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9章 誤解
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しおりを挟む苗は夏目に小銭入れを手渡すと、目の前に並べてあった洗剤を2個とって差し出す‥
「‥ん?」
「これ買ってきて」
「コレ!?‥‥わかった💧」
夏目は苗に言われるまま洗剤を買いにレジに向かった‥
「はぃ‥
これでいいのか?」
「‥‥‥ぅん‥ありがと。あとね、
コレを持って帰らなきゃなんないだょ‥」
「…俺でよければ送って行くよ💧‥//」
「ほんとに!??
さすが大ちゃん!!
やっぱ持つべきものはティーチャーだね!」
‥ティーチャー💧…
満面の笑みを浮かべて言う苗に夏目は引きつる笑みを返した。
‥そ‥か…
そうだよな‥
フラレたからって離れる必要なんかないもんな‥
「苗‥」
「ん?」
「俺のこと嫌いじゃない?」
「なして?
嫌いじゃないょ」
「‥ほんとに?
あんな勝手に告って一方的に別れるって言ったのに?」
夏目は歩きながら苗を見つめる
・
「過ぎたことはいいだょ。若いんだから青春を楽しまないとっ!
だから、苗もクリスマスまでに彼氏探すんだっ
悟ちゃんがさっ、若い時に思いっきり遊べって!」
苗の言葉に夏目は唇を強く結んだ。
‥彼氏探すのか?
俺じゃもうダメだってことだよな‥
夏目は重い足取りでバイクの場所まで苗を連れて行く
‥はぁ。
やばい…
なんか泣けてきそ‥
夏目は帽子のつばをグッと下げ、顔を隠した
隣に目をやれば、予定よりも多く洗剤を購入できてご機嫌な苗が、セリフ交じりのアニソンを歌っている💧
ほんのちょっと会わなかったうちに少し髪が伸びた気がする‥
‥苗‥‥俺‥
恋愛の先生なんてなれねぇよ‥‥‥
諦め方だって知らねぇのに恋愛の先生なんて―――
夏目は苗のリュックに入りきらなかった荷物をバイクのシート下にしまい、エンジンをかけた。
・
後ろから背中に抱きつく苗に気持ちが揺らぎ胸が痛む‥
苗を乗せるのは二回目‥
初めてのデートの時とそして今日‥
俺は今日、苗にはっきりとフラレた‥
完全に…
でも、嫌われた訳じゃないし今までどうりに苗は口を聞いてくれる…
避けられるよりはマシだよな‥
「苗っ!!」
「ん!?」
夏目はエンジンをかけると苗に呼びかけた
「ちょっと飛ばすからしっかり掴まってろよ!!!」
「アイサー!!」
夏目は沈んだ気持ちを振り払うようにアクセルをふかしぐんぐん風をきる。
真夏の最高の向かい風は溢れかけた夏目の涙もきれいに拭い、拐っていくのだった…
「そこの二人乗りのバイク!! ナンバー****止まりなさい!」
「──…っ!?」
そして、白バイに道路脇に誘導される二人だった💧
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