70 / 255
18章 大切なひと(前編)
1
しおりを挟む「あーよかったぁ!!
兄さんありがとうっ」
水道代を払い満面の笑みで苗は礼を言う
ギュルルル~‥‥
そして、お腹も何か言った。
「……何か軽く食べるか?」
「ぅん‥//‥」
晴樹は時計を見て、とある店に向かった‥
ウッディ調のお洒落な珈琲ショップに入り晴樹は親しげにマスターに声をかける‥
「ヒロさん!こいつに何か軽く作ってやって。苗、ここ座ってな、俺トイレ行って来るから」
晴樹はそう言ってトイレに向かった。そしてすぐに次の来客が訪れる‥
カラン!とドアが開いて店に入ると同時に男はマスターに声をかけた。
「ブレンド入れて!」
そう言ってカウンターにドカッと腰掛けた男の顔に苗は釘づけになっていた。
‥あゃぁ‥‥
これまた、
べっぴんサンだぁ‥//‥
でも、男だったょね声は?
「──?!…っ…あに見てんだ?ごルら💢マシュマロみてぇなツラしやがって!!」
‥ま、マシュマロ?‥
隣で凝視している苗に脅しをかける男にマスターは言った
「コラコラ、貴志‥
むやみやたらに喧嘩売るんじゃない、その子はハルの連れだよ」
「晴樹の!!?
晴樹来てんのか?」
・
「で、晴樹は?」
「今、トイレ行ったよ。君は飲み物何にする?」
マスターは貴志の質問に答えながら苗に話しかけた
「‥‥マンゴーラッシー‥
てなんですか‥//‥」
こんなお洒落な珈琲ショップに初めて来てしまった苗はドキドキしながらメニューから赤い顔を上げて聞いた。
「‥マンゴーのヨーグルトジュースみたいなヤツだよ‥//‥」
ほんのり染まったホッペとキラキラした瞳で聞いてくる苗に何故だかマスターも赤ら顔で答える
‥マンゴーのヨーグルトジュースか‥//
「コレ下さい!!」
苗の心(ハーツ)はマンゴーラッシー直線だった。
「オケ!‥//‥」
‥なんだ、こいつらは?
なんだか不思議な雰囲気の二人を眺めながら貴志は苗を覗き込む。
「おぃ、お前、晴樹の何?‥まさか、彼女じゃねぇよな」
「ん?‥兄さん?──…兄さんはワタクシの‥いやっ田中家の恩人でごじゃりますっ」
「恩人っ?」
苗の言葉に貴志は顔をしかめた
「はぃ!お待ちどぅ。
マンゴーラッシーとビーフケバブだよ!熱いから気をつけてっ」
「はい!」
‥なんだ?この二人は…
なぜかウキウキで話すマスターとキラキラした目でケバブを見つめる苗。そんな二人を貴志は交互に眺めていた…
・
「‥ケバブ‥」
あおっ♪
ケバ!ケバ!ッ♪ケバブぅ~
よぅ!よぅ!ケバブ!!♪アォ♪
苗の頭の中で自作のケバブミュージックが流れ始める。
「なに、んなに眺めてんだ?早く食べろよ」
いつの間にかトイレから戻ってきた晴樹が言った
「兄さん‥見て──
ケバブだって‥//‥」
「……?…よかったな…」
何が言いたいのかわからない。そんな苗は疑問顔の晴樹の前にケバブを差し出す‥
そして貴志がいった
「お前、コイツの恩人だって?なに、やったんだ?」
「べつに…」
熱いケバブをハフハフ言いながら頬張る苗に、晴樹も貴志も目を奪われながら会話をかわす。マスターはボタボタと汁を溢す苗の世話を甲斐甲斐しくやいていた。
「旨いかな?‥//」
「ファィ!!」
溢れた汁を拭きながらマスターは苗を微笑まし気に見つめていた。
「お前もこんなして世話してんのか?」
「いや‥っ‥
‥た、たまに、かな?…//」
二人でそんな話しをしていると再びドアがカランと開きいかにも“ヤクザ風”の男が店の隅の席に腰掛ける──
そして一瞬、貴志の眼が鋭くなった。
その表情を見た晴樹とマスターも互いに目配せをしていた‥
・
「苗‥ちょっと用があって俺、送ってやれないからタクシーで帰んな。それに、これからは忙しくてもう送ってやれないから──…ごめんな…」
謝る晴樹に苗は言った
「兄さん、気にしなくていいょ!
兄さんは仕事してる身なんだからさ。
帰りだって歩いて20分だし、全然だいじょびだょ!
今まで、だって歩いて帰ってたんだからっ」
「そうか‥
じゃ、マスター。タクシー呼んで」
マンゴーラッシーを美味しそうに飲む苗をニコニコ眺めながらマスターは店の受話器を手にして晴樹に言った
「ハルもたまにはクラブの方に顔を出せよ。
やっぱ、お前が来るのと来ないのとじゃ売り上げが違うからな~
貴志の方は貸し切りした日から良く顔出してくれるんだけど‥
ついでに妙な連中も連れて来るからよ……いつ、ドンパチやられるかと思うとヒヤヒヤするぜ」
マスターは隅の席で新聞を広げている男にチラリと視線を流しながら訴える。
そして、電話に呼び掛けていた。
晴樹達が溜まり場にしているクラブハウス。
ブルー・ムーンはこの珈琲ショップのマスター、ヒロさんが経営している店だった。
・
平日はバイトとチーフに任せ繁盛期の金・土曜日は店に出ている‥
だが、最近…貴志のお陰で店に似合わない客も増え始め少々、困惑気味だった‥
タクシーがつき、晴樹は自分の車に積んでいたタンクも乗せて苗を見送る‥
その間、店にいたヤクザ風の男は携帯でどこかに電話をかけていた。
苗を乗せたタクシーを見送り晴樹は店に戻る‥
苗の乗ったタクシーの3台目の後車を黒塗りの高級車が追けたことに気づかぬまま、晴樹は店の席に戻っていた‥
「なんか始まんのか?」
晴樹は怪しい男の方にチラッと目を向け貴志に小さく話しかけた
「ん~…
まぁ、ちょっとな」
「気をつけろよ?
ちょーしこいてるとこの世に居れなくなるぜ!?」
言葉はキツイが友を心配してのことだった‥
ただ、やっぱり貴志は極道世界に生きる男‥命の危険とは常に隣合わせで生きている。
今更、ソワソワしたところでどうにもならない──
それは本人が一番理解している。
「俺が死んだら裸踊りでもして祝ってくれよ!」
「あぁ、お前の遺体も裸に剥いてケツに薔薇の花挿してやる」
「い、痛そうだな‥」
答えた晴樹に貴志は頬を牽き吊らせ苦笑いを返した。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる