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14章 心の変化
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しおりを挟む‥苗…──傍にくらいは居てもいいだろ…っ…
『──…どんな事でも困ったら直ぐに電話しろよ‥』
‥直ぐに──…連絡して欲しい
頼るだけでもいいからせめて何かあった時くらいは俺を必要として欲しい
ごめんな、苗‥それだけは誰にも譲れない
苗の望むことは俺が真っ先にしてやりたいから
苗の特別にはなれなくても、苗が困った時は俺が一番に何かをしてやりたい‥
小さな悪あがきだってわかってても──
大好きな苗を嫌いになんてなれないから‥
「‥‥兄さん?」
『──…なに…』
熱に侵されたように同じことを繰り返す晴樹に苗はふと呼びかけた‥
‥兄さん‥なんか変?
「兄さん風邪引いた?
ちぃーと声が鼻声だょ💧
だいじょびだかね?」
『鼻、声?……っ…そうかもな‥ちょっと息苦しい‥』
「息苦しい?
あや~、お粥さん作ってこうか?」
――っ‥‥なえ‥
苗に気遣われ、少しだけ胸がざわめきたつ
晴樹は自分に気を使う苗にわざと聞き返した
『お粥?‥‥何、苗が看病してくれんの?』
「看病?そりゃするよ!!
兄さんに世話になってるのにここで恩返しできなきゃどうすんのさ」
・
『恩、返し?──…なんだ…そか──…やっぱり恩返しか…』
「‥‥うん?」
ほんの少し弾んだ気持ちが瞬く間に底無しの沼に沈んでいく‥
晴樹は小さくため息をこぼしながら笑みを浮かべる‥諦めと言う名の悲しい微笑みを浮かべ、晴樹は無理に明るい声で答えていた
『そか‥ じゃあ、苗が看病してくれるなら、いっそのこと不治の病にでもなろうかな?
そしたら苗は一生俺を看てくれるか?』
「ん‥富士の山?」
『―――‥・・・』
「ごみ💧‥ちょっとしたジャパニーズジョークだょ‥元気出してもらおうかと思って‥//‥」
『別にいいよ‥。
もう、今日は疲れたから電話切るからな‥』
怒る気力もない晴樹はため息をつきながらそう言うと、苗のボケに突っ込まず静かに携帯を切った‥
晴樹は首を項垂れ足元を見つめる。
‥元気出して‥か…
どうせなら一言、ずっと傍で看てあげる!そう聞けば一発で元気になるのに‥
そんな言葉も言ってはくれない‥
だから‥もう、苗には何も望まない‥
それでいい──
ソファの背もたれに頭を預けると、天井を見上げて瞼を閉じた。
そして深いため息をつく‥
・
「‥もう、疲れた‥」
瞳を閉じたままボソっと呟く‥
苗を自分だけのものにしたかった‥
そんな想いを無理矢理閉じ込めた晴樹の心がそう言わせていた──
「リディ。
取りあえずどこに行きたい?」
「そうね!
まずは“アサクサ”ってとこ先に行きたいわ!!」
「浅草?」
今日は日曜日‥遅めの朝食を街中の喫茶店で済ませた晴樹達は、今後のスケジュールを組む。
晴樹は東京見物したいというリディに付き合い、街に来ていた…
「ダディが日本行ったらアサクサは絶対に行きなさいって!」
「‥‥浅草ね、わかったよ」
‥リチャードはとことん日本かぶれだな💧
晴樹はリディの望み通り浅草を目指した‥
「‥‥ん?苗姉ちゃん、お腹壊したのか?」
昼前になって台所で食事の準備をする苗に空が話しかける
「これは姉ちゃんのじゃないの!兄さんが風邪気味だから持って行くだょ!!」
苗は夕べ調子の悪そうだった晴樹の為に、お粥と玉子酒を作っている所だった。
・
作り終えたお粥をタッパーに詰め、みんなより早めに昼食を済ませた苗は昨日USJで購入した土産、バットマンのキーホルダーを持って晴樹の家に向かう。
―ピンポーン‥
苗は結城邸のインターホンを押した‥
『はい。どちら様でしょうか?』
装置からはダンディ村井の声が響いてくる‥
‥ムム、この声は推定42歳。独身ジェントルマンだな
「こんにちは!
苗様でごじゃります!」
装置の向こう側の人物を特定すると、苗は自分の名をそう名乗っていた‥
『‥‥💧
苗、様ですか?
どうぞお入り下さい。』
村井のその言葉と同時に門がゆっくりと開き、苗は玄関へと足を進める。
村井はドアを開けて待っていてくれた。
「兄さんの看病に来ました!」
「看病?💧」
来訪の目的を伝える苗に村井はオウム返しで返事をする
「看病とは、何の看病ですか💧?」
「‥‥‥はれ?
兄さんが昨日風邪っぽかったから、看病しようと思って来ただけど・・・💧」
「風邪っぽい?」
「え?
もしかしてもう治った!?💧」
そう言って少し戸惑い、焦りを見せる苗に村井は晴樹の留守を告げた
「え?出かけちゃった!?」
・
「ええ、調子は良さそうでしたから‥今、アメリカから社長の知人のお嬢様がお見えになっててその方のお世話で今日は東京見物にお付き合いするとかで‥。
携帯に連絡は入れなかったんですか?」
「‥‥💧
調子悪くて寝てたら起こしちゃうと可哀想かと思ったですよ‥」
「ああ!そこまで気づかって頂いてたんですねっ」
‥携帯があるのに連絡してからくればいいものを‥
そう思いながら聞いた言葉に、返ってきた苗の理由を聞いて村井は納得する
「知人のお嬢様ですか‥
それはまた、難儀なことで。」
「‥‥ええ💧難儀と言えば難儀なことですね‥
大事なお客様なので、晴樹さんも気をつかったんでしょうけど‥
じゃあ調子が悪そうだったら無理をさせないように私からお嬢様に伝えておきます」
「そですか?
じゃあこれを‥」
「これは?」
「お粥さんと玉子酒です。あと、これはUSJのお土産!」
村井の丁寧な説明を受け、苗は持ってきていた看病セットとお土産の入っている小さな袋を渡した
「わざわざ有り難うございます。
じゃあ晴樹さんには私から連絡を入れておきますので‥あと、これを‥」
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