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8章 夏祭り
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しおりを挟む「カップルだらけだなここは‥//」
晴樹の照れ隠しの言葉に苗は無言で頷いた
‥なんで今日はこんなにしおらしいんだ?
あんま、可愛いと変な気になりそうだ‥//
変な気なんて今日に限ったことではないのだが、今日はホントに変な気分だった
そんな苗を晴樹は見つめる
「苗‥口に何かついてるぞ」
苗を見つめていると唇にたくさんの青ノリがついている。
さっき屋台の焼きそばを食べた時についたようだ‥
晴樹は指で青ノリを丁寧にとってやる
‥こんなとこは苗らしいと思うけど💧
晴樹はそう思いながら真剣にしぶとい青ノリと格闘していた
うん…//…兄さん‥
やっぱり今日の兄さんはいぶし銀だょ‥//
「‥‥‥‥💧
苗…//
そんな目で見たらキスするぞ」
苗の顔を両手で包み、親指で青ノリをとってくれる晴樹に釘付けになったように苗は魅入っている
脅してみても変わらない苗のその表情に、晴樹は肩で溜め息を吐いていた。
晴樹の親指の動きがゆっくり止まる‥
「乾いてるから……濡らさないと取れない──…」
「……ん…」
お前が悪い‥
そんな顔して俺を見るからっ‥
晴樹は苗の顔を捕らえたまま自分の唇を押し付けた
優しく重ねたつもりの唇からは、次第に荒い呼吸が漏れ始める。
・
晴樹は苗の後頭部を手で支え腕を苗の背中に回す‥
今更、抵抗してもやめない…っ…
そう思いながら夢中になってキスをする晴樹は、苗の唇が自分の動きに一緒についてきてることにやっと気づいた──
「……っ…」
‥な‥え‥//
どうしたんだよ急に‥
目を閉じていた苗は入ってきた晴樹の舌を素直に受け止める‥
驚いた晴樹はそんな苗を震える手でゆっくりと抱きしめた‥
逃げないように強く抱き締める必要はない‥
抑えつけなくても後頭部を鷲掴みしなくても‥
今日の苗は優しく受け止めてくれている‥
晴樹は疼く胸に顔を苦し気に歪めるとかすれた低い声で囁く‥
「‥‥なえ‥
‥なんで?‥
どうして嫌がらない…っ…」
キスの音を立て、熱い舌の絡み合う水音を響かせながら、晴樹は息継ぎをするように言葉を少しずつ呼吸と共に吐きだす‥
「苗……なんで…」
「……だって‥今日の兄さん‥カッコイイから‥//
ハレンチでもちゅうくらいはいぃかなぁー……て…//」
「‥っ‥//‥」
‥なんだ‥それ?
苗の答えに晴樹は目を見開いた。
‥嬉しいんだか何だか訳わからん…//
「‥今日の俺だとキスも許せるのか?……//」
「‥ぅん‥//」
「…っ…//…」
苗はもじもじしながら返事を返した。
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