赤になりながらうんうん、頷いて苗の言葉を聞きとっていた‥‥‥


‥なに、コイツらそんなにくっついて内緒話ししてんだ!?


晴樹が再びミラーで後ろを覗くと苗と真っ赤になって接近している夏目の姿が映る!



「そうなんだ!‥////」

「そう!だから大ちゃんも協力してね」




にこにこ微笑み合う二人にキレた晴樹はハンドルを急に切り返す!!


ブォン!キキッ──!!


「おわっ!?とっと‥

──!っ…

ご、ごめん!苗っ///」


夏目は苗の下敷きになりながら謝った

晴樹のその行動が裏目に出てしまったのだ。


‥くそっしまった!!



急ハンドルを晴樹がきったお陰でシートベルトをしていない後部座席の二人は互いにぶつかり重なりあっている‥‥‥


二人の態勢は接近から密着に変わっていた──


「兄さんどうしたの?!ネコでも牽きそうだった?」


夏目の上に乗った態勢のまま苗が聞いた!

「なんでもないから早くソイツの上からどけよ!!」


自分のせいだとはいえ、許せないものは許せない‥‥なぜ、許せないかわからないが再びイライラが晴樹の心を支配しはじめた‥


晴樹の言葉に苗は慌てて夏目から身を起こした。が、途端に夏目に腕を引き戻されてしまった

「うぁ!?」

態勢を崩した苗は再び夏目の水泳で鍛え挙げられた厚い胸板に覆い被さる


そして、夏目もはっとしていた。

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