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10章 無敵伝説
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しおりを挟む唇の感触にうっとりとしたまま苗を見つめると苗の視線が不意に窓の外に向けられた、その先を追うと‥
「──…//」
いつから居たんだっ?//
カラフルな傘が三つ‥ゆらゆらと車の外で揺れ動く‥‥
その下には六つの瞳と紅葉のような手がフロントガラスに
しっかりと貼りついていた
雨のカーテンは傘で遮られいつの間にか消え去っている
俺は無言で苗とシートを元に戻した‥‥
「兄ちゃんの車が見えたからまた、荷物いっぱいあるかもと思って気ぃ利かしたんだぜっ偉いだろ!」
焦って車から降りてきた晴樹に傘を手渡し陸達は得意気に胸をはった
「あ、‥ああっ‥
偉いなっ──‥」
晴樹はその一言を返すのがやっとだった‥‥‥‥
田中家での夕食も三度目を迎え晴樹もこの食卓の雰囲気になれてきていた頃、満作が上機嫌で晴樹に語りかける
「お前は芋焼酎はイケる口か?」
「?‥はぃ‥とりあえず酒なら好き嫌いは‥‥」
「よし、気に入った!
苗!!兄ちゃんにグラス持ってこい!!」
半分、出来上がった満作は飲み友達が欲しくなっていた
…………………………………………
満作の相手を適当にしながら晴樹は酒を呑む‥
「兄さん‥
酔っ払いの相手上手いね」
感心する苗に晴樹は不敵な笑みを返すと苗の耳元で囁いた
「何でも上手いぜ‥
‥試してみるか?」
「…けっこうです」
意味深な言葉を呟き苗を熱い視線で見つめる‥‥
‥兄さん‥‥‥
もう‥パスタ兄さんって呼べない‥‥‥‥
今度から‥ハレンチ兄さんに改名するよ!
苗の心の中で確定した瞬間だった…
気持ち良く呑み潰れ豪快なイビキをかく満作に布団を被せ苗は片付けのため、台所に立つ
そして、晴樹の頼んだ代行を待っている間に陸は晴樹にソッとブラを差し出した‥
「……?…」
「兄ちゃん、カッコイイからさ‥特別にブラックの称号、与えてやるっ‥」
「遠慮しとく」
晴樹にはっきりと断られ陸は寂しそうに姿を消した──
「兄ちゃん!!コレ教えてくれるか?」
立ち去った陸の次に空が算数のノートを持って立っていた‥
…………………………………………
「なんだ?宿題か?」
「うん、姉ちゃんが兄ちゃんに教えて貰えって‥
兄ちゃんスキップしてるから頭いいんだっ!て言ってたぞ!!」
「なに!?スキップすると頭良くなるのか!?
オレ!ツーステップ得意だけど、頭は良くなんねぇぜ?」
「…」
いつの間にか晴樹の隣に座り込んでいた海が言った‥
「じゃぁまたな。」
代行が来て車に乗り込む晴樹を皆で見送る‥‥
「姉ちゃん!!」
晴樹を見送ると海が声をかけてきた
「なに?」
「兄ちゃんと結婚すんのか?」
「なんで?」
「だって、ちゅぅ~って
してたからもう赤ちゃんできちゃったんだろ?」
「‥‥‥‥
はっ!?
そー言えば、なんだかお腹が五ヶ月目みたいにっ」
「ずっと前からじゃん
そのお腹‥」
「…ぬっ!?」
苗の殺気を背後に感じ陸は慌てて家に入っていく
そして海はボヤく、
「オレ兄ちゃんにちゅぅ 教えてもらおっと!
んで、由美姉ちゃんと結婚するんだ」
「その前にスキップも練習するんだろ?」
「……──」
苗は弟達の背中を見守りつつ家に入っていった…
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