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16章 温泉旅行
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しおりを挟む上から睨みつけキレる晴樹に苗は小芝居を打った。
「兄さんとの思い出が欲しかったの‥‥‥」
「‥//‥」
石畳みの地べたに女座りしシクシク泣き真似を始める‥
嘘泣きなのは丸わかりだがそぅ言われて悪いきはしない‥‥
晴樹はため息を付きながらカメラを返した‥
「写真なら後で撮ればいいだろ?ももう、上がるから。
大人しく部屋で待ってろよ‥な?」
優しくいい聞かせるように言うとほらっ!と苗を部屋の方へ押しやった‥
‥っとに…
何で風呂を撮るんだよっ?だったら二人で入って撮る方が思い出になるはずだろ!?
――ピカッ!
…!?──〰〰〰っ
納得いかないまま浴衣に着替える晴樹に再び光が放たれた──!
「苗ぇーっ!!」
振り返ると、慌てて走り去る苗の後ろ姿とドタァ!と派手に転ぶ音が聞こえる。
「クスン‥‥‥痛ひ(泣)‥」
「自業自得だっ!
たく、早く風呂入ってこいよ
その間に食事の準備してもらうから‥」
苗は赤く擦り剥いた肘と膝を交互にさすりながら露天に向かった‥
―チャポン
‥うーん夜はフラッシュたいちゃうからバレちゃうんだょね~
・
苗は露天につかりながら計画を練り直す‥
‥やっぱセクシーショットなら朝風呂とかだったらバレずに撮れるかも♪
それか、お酒で酔わせて脱がすとか‥‥
んーナイスです!!
明日も泊まりだから飲んでもだいじょびだょね!
よしよし!そうしょぅ!
苗は一人でゥンウン頷いていた
風呂から上がった苗は目の前に並ぶ豪華な夕食に瞳を輝かせる‥
そして俺は浴衣を着た苗の湯上がり姿に胸が疼いた‥
肩下の髪を無造作に結び、少し濡れたえりあしのおくれ毛に目を奪われ、普段感じない色気の部分が際立ち俺は堪らずそこから目を反らした‥
「旨いか?」
俺の問いかけに笑顔のみで答え無心にサザエをつつく姿が可愛い‥‥
俺はやっぱりこの笑顔が好きだ‥‥‥
そして無邪気過ぎる笑顔を見て思う‥‥‥
コイツは俺が今、どんな気持ちでいるか解ってんだろうか?‥
このあと俺が‥
二人きりで何がしたいかを‥
「さぁさ!
兄さん飲んで飲んで!!
運転お疲れ様!」
そう言っていつの間に注文したのか、冷酒を手にして晴樹の隣に座り込み苗はお酌を始めた。
・
お猪口に注がれた酒を飲み干すと、かんぱつ入れずにどんどん注いでくる。
そして時折、御作りの刺身をあ~ん、と言って口に運んでくれた‥
‥///‥どこぞの飲み屋かよ、ここは?
少し酔いが回ってきたのか晴樹は苗に酒を注がれるまま飲み干し、箸で食べ物を与えられるまま口にしていた‥
‥ちぃ、やっぱ強いな兄さん‥
この作戦は失敗かな…
苗はそう思いながらビールに冷酒を混ぜた。
「兄さん!
冷酒ばっかりだと飽きるでしょ?
ビールはいかがかね!?」
ビールを勧める苗に晴樹は素直にグラスを差し出した‥
「ん‥?」
一口飲んで手がとまる‥
そしてまた、口を付けた‥
「コクがあるな?
このビール!」
気に入ったらしい。
最初に飲んでたビールと同じラベルの瓶を眺め首を傾げている晴樹に苗は冷や汗をかいていた‥
‥やっぱ失敗だ──
苗は大人しく自分の場所に座りご馳走を貪り始めた‥
苗、お手製の冷酒割りビールが気に入った晴樹はいつの間にか瓶を空にして、密かにでき上がっている。
酔ってはいるが顔に出ないせいで苗には解らない。
・
「はぁ~食べたねぇ‥‥
さすがに生モノだから持って帰れないかぁ‥‥‥」
いつもどうりの苗の発言に苦笑いしながら晴樹は言った
「帰りになんか土産でも買ってきゃいいだろ?
明日もあるんだから。」
「それもそだね!」
嬉しそうに笑う苗に晴樹も笑みを返した‥
そして、旅館の人が食事の後を片付け布団を引いて出ていく‥‥
「はぁー
なんかしんどい!!
飲みすぎた!!──」
布団が用意された瞬間、晴樹は布団の上に横になった‥
‥あ、もしかして今頃効いてきた?
そぅ、あの手の飲み物は後から効いてくる‥‥
ぐったりと伸びる晴樹にワクワクしながら苗はデジカメを手にした‥‥
「なえ‥‥」
甘ったるい声で呼ぶ晴樹に苗はびくつく‥
振り返ると長い足をはだけた虚な眼差しの兄さんが苗を見つめている
──!?セクシーショットだ!
苗は構わず写真を撮った
「なに、こんなとこ撮ってんだょ‥‥」
甘ったるい声で言われても恐くも何ともない。
「なえ‥‥風呂入りたい」
「ダメだょ飲んでから入っちゃ‥‥」
「苗と一緒に入りたい‥」
「ダメだょ!」
・
苗に風呂を断られ晴樹は静かになった‥‥
「?‥」
‥あれ‥寝ちゃ‥った?
苗はゆっくりと顔を覗き込む‥‥
‥‥‥
どうしよう‥
撮り放題だょっ!
苗は晴樹の浴衣をソッと脱がせた‥
「ふぃー…緊張の一瞬だょっ…」
一人でブツブツ言いながら苗は晴樹にセクシーポーズをとらせ写真を撮っている
『ヌードなら3万円で買うわ!』
‥ヌードか‥
兄さんごみん!!
苗の生活の為なんだょ!!
苗は晴樹のパンツにグッと手をかけた──!
「お前っ
いい加減にしろっ!…//
人が寝た振りすりゃぁちょーしこきやがって!?」
ガバッと起き上がりパンツを下ろされないように鷲掴みしながら叫ぶ晴樹に苗は唖然としていた。
「酷いょ兄さん‥
寝たふりなんて‥‥‥」
「‥どっちがだよっ!
なんで俺の裸を撮る!!?
えぇ!?」
「‥だから、兄さんとの思い出を‥‥‥」
さっきの甘ったるい声は何処へやら‥いつもの兄さんに戻っていた。
そして聞きわけの悪い苗に晴樹はお仕置きを与えはじめた‥
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