ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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15章 恋心

2

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―ガラ―!


「ふぃ~、アチぃだょ~

めちゃめちゃアチぃだょ~

風呂入っても意味ナッシング!!」

苗は風呂から上がり体を拭きながら汗をかいている。
「姉ちゃん!フロ上がったらイエローが連絡くれってさっ。ワン切りでいいって言ってたぞ」

「イエロー…って、大ちゃんが?」

苗の大きな独り言を聞き付けて、海が脱衣所の苗に夏目からの伝言を伝えた。

「じゃな!ちゃんと言ったからな!」

「わかっただよ」

廊下を走り去る海の足音を見送り、とりあえず暑さを冷ますのが先だと苗は頭にタオルを巻いて扇風機を占領した‥

「あんまり長いこと扇風機に当たるのは良くないのよ!
早く髪も乾かしなさい!!」


オカンに怒られシブシブと脱衣所で髪を乾かす‥


再びドライヤーの熱で汗をかいて扇風機に当たる苗にオカンはまた声を荒らげた──


「明日からテストなんだから早く寝なさい!!」


「‥‥‥ハィ」


二階の狭い部屋に上がり、二つの二段ベッドが占領している部屋で苗は下段のベッドに横になる‥

そして、普段持ち慣れないせいで肌身から手放し台所に置いたままの携帯電話は、チカチカと寂しくメール受信のサインを送り続けていた…













‥‥返事が‥


来ない…


「………」


晴樹は家に帰ってから携帯を閉じては開く‥その動作を繰り返していた‥





……………………………
送信先
……………………………
[苗]
……………………………


今日はご馳走様。
明日、テスト頑張れよ!

おやすみ。

……………………………








絵文字も打ってやりたかったがそんな柄ではないと思い、なんの飾り気もない言葉を送った‥

でもせめて「おやすみ」
その一言でいいから返して欲しい‥‥‥



メールまでもが一方通行なのか‥‥‥



コレならいつでも連絡とれる、声が聞ける‥
そう思って渡した筈なのに──


便利な機械はかえって晴樹の不安を尚更、煽る物になっていた‥‥‥

晴樹は閉じた携帯電話をまた開く。



―ちゅぱ(^3^)/―



「………」


昼に顔文字を打つ練習をしていた苗からのメールを眺める‥

隅の方には鍵マーク。

保護設定がされていた‥



昨日の夜中に欲張ってキスしたから今日の契約はしていないに等しい‥‥‥


晴樹は切ないため息をゆっくりと吐き出す。



毎日一回じゃ…

ぜんぜん、足りねぇ‥






───────────
好きだ

俺だけにして欲しい。

俺もお前だけだから


───────────



そんな言葉を打ち込んだメール‥


それは送る事ができないまま、晴樹の未送信ボックスに保存されていた…



‥アイツ──…

すんげぇ長風呂だな?‥






そして、ここにも一人‥

好きな娘からの連絡を待ち侘びる少年がいた‥




いったいそんなに時間かけてドコ洗ってんだ!?‥//‥



そう思うと夏目はいきなり抱きしめていた布団を掻き抱く!




クソッ
俺が洗ってやりてぇ〰///


‥‥‥勇気を出して、





初めての洗いっこ‥








てっ…バカじゃん俺ッ///
何、考えてんだ!??…//


((;´д`)ホント、あんたぁバカだょ…作者)













洗いっこ‥か‥‥



すげぇ いいかも‥//‥‥





奴の妄想は止まる所を知らない──






やっぱ‥‥‥手で洗ってあげた方がいいよな‥‥///



苗って敏感肌っぽいし‥







‥‥敏‥感‥‥‥//‥





「──っ…やばっ」



夏目はベッドの脇の棚に手を伸ばし、そっと枕元にティッシュを置いた‥‥‥



◇◇◇



テスト期間も最終日を迎え来週末からは夏休みが始まる。


♪~
着信―兄さん―

「はぃ!もすもす!!

苗は今から現場に向かうでおじゃる!」

『……そ、そうか?
俺ももう少ししたら行くから』


晴樹から貰った携帯電話もだいぶ扱いに慣れた頃…
苗はこのテスト期間の間、晴樹に毎日車で送ってもらっていた‥‥



夏目もテスト期間で忙しいのかあの日以来、苗と連絡をとっていない‥


というか…

連絡を取る事が出来なかった──




あの日の夜、夏目は苗からの連絡をずっと待ち続けて結局夜を明かしたのだ‥


‥苗の奴、結局昨日電話して来なかったな‥‥‥
よし、‥‥今日もう一度電話してみよう!!!


気持ちを落ち着けながらそうして次の日の夜に田中家に電話をすると‥‥‥

プツー── と言う通信音の後に音声アナウンスが流れる‥

〔お掛けになった番号はお客様の都合により‥‥〕


「───…」


そして夏目は静かに携帯を閉じた。


こうなりゃ帰りに直で話すしかないな…

そう踏ん切りをつけた夏目は放課後に苗の教室へ走る。


「由美!苗は?」

「もう帰ったよ?」

「もう帰っ……そか…わかった……」

努力も虚しく、夏目はこういったすれ違いの日々をテスト末日の今日まで繰り返す‥


夏目は早く電話代を払ってくれるよう、祈るばかりだった‥



そして、苗はいつも通り晴樹の車が止めてある駐車場に向かっていた──。



晴樹が苗を送っていることは内緒にするように晴樹に口止めされている。


『なんで内緒なの?』

『お前を送ってるって知ったら余計あいつら、まとわりついて来るだろ!?
ただでさえ、撒くの大変なのに‥』

『たまには遊んであげればイイじゃん!
その方が落ち着くかもしれないょ?きっと逃げるから追うんだょ!女豹の心理ってやつだね!!』

『そ‥りゃそうかもしれないけど‥』

‥アイツらと遊ぶ時間があったらお前との時間に回すに決まってんだろ!?
〰っとにコイツはムカつくことばっか!












そんなやり取りをし、とりあえず苗は由美にも晴樹と帰っているのは内緒にしている‥‥


‥由美‥ごめんね‥‥

苗は兄さんと援交してるから‥‥‥

苗は由美に後ろめたさを覚えつつ溜め息する。

苗には援助してもらうためのノルマがあった‥

〔毎日一回のキス‥〕



生活のためなんだょ‥‥



苗は心で詫びた‥


従って由美も、毎日の様に放課後の教室に苗を向かえに来る夏目も、何故に苗がそそくさと早く帰るのか理由が解らないままだったのだ。

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