ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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18章 大切なひと(前編)

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「あーよかったぁ!!

兄さんありがとうっ」


水道代を払い満面の笑みで苗は礼を言う


ギュルルル~‥‥



そして、お腹も何か言った。



「……何か軽く食べるか?」


「ぅん‥//‥」

晴樹は時計を見て、とある店に向かった‥




ウッディ調のお洒落な珈琲ショップに入り晴樹は親しげにマスターに声をかける‥


「ヒロさん!こいつに何か軽く作ってやって。苗、ここ座ってな、俺トイレ行って来るから」


晴樹はそう言ってトイレに向かった。そしてすぐに次の来客が訪れる‥


カラン!とドアが開いて店に入ると同時に男はマスターに声をかけた。


「ブレンド入れて!」


そう言ってカウンターにドカッと腰掛けた男の顔に苗は釘づけになっていた。



‥あゃぁ‥‥

これまた、
べっぴんサンだぁ‥//‥

でも、男だったょね声は?



「──?!…っ…あに見てんだ?ごルら💢マシュマロみてぇなツラしやがって!!」


‥ま、マシュマロ?‥


隣で凝視している苗に脅しをかける男にマスターは言った


「コラコラ、貴志‥
むやみやたらに喧嘩売るんじゃない、その子はハルの連れだよ」


「晴樹の!!?
晴樹来てんのか?」




「で、晴樹は?」


「今、トイレ行ったよ。君は飲み物何にする?」



マスターは貴志の質問に答えながら苗に話しかけた


「‥‥マンゴーラッシー‥
てなんですか‥//‥」


こんなお洒落な珈琲ショップに初めて来てしまった苗はドキドキしながらメニューから赤い顔を上げて聞いた。


「‥マンゴーのヨーグルトジュースみたいなヤツだよ‥//‥」


ほんのり染まったホッペとキラキラした瞳で聞いてくる苗に何故だかマスターも赤ら顔で答える



‥マンゴーのヨーグルトジュースか‥//


「コレ下さい!!」


苗の心(ハーツ)はマンゴーラッシー直線だった。


「オケ!‥//‥」



‥なんだ、こいつらは?


なんだか不思議な雰囲気の二人を眺めながら貴志は苗を覗き込む。


「おぃ、お前、晴樹の何?‥まさか、彼女じゃねぇよな」



「ん?‥兄さん?──…兄さんはワタクシの‥いやっ田中家の恩人でごじゃりますっ」


「恩人っ?」


苗の言葉に貴志は顔をしかめた


「はぃ!お待ちどぅ。

マンゴーラッシーとビーフケバブだよ!熱いから気をつけてっ」

「はい!」


‥なんだ?この二人は…


なぜかウキウキで話すマスターとキラキラした目でケバブを見つめる苗。そんな二人を貴志は交互に眺めていた…



「‥ケバブ‥」

あおっ♪
ケバ!ケバ!ッ♪ケバブぅ~


よぅ!よぅ!ケバブ!!♪アォ♪



苗の頭の中で自作のケバブミュージックが流れ始める。


「なに、んなに眺めてんだ?早く食べろよ」


いつの間にかトイレから戻ってきた晴樹が言った



「兄さん‥見て──

ケバブだって‥//‥」


「……?…よかったな…」


何が言いたいのかわからない。そんな苗は疑問顔の晴樹の前にケバブを差し出す‥

そして貴志がいった


「お前、コイツの恩人だって?なに、やったんだ?」

「べつに…」


熱いケバブをハフハフ言いながら頬張る苗に、晴樹も貴志も目を奪われながら会話をかわす。マスターはボタボタと汁を溢す苗の世話を甲斐甲斐しくやいていた。


「旨いかな?‥//」

「ファィ!!」


溢れた汁を拭きながらマスターは苗を微笑まし気に見つめていた。


「お前もこんなして世話してんのか?」


「いや‥っ‥



‥た、たまに、かな?…//」



二人でそんな話しをしていると再びドアがカランと開きいかにも“ヤクザ風”の男が店の隅の席に腰掛ける──



そして一瞬、貴志の眼が鋭くなった。


その表情を見た晴樹とマスターも互いに目配せをしていた‥




「苗‥ちょっと用があって俺、送ってやれないからタクシーで帰んな。それに、これからは忙しくてもう送ってやれないから──…ごめんな…」


謝る晴樹に苗は言った



「兄さん、気にしなくていいょ!
兄さんは仕事してる身なんだからさ。
帰りだって歩いて20分だし、全然だいじょびだょ!

今まで、だって歩いて帰ってたんだからっ」


「そうか‥

じゃ、マスター。タクシー呼んで」


マンゴーラッシーを美味しそうに飲む苗をニコニコ眺めながらマスターは店の受話器を手にして晴樹に言った



「ハルもたまにはクラブの方に顔を出せよ。
やっぱ、お前が来るのと来ないのとじゃ売り上げが違うからな~
貴志の方は貸し切りした日から良く顔出してくれるんだけど‥


ついでに妙な連中も連れて来るからよ……いつ、ドンパチやられるかと思うとヒヤヒヤするぜ」


マスターは隅の席で新聞を広げている男にチラリと視線を流しながら訴える。

そして、電話に呼び掛けていた。


晴樹達が溜まり場にしているクラブハウス。
ブルー・ムーンはこの珈琲ショップのマスター、ヒロさんが経営している店だった。




平日はバイトとチーフに任せ繁盛期の金・土曜日は店に出ている‥


だが、最近…貴志のお陰で店に似合わない客も増え始め少々、困惑気味だった‥

タクシーがつき、晴樹は自分の車に積んでいたタンクも乗せて苗を見送る‥


その間、店にいたヤクザ風の男は携帯でどこかに電話をかけていた。


苗を乗せたタクシーを見送り晴樹は店に戻る‥

苗の乗ったタクシーの3台目の後車を黒塗りの高級車が追けたことに気づかぬまま、晴樹は店の席に戻っていた‥




「なんか始まんのか?」


晴樹は怪しい男の方にチラッと目を向け貴志に小さく話しかけた



「ん~…

まぁ、ちょっとな」



「気をつけろよ?

ちょーしこいてるとこの世に居れなくなるぜ!?」



言葉はキツイが友を心配してのことだった‥


ただ、やっぱり貴志は極道世界に生きる男‥命の危険とは常に隣合わせで生きている。



今更、ソワソワしたところでどうにもならない──



それは本人が一番理解している。


「俺が死んだら裸踊りでもして祝ってくれよ!」


「あぁ、お前の遺体も裸に剥いてケツに薔薇の花挿してやる」

「い、痛そうだな‥」

答えた晴樹に貴志は頬を牽き吊らせ苦笑いを返した。

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