ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

文字の大きさ
191 / 255
15章 苗の異変

1

しおりを挟む

「あ、来た来た!

兄さんこっち!!」



明くる日のランチ時‥

秋桜を眺められる屋上のベストポジションを確保した苗がN舎を訪れた晴樹を手招きしている。

そして、丸いテーブルにつくと苗は弁当を広げ晴樹に手渡した。

「お、サンキュー」

嬉しそうに弁当を受け取る晴樹を夏目は恨めし気にジトッと睨む‥


‥苗の奴っ…なんで先輩も誘うんだよ!?



約束した筈の屋上ランチも苗は来ず、晴樹と二人、学食で過ごした。そしてやっと来てくれたと思ってみれば、今度は屋上に晴樹の登場‥


夏目にしてみれば面白くないことこの上ない‥

‥まぁ、
土曜日はデート出来たからよかったけどさ‥//


色々考える夏目の前で晴樹は苗にお粥の入っていたタッパーと海外からのお土産を渡した

「昨日はありがとな‥//
あとこれ。今、家に来てるお客が持ってきた土産‥」


「うわ、外国のお菓子じゃん!!」

何気に頬を染めながらタッパーを返す晴樹を眺め夏目は口を開いた‥

「‥昨日って?」

‥昨日何があったんだ💧?

「昨日、調子悪い“俺の為”に苗がわざわざ看病に来てくれたんだよ…な、苗!」

ボソッと口にした夏目に晴樹が答える



「看‥病!?」

‥看病って‥


密かにショックを受ける夏目を見て、晴樹はフフンと嫌味な笑みを浮かべていた‥


「‥‥っ」

‥こいつの余裕の態度が気に入らないんだよな!
まぁ、看病ならしょうがないけどさっ💧



そんなムシャクシャする夏目に苗は何気に語った

「でも、看病しよって思ったけど兄さん居なかったんだよね💧
もう、具合は全然いいの?」


「‥‥えっ
あ、ああ‥まだ少し‥💧」


焦って答える晴樹に夏目も嫌味で返す

「なんだ?看病され損なったんですか?でもよかったですねえ。看病される程、具合悪くなくてっ
USJも行けなくて休めたからちょうど良かったかも知れないですよ」

「‥……っ💧」

言った後にわざとらしい笑みを浮かべ喧嘩を売る夏目に晴樹もキレながら睨みを効かす


‥まあた、始まっただよ💧なんでこの二人は意味もないことでケンカするだかね?


火花を散らし合う二人を交互に見つめ苗は弁当を口に運んでいた‥


玉子焼きを捕り合ったり、海水浴上でムキになってビーチバレーをしたり‥

ことごとく小さな争いを繰り返す二人を苗は呆れながら見ている。

苗は自分が原因だなんてみじんにも思っていなかった‥



せっかくの秋桜も見ずに睨み合う二人‥

そして、夏目はついに切札を出す──


「苗!‥」


「ん?」


「俺、再来週の日曜、都大会あるから!!
応援来てくれるんだろ?」

「再来週?
うん。再来週だったらお母ちゃんも大丈夫だと思う!
お弁当はエビチリでいい?」

「エビチリ食べたいけど、お腹下すとまずいから刺激物はなるべく‥💧

“俺の為に”なんか他にスタミナつくやつ苗が考えてよ!!」


「スタミナ?わかった!!」

あからさまに当て付けて言う夏目の言葉を晴樹は鼻で笑いながら弁当を口に運ぶ。

「約束だぞ!!俺、頑張って優勝するから!
絶対、優勝して苗ともう一回やり直すんだから!!

苗の為に頑張るんだからな!!」


そんな夏目の言葉を耳にして弁当を食べる晴樹の手が止まった。

──‥!

‥なに?‥


「わかっただょ💧‥//

わかったから何もここで言わなくても‥//」


晴樹は目を見開き二人を見つめる‥


‥やり直すってどういうことだよ!?



晴樹の手前、夏目は“国体”で優勝したら、もう一度やり直すということをわざと隠し宣言していた💧




‥優勝したら苗とやり直す?

「───…っ」


ランチを済ませ、教室に戻った晴樹は静かに自分の席についた。


「晴樹さん?

どーしたんですか?」


明るい表情でランチに向かった晴樹を見送った筈の直哉だったが‥
行った時とは、がらりと雰囲気を変えて帰ってきた晴樹に、直哉は驚きながら声をかけていた。


「何でもない…」

そんな言葉を直哉に返し晴樹は考え込む‥


‥やり直しって‥

今度の都大会優勝したら寄り戻すってことかよっ‥

再来週‥‥って


早すぎるっ──!

まだ、気持ちの整理も出来ていない‥

兄さんのままの立場でいいなんて思っても、‥っ


まだ気持ちがっ‥

まだ、そんな状況を受け入れられるほど気持ちの整理がっ‥

出来てないってのに‥ッ



学園のことに携わっている晴樹は知っていた…

今度の水泳部の一年、夏目はかなり期待されたスイマーだということを。


優勝は確実‥


情報は耳にしっかりと入っている。ここ何ヶ月かで恐ろしい程縮まっている夏目のタイム‥去年の優勝校の奴の記録を余裕で上回っていた



‥まさか苗とそんな約束してたなんて‥!

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...