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3章 事件!
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しおりを挟む組員達のその声と同時に武が抱えていた壷を投げ捨て苗の元に駆け寄る!!
後ろでは高級品の壷がガシャーン!!と派手な音をさせて人生の幕を閉じていた──
「お嬢ッ
大丈夫ですか!??」
「タ‥ケちゃん…
苗は‥守ったょ…
みんなのおにぎり──
体張って守った‥から…」
苗はうつ伏せで顔を上げて武に言った‥
大皿のおにぎりは顔面を犠牲にし見事なスライディングを決めた苗の手に支えられ、盛り付けたままの姿で揃っている‥
「タケちゃん‥
早くみんなにコレを…」
ドラマのようなセリフを吐き、苗はガクッ!と生き絶えたように顔を伏せて目の前に一個だけ転がっていたおにぎりを見つけた‥
‥ぁ‥一個だけ落としちゃっただょ……
じゃあ、これは苗が‥
苗が目の前のおにぎりを手にしようとした瞬間、武がそれを拾い自分の口に頬張っていた……。
「──…っ…タケちゃん…」
「大丈夫です!!
3秒以内に拾って食えばなんてことないですよ!」
武は苗に笑顔を向ける
‥タケちゃん‥‥‥
でもせめて、
ホコリは払って口に入れなきゃだょ…
武が頬張ったおにぎりはホコリを纏っていたのだった。
・
藤代の組員達が二人を見守る中、玄関口で車の急ブレーキの音が鳴りドアの開閉音が聞こえる──
「すいません!」
‥あれ?
あの声は…
苗は声の主に気づいたようだった‥‥
そして、玄関先に行った組員に連れられ晴樹が作業中の場所に連れて来られる‥
「──何してんだ?
お前?!」
苗は廊下にへばり付いたままだった。
そしてその側には武がしゃがみ込んでいる‥
武は苗を優しく抱き起こしながら晴樹に言った‥
「引っ越しを手伝ってくれるってんで‥
丁度、昼時だから厨房の仕事を頼んだんですよ。
そしたら、転んじまいまして‥‥‥」
「転んじまいました…」
「見たまんまってことだろ?要は‥」
苗は武の言葉を復唱し晴樹に訴えた。
晴樹が呆れていると再び玄関先で車のドアの開閉音がし、組員達の礼儀正しい挨拶の声が聞こえてくる。
「お、もぅ来てたのか?」
自分達がこれから世話になる、鬼頭組の次期跡目に藤代の組員達は深々と頭を下げて迎えていた
「忙しいんじゃなかったのかお前‥」
晴樹は貴志に言った
「ああ、引っ越しの進み具合でも見にきたんだよ」
・
何故か楽しそうに言って退ける貴志を怪訝な顔で見ながら晴樹は苗に言った‥
「それより苗、‥もう帰るぞ──
お前、手伝いに来て転んでりゃ世話ないだろ!?
これ以上邪魔しちゃ悪いから‥」
晴樹は、足元で粉々に割れている壷らしき物を見ていた‥
‥もしかして、コレも苗が割ったのか?
「あ、それは武の兄貴がやったんすよ。
お嬢が転んだから、慌てて駆けつけてこのざまっすよ」
‥慌てて駆けつけた…?
──…っ…なんだそれ!??
晴樹は少し眉間にシワが寄り始めている‥
そしてマサは余計な一言を付け加えた──
「兄貴はなんてったってぇお嬢を助けるのが大好きッスから!
非道の修羅もお嬢には形無しってことッスよね~♪」
「////‥っ‥コラッ──…マサっ何言いやがるっ!?」
わざと大きな声で言うマサの言葉に武は赤面しながら顔を背け、晴樹は険しい顔で廊下にいる二人を見つめている。
そして、口を開いた‥
「苗──‥
やっぱり迷惑かけるからもう帰るぞ…
俺達は一般人だからここにいたら、組の人達だってやりにくい作業もあるだろうから‥‥‥」
静かな口調で言い聴かせるように語る晴樹に苗はシブシブと頷いた。
・
「───ッちょっ!
お嬢ッ──…」
「‥ん?なに、タケちゃん」
晴樹の方に行こうとした苗の手を武はとっさに掴む!!
‥おっ!なんだなんだっ!?
その武の行動に貴志と組員はウキウキしながら目を輝かせ、晴樹はもちろん‥
‥なんだよあの人っ──
キレていた。
「あのっ…全然、迷惑にはなってないんでッ‥‥
大事な作業は朝一番で終らせてありますからッ──
あとは人手があった方が助かる作業ばっかりなんで‥
ぃ‥‥ぃてくれると‥‥
助かるんですが‥///…」
「──‥そう!?」
「ハィ‥//…」
イキイキと聞き返す苗に武は真っ赤になりながら答える
そして苗は晴樹を振り返った。
「兄さん!!
苗も居た方がいいってさっ!恩人の頼みとあっちゃぁ断るわけにゃあいかないょ!」
思いきりヤル気満々だ──
もう引き止めることは不可能だと晴樹は諦めた。
「……っ…わかったよ…──その代わり俺も手伝うからな」
絶対にこの場に苗だけは置いてはいけない‥‥
晴樹は今後の展開に不安を抱え、貴志を睨む。
「なんで俺を睨むんだ?」
「すべての元凶がお前のような気がしてなんねぇからっ」
「………」
眉根を寄せたて背中を向けた晴樹を貴志は見つめた。
「じゃ、取りあえず昼飯食ってから始めましょうか!」
・
組員に呼ばれ、晴樹達も昼御飯を一緒に過ごしていた。
そして、楽しい昼食タイムは爆笑の渦に巻かれている‥
苗は案の定‥
おにぎりのノリでお歯黒と言って貼り付け遊んでいる‥
それを見た貴志と武は、
口から米粒を勢いよく吹き出し向かい側に座って居た晴樹に顔シャしていた──
「……っ…」
‥〰〰〰こいつらっ…
絶対、地獄に送ってやるっ…
マサは気の毒そうに晴樹にオシボリを差し出していた。
「じゃあ、今日はほんとに助かりました‥
自分達もこれから、鬼頭の本部に集まることになってるんで‥」
粗方、引っ越しも終わり晴樹と苗は貴志と藤代の組員達に見送られる‥
「じゃあ、ジョージにも宜しく言ってね」
姿の見えなかった御大は辰治のところに居るらしかった──
立ち去る車を見送りながら、貴志は声をかける‥
「武サン‥‥‥」
「──…ハィ」
「俺‥
前に忠告しなかったっけ?大事な親友のもんだっ!て‥‥」
「…//…っ──」
「まぁ、人の心に枷ははめらんねぇからしょうがないけどさ、これから何かしでかす気なら──…
是非、俺を呼んでくれっ!」
貴志はキラキラとした目を武に向けていた……。
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