ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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8章 宣戦布告

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‥‥ヤバい──

俺‥ドMかもしんねぇ///


苗に責められ微妙に興奮する自分がいた。
股間はちょっぴり元気になりつつある…



「大ちゃん?
もう許してあげるからこっちおいでょ?」


うつ伏せで上半身を起こしたまま、一向に席につかない夏目に苗は声をかける

陸は席に着いてとっくにお好みを頬張っていた‥

「苗、ほっとけよ…
起き上がれない理由でもあるんだろ?
“変態”なりに!」


晴樹はフン!と鼻で笑いながら夏目を小バカにした



‥‥ちくしょ〰〰
憶えとけょ!じじぃ!!




結局その夜は田中家でだらだらと夕飯まで突入し、大人数での晩餐となった…


ご機嫌になったほろ酔い気分の満作は一人でオカンとのラブラブなれそめを語りだす…

「いやぁ、母ちゃんは可愛いくてなぁ~俺ぁ一目惚れしたんだけどょ!中々二人きりになるチャンスがなくってなぁ~」


農大の園芸部に通っていたオカンに別の部の講師の臨時助手で来ていた満作は恋に落ちたらしかった‥‥

「そしたらある日、農具倉庫のそばでプリプリ可愛いケツ揺らしながら母ちゃんが通り掛かるじゃねぇか!!
俺ぁ堪らなくなってなぁ!ガハハハ!!!」

満作は豪快に笑いながら言った

…………………………………

「母ちゃんを農具倉庫の中に引っ張りこんでガッツリ、ドッキングしちまった!んで、出来たのがコレだ!!」

‥‥ドッキング!??


満作の話しを聞きながら晴樹達は戸惑っていた。


苗を指差す満作をオカンは照れながらこづいている──

満作27、
母ちゃん(咲子)19の春の出来事だった‥‥


「男はそのくらい強引じゃなきゃイカン!!!」


「また、始まった…
‥‥みんな、別に聞かなくてもいいからね」


苗は呆れ顔でみんなに気をつかっている…


「じゃぁ、ご馳走様!」

「うん、兄さんも大ちゃんも今日はホントにありがとう‥‥‥ほらっあんた達もお礼言って!ノートいっぱいくれたんだから!!」

苗は弟達に言ってきかせる

「ありがとな!パスタの兄ちゃんもイエローも!!」

「(イエロー…)

‥あぁ、またな‥‥」

陸は夏目と握手をかわしその手小さな包みをそっと握らせた‥

「友情の証だ!
黙って受け取れっ」

そう言って親指をグッと立てウィンクをした

「あぁ‥ありがとう‥

(嫌な予感がする‥)」

不安を浮かべ礼を言いながら夏目はポケットに入れた包みの感触を確認した…

………………………………………

「じゃあ、兄さんも二人をお願いね!
意味もなく急ハンドルは切っちゃダメだょ💧
安全運転でお願いします」


「わかってるよ」

苗は晴樹に釘を刺すと車に乗り込むみんなを見送る


「由美ちゃん、助手席に乗んな」

晴樹は由美に微笑み言った

そして夏目は後部座席に乗り込む‥‥

「じゃあ、月曜日にね!」

自分達に手を振る苗の姿がだんだん見えなくなる…
晴樹は由美の家を説明してもらい無事に自宅に送ると暗い車内は晴樹と夏目だけになった。


夏目の自宅までナビの案内道理に進む。
ふと、静かな沈黙を夏目が破った…

「結城先輩って苗の何なんですか?」

夏目のいきなりな質問に晴樹は、はあ?と聞き返した


「付き合ってるわけでもないのに妙に苗に構うなと思って‥‥」

「別にお前には関係ないだろ?」

‥いきなり何言い出すんだコイツっ?

晴樹から返ってきた言葉に夏目はムッとした

「関係無くないですよ‥
俺‥‥苗のこと好きだから…」

「──…っ
だったらなんだよ!?
お前が苗のこと好きだからって俺には関係ないだろ!?」

‥なんだ?コイツ!?
めちゃめちゃムカつく…


…………………………………………

苗のことをはっきり好きだと言いきる夏目に晴樹は何故か苛だちはじめた

「先輩、別に苗のこと何とも思ってないんなら手を引いてもらえませんか?
はっきり言って―――
すごく邪魔です!!」


――!?なっ‥‥


ミラー越しに自分を見つめてくる夏目に晴樹は息を飲む‥

“苗にこれ以上近づくな!!”

真剣なその眼差しは晴樹にしっかりとそう意思表示していた…


「‥‥‥
着いたぞ‥‥‥」

晴樹はミラーから目をそらし夏目に言う
車は夏目の家の前に着いていた

「‥まだ、返事聞いてないです…
苗のこと何ともっ‥」

「着いてるっつてんだろ!?早く降りろよッ!!」


キレる晴樹に今度は夏目が息をのんだ‥

──恐ェー‥

やっぱ迫力ある…



そう、晴樹と中学が同じ兄貴を持つ夏目は晴樹のその頃の荒れかたを知っていたのだ。

晴樹は昔、結城家の三男坊は手がつけられないほどの荒くれ者だと、有名だった‥‥

ただ早くに悪さをしつくしそして大人になるのも早かっただけのこと…
キレ方は堂に入ったものがある。


迫力は昔のままだった…



晴樹の迫力に制圧され夏目は仕方なしに後部座席から降りる…
だが夏目も引かない

…………………………………………

車を降り、発進仕掛けた助手席のフロントを叩く夏目に晴樹は仕方なく窓を開け、ため息をつきながら言った

「今度はなんだ!?」


夏目は身をかがめ車内の晴樹に強い口調でいった


「あんたに苗は絶対渡さないから!!」


晴樹はその言葉に目を見開いた。一瞬で逆上した晴樹は車から素早く降りると夏目の胸ぐらを掴んだ!


「いいか…よく聞けよ‥‥言い方には気をつけろ!!

苗は妹みたいなもんだ…


‥わかったら、うざったいコト、二度と言わすな…」


「‥ゴクッ‥」


獲物を見据えるような睨み。ドスを効かした低い声で静かに威圧する晴樹に夏目は無言のまま生唾を飲み込む

そして、晴樹は夏目を解放すると車に乗り苛だつままにアクセルを踏み込み急発進した――



「‥‥‥恐ェ〰…」

走り去った高級車を見送りしばしその場から動けない夏目は冷や汗を拭いながらその言葉を口にしていた‥


‥なんなんだ!?
あのくそガキ!!‥


(苗は妹みたいなもんだ!)

そうだ‥‥‥
妹みたいなもんなんだ‥


“俺、苗のコト好きだから‥”

‥だからなんだ!?
勝手にすればいい!!
俺には関係ないんだから…


俺には関係ない‥

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