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10章 無敵伝説
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しおりを挟む『やる気のある奴だけ上がってこいっ──』
晴樹と貴志のその焚き付けるような表情にチームの奴らは息をのんだ‥
― ‥ゴクッ‥喧嘩だって‥‥
― あぁ…久しぶりだな
― やるか‥‥久々に!…
― そうだな‥
晴樹サン達がデスナイツの無敵伝説轟(とどろ)かせてからどこからも喧嘩売られなくなってたもんな!
口々にメンバーの口からまってました!!
とばかりに思いが発せられ、ぬるま湯につかりきった表情が次第に引き締まる――
そこに居たメンバー皆の眼光がギラギラと揺らぎ始めていた‥
メンバーの顔つきが変わったのを確認して晴樹と貴志は目配せをし合う‥
そして、貴志は良二の肩に腕をかけ、引き寄せると耳にフッと息をかけた
良二の全身が、ゾクッと総毛立つ。
そして耳元で囁く…
「いいか…チームにやる気を出させるのもトップの役目だ‥‥‥
しっかり憶えとけよ。」
「はぃ…」
冷や汗をかきながら返事する良二に晴樹は脅しをかける
「良二‥‥わかってると思うけどチーム同士の喧嘩で一番に狙われるのはトップだ‥頭やられりゃチームは終わりだからな、負けたくなきゃ勝つしかねぇ‥
だから、お前らもトップは守れよ!!頭、狩られりゃチームの恥だ!わかったな!!」
…………………………………………
晴樹の言葉にメンバー全員が気合いの入った返事を返した
「じゃあ、今日は解散!」
貴志の言葉にメンバーがぞろぞろと退いていく‥‥
そして、晴樹は良二の後ろ姿に声をかけた
「良二!」
「はい?!]
「お前が一番、気を抜くんじゃねぇぞ」
「‥‥大丈夫ッスよ!」
良二はそう返事して帰って行く‥
「なんだ?アイツ余裕だな」
良二のイキイキした表情に貴志が呆れて言った
「一番、血が騒いでるのがアイツだろ?
喧嘩したくて狙われまくってた頃の俺らのチーム入ったんだからな‥‥
周りが静かになってから、他のメンバーよりアイツが一番退屈だったはずだ。
まぁ、あいつなら強いから心配はない──
ただ、トップ任すにはしっかり育ててやんなきゃなんねぇってのは今回で、俺も学んだょ‥」
「…そりゃそうだ‥ガキの社会だろうが大人の社会だろうが‥‥
極道社会でも同じだからな、頭使わずのほほんとしてる奴らは蹴落とされる‥
ましてや、こっちの世界だと命に関わる‥‥
毎日、神経研ぎ澄ましてなきゃなんねぇからな…
甘い考えで極道入ってヒーヒー言ってる奴らって結構いるぜ!?
正直、一番厳しい世界だからな」
……………………………………………
「結局、楽して生きられる社会なんてどこにもないんだよな」
「そーゆーことっ!」
貴志のボヤキに晴樹が相づちを打っていた‥
ジリリ‥〰ン
晴樹達が人間社会について語ってる時に、田中家で
今時、珍しいダイヤル式黒電話が鳴り響く‥‥
ガチャ―
―「はぃ、モスモス‥」
『(モスモス?)あ、田中サンのお宅ですか?夏目といいます。
苗サンをお願いしたいんですが‥‥///』
「ん゛?誰だお前ぇ!?」
『あの、夏目と‥
(さっき言わなかったっけか?)』
電話に出たのは満作のようだった…
女の子の家に電話して父親に出られる事ほど気まずいことはない。
一度は顔を合わせているが個人的に、電話で話すとなるとやっぱり緊張する
夏目は携帯を握る手に冷や汗をかいていた‥
ましてや、今度のデートのことについての話し‥
‥“なんの用だ!?”なんて聞かれたらどうするよっ?
夏目は焦っていた‥
…………………………………………
「夏目ぇ?おぉ!
イエローか!?ガハハ!
ちょっと待て、今、
苗と代わるからよぉ」
『(イエロー?)ハィ…』
陸がしきりに夏目のことをイエローと呼んでいたため満作はそっちを憶えてしまっていた
なんだか、上機嫌の満作は受話器越しに苗を呼んでいる‥‥
よかった──機嫌よさそうだ‥
夏目はホッとした
そして受話器越しに妙に甲高い裏声が聞こえてきた…
「‥モチモチィ~、あたち苗ェ‥パパは今、海外に出張中!ママはパーティーなのぉ!!また、遊びに来てねぇ!‥‥‥」
『‥‥‥‥‥‥』
受話器から流れてきたのはまさしくあの、
“リカちゃん電話”の名ゼリフ!!‥‥‥
『‥‥あの‥‥
‥ま、‥満作お父さん?
‥ですよね?』
「‥‥‥‥‥」
受話器越しにチッ!と言う舌打ちとバレたか!?という呟きが聞こえる…
そして遠くで‥父ちゃん!?何やってんの!!?‥
叫ぶ苗のそんな声が聞こえてきた
「もすもす!?苗だけど今のは気にしないでね」
『・・・
いゃ、いいけど別に‥
(てか、お前もモスモスなのか‥)』
「ところで、お前サンはどちらサンだかね?」
苗は満作から何も聞かぬまま受話器を奪いとっていた
…………………………………………
『‥‥‥あー、苗?
俺だけど‥わかる?///』
‥なんか、電話って照れるな///
苗の声を確かめ、夏目は土曜日の予定や待ち合わせを確認した‥‥
そして、一番気になってることを聞いてみる‥‥
『あのさ‥‥土曜日は何時くらいまでに帰ればいいのかなって‥思って///』
そう、夏目は実は400㏄のバイクの免許を持っていた
‥‥食事をして映画をみたら二人で港近くまでツーリングに‥‥そう考えていたのだ
そして、テトラポットに腰掛け夏の星空を眺めながら苗の肩を抱き寄せ愛を囁く‥‥‥
熱く見つめる大介を前に苗はうっとりとしながら瞳を閉じた‥‥‥
夏目の
サマーLoveシナリオは完全に出来上がっていた。
「時間?ウチは放任主義だからあんまうるさくはないよ‥居場所だけ連絡しとけば大丈夫だけど、とりあえず映画観たら帰る。他にすることないっしょ?別に‥‥‥」
『あ、あぁ‥‥
それも、そだな‥
(クソッ俺のシナリオが!!──)
じゃあ、終わってから考えようぜ!
‥‥ああ、じゃあな!!』
プッッ―ッ―
‥‥‥‥ふぅっ‥
///──っ
‥‥俺は諦めないからな!
夏目はシナリオ続行を心に誓った…
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