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18章 大切なひと(前編)
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しおりを挟むそして、次の日のお昼時‥
「え〰
──…マジ!??
苗、付き合っちゃうの夏目クンと!?」
「ぅん!‥ちょーマジンガー!!」
「ぃゃ‥マジンガーはぃぃけどさ。
そっかぁ‥
ルパンとはほど遠いね」
苗は由美と屋上ランチしながら語っていた‥
「でも、夏目クンさぁ
すごいモテるよ?
彼氏がモテるとさぁ何か気がきじゃなぃ?
安心出来ないってかさぁ‥」
「う~ん‥‥」
由美の言葉に苗は首を傾げる‥
ただ、告ったのも気がきじゃないのも夏目の方‥
安心出来ないのも夏目の方だった。
そして、帰宅時間になり夏目はN校舎にやってくる‥
クラスの頭にNとつくのは一応、二ノ宮の頭文字からとってクラスを解り易くしていた。
夏目のC組の校舎から苗達のN-B組は距離がある‥
夏目は早る気持ちを抑えながら苗のクラスに向かった
― ぁ、夏目クンだ!
―最近よく来るよね、
N舎に‥
彼女でもいるのかな?
―えぇ〰やだぁ!?
アタシ夏目クン狙ってたのにぃ!
共学になってもN舎だけは女子校のまま。
女豹の巣窟にオスが現れればみんな目の色が変わるのは当然と言えよう。
夏目も狙われているうちの一人だった‥
・
―ガラッ―
「苗!
ゴメン待った?!」
訪ねながら息を切らす。
待ったのは自分の方‥
ずっとすれ違いばかりで会えなかった好きな娘にやっと会える!!
夏目は昨日の夜からずっと今日の放課後が待ち遠しくて堪らなかった‥
校舎が近かったら、休み時間の度に会いに来るのに‥
夏目はそんなことも、健気に思っていた‥
「大ちゃん、ちょっと待ってて!」
迎えに来た夏目に苗は待ったをかける‥
‥苗、
この後に及んで、まだ俺に待ったをかけるのか?
クゥ〰…//…初(うい)ヤツめっ
今の夏目は何を言われてもハッピーボーイだった。
「ごみん!!
じゃ、行こ!」
帰り支度の整った苗と二人で並んで校舎を出る
‥すげ‥‥マジで恋人同士じゃん俺ら‥//‥
隣で並んで歩く苗を見ながら夏目は苗の手に視線を移した
‥に、
握っちゃおっかな‥///
「ねぇ、大ちゃん!」
―ビクッ
夏目が手を伸ばした瞬間に苗が話かける
「な、なに!?‥//」
伸ばした手でそのまま鼻をポリポリ掻きながら夏目は聞き返した‥
・
「大ちゃんってモテモテなの?」
「え?‥//
なんで?」
急な質問に夏目は反対に聞き返していた
「ぅん、由美がね
夏目クンモテるから彼女になったら安心出来ないって」
「遠藤がそんなこと言った?」
「ぅん、モテるの?」
苗の美的感覚は、一般の基準とちょっとズレている‥夏目のスポーツマンらしい健康的なカッコ良さは苗には理解できなかった。
「モテるってか‥
告られることはよくあるけど‥‥‥//」
そう、今だに夏目は休み時間の度に呼び出される‥
前は結城の女子だけだったが、女子校の二ノ宮と合併したために尚更、呼び出しが増えていた‥
もちろん、苗と知り合う前は付き合っていた彼女もいたが一ヶ月も持たない‥
好きでもないから飽きてしまう‥
部活の方を優先させてしまう‥
暇があってもデートをすっぽかすなんて、しょっちゅうだった‥
それに、次から次へと告ってくるから目移りしてしまう‥
夏目は苗と知り合ってから初めて告られても断るようになっていた‥
〔夏目クン‥付き合って!〕
〔ごめん!
好きな娘いるから〕
今までの断り文句が今日は
〔ごめん!
彼女いるから!〕
に変わっていた‥
・
夏目はそう言って断るときに思いっきりニヤケてしまっていたのだ。
好きな娘が彼女になった‥
口に出す度に実感してしまう‥‥
舞い上がり過ぎて打ち付けた小指の爪は剥がれてしまったけど‥
それに、代えられないものが手に入った──
「すごいね大ちゃん。
しょっちゅう告られるんだ!!」
「‥‥‥お前だって俺に告られただろ?‥//」
「‥‥そか…
そういや、そぅだね‥//」
「……//」
「‥‥//‥」
なんとなく沈黙が漂う‥
「苗‥」
「ん?」
「安心していいから‥」
「‥?」
俺、苗しか興味ねぇもん‥
なんなら部活だってやめてもいいってくらい‥‥
泳ぐのは好きだけど、それなら部活じゃなくてもできる!
苗は側で見てないと‥
‥苗‥‥安心出来ないのは俺の方だょ‥//‥
歩く足を止めて夏目は苗を見つめた。
「俺、
苗だけだし‥///」
「あ?
なにが?」
「──‥?!
なにがっ‥て‥//」
苗は自分のした質問を忘れていた。
‥まぁ、ぃぃゃ。
これが苗のいいとこなんだし…//
夏目は自分に言い聞かせながら、再度、苗の手に視線を移す‥
・
「──…っ!」
苗の手が一瞬ビクっとなった──
「‥ゴメン
嫌ならやめる‥‥//」
夏目はそう言いながらも、苗の柔らかい手を握った自分の手にぎゅっと力を込めていた。
「だいじょびだょ!
嫌じゃない…けど…」
「ないけど?」
「ちょっち暑いね」
「‥//」
そう、夏場に手を繋ぐのは結構、暑い‥
二人の手の平はどんどん汗ばんできていた。
「あれ、‥
“妹ちゃん”じゃん?
彼氏いたんだ?」
学校の校門に向かう苗達を見かけ、取り巻きのお嬢が言う
晴樹は昨日交したお嬢との約束のために今日はデートをしなければならなかった‥
そして、お嬢の指差す方に目を向ける‥
‥夏目?‥‥‥
少し視力の悪い晴樹は目を細めて苗の隣の男を確認した‥
「アイツは別に彼氏じゃねぇよ‥‥」
晴樹は何となく不機嫌な表情を浮かべた。
「?‥‥
そうなの?
なんだ、
手を繋いでるから彼氏だと思った‥」
「──ッ…」
‥なに…手!?
お嬢の言葉に一瞬、心臓が跳ね上がり息を詰まらせる
晴樹はもう一度、目を凝らして校門を出て行く二人を見つめた
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