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17章 慕情
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しおりを挟む旅館から帰りの車の中──
晴樹はほとんど口を開かない…
そして、苗は‥
「ねぇ兄さん!!
水族館があるょ!」
‥‥マイペースだった。
そして、あまり語らない晴樹に言う。
「やっぱ、もう一泊すればよかったね‥
昨日今日、三時間も運転はしんどいでしょ?」
「いや‥
早く帰りたいから‥。」
「‥‥ふーん‥」
晴樹の気持ちに気づかぬまま苗は素直に納得していた。
来た時とは違う道を通ると軒並みにうなぎ屋や蕎麦屋など、お食事処が並んでいる
「あ、兄さん!
鰻屋だ!うなぎ食べょ!!
お昼はうなぎで決まりだね♪」
旅館の早い朝食を済ませ、早々帰路についていた為に苗はそろそろお腹が空いてきていた‥
苗は勝手に昼食をうなぎに決めた。
晴樹は苗の言う通り、うなぎ屋に車を止める‥
昼前でさほど込んでいなかった店に入り注文すると、案外早く頼んだ品が出てきた。
‥特選うな重\2800―‥‥
苗は一番高いヤツを頼んでいた。
目の前のうなぎに顔を輝かせ割り箸を割ると晴樹の注文した物も運ばれてくる‥
・
「なに、兄さんそれにしたの!?」
晴樹は、冷やし天そばを頼んでいた‥
「あぁ、
俺、うなぎダメだから‥
頭が気持ち悪いだろ?」
晴樹の言葉にムッとした苗は晴樹を怒らす行動に出た!
「…なっ──!??
‥‥‥!!
何すんだよお前っ!!?」
苗は自分のうな重に乗っていたうなぎの頭を晴樹の天ツユに入れていたのである。
「早くとれよ!! 」
晴樹は気持ち悪くて自分の箸で掴みたくなかった
そんな晴樹に苗は言う‥
「うなぎサンはなりたくて、そんな姿になったわけじゃない!!!
美味しく食べて貰う為に痛くて熱い思いを耐え抜いてあったかい白飯のお布団の上で安らかな眠りにつくんだから!!」
「なんだよそれ!?」
突然の意味不明な説教に晴樹は腹がたった‥
「それを気持ち悪いとかいう兄さんの方がうなぎサンからも気持ち悪いって思われてるょきっと!!!」
「じゃあ何か!?
俺が好きになったらコイツも俺を好きになんのかよ!??」
晴樹はムキになってツユに浸ってるうなぎサンの頭を指さす
・
「兄さん落ち着いてょ」
「──あ?!」
冷静に言う苗に、尚更腹がたつ
「だってさ、爺ちゃんがゆうんだょ…
おいしいって思えばおいしい。まずいって思えばまずくなる。
人もそうなんだって‥
好きだって思えば相手も好きになるし嫌いだって思えば相手も嫌いになるんだ‥──って!」
爺ちゃんから教わった言葉を堂々と発言する苗を相手に晴樹は握っていた箸をカタン!と置いた
「じゃあ聞くけど‥‥
お前は夏目に好きだって言われたから好きになるのかよ!?」
「ぇ‥‥‥と
‥それは‥」
‥兄さんてば‥今、大ちゃんの事を言わなくても…
返す言葉に詰まる苗に晴樹は詰め寄る
「‥‥‥
俺が‥
俺が好きだっつたらお前は俺を好きになるのかよっ…」
そう言った晴樹の表情にはさっきまでの強気な態度がまったく見えない‥
「そんなの、
もちのろんだょ!
苗は兄さんのこと大好きだもん!」
「………っ!?」
なんの躊躇もせず言って退ける苗に、晴樹は眉根を寄せ頭を振りながらため息を溢した‥
・
「あ、お店込んできたね!」
そう言って苗はうな重のご飯を一粒残らず片付けると席を立った
「苗〰〰ちょっと待てっ!!
俺が、全然食ってねぇだろがっ」
「‥」
晴樹はツユに浸かったうなぎサンを指さして叫んでいた。
「苗、次のパーキングでトイレ行くか?
──?‥‥苗?」
波乱含みの昼食を済ませ、高速道路を走っていた晴樹は苗に語り掛けたが返事がない
「スピー…zzz…」
「‥‥」
‥幸せなヤツだな‥
苗は安らかな眠りについていた‥
言いたい事言って腹いっぱい食って寝る‥
まさに、本能の赴くまま‥
晴樹の隣に居るからこそ味わえる‥
苗は晴樹に愛されてることに気づかなかった──
それも、今日で終わり‥
晴樹は自分の気持ちに気づいてくれない無邪気過ぎる苗の隣は堪えられない‥
人気の少ないサービスエリアで少し休憩しながら晴樹は苗の寝顔を眺めた‥‥‥
起きてても無邪気‥
眠ってても無邪気‥‥
晴樹はそっとティッシュで苗のヨダレを拭いてあげた‥
苗はぅ~ん‥そぅいいながら晴樹の手を払い運転席を向いて寝返りをうつ‥
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