ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

文字の大きさ
205 / 255
18章 恋の行方

2

しおりを挟む

「急過ぎるだろ!?」

「急過ぎる?
そんなことはない!
この日の為に何年も前からプロジェクトを組んでる‥

お前のサポートに優秀な人材も確保してある。準備は万端。急過ぎるなんてことは何もない…
足りないのはお前の代表としての挨拶くらいなもんだっははは!」


「何がははは!だよ」

抵抗を繰り返す晴樹に智晴は陽気な笑いで返していた。

そしてサラッと付け足す

「実はもう水面下で稼働してる‥‥‥」

「──!?」

「来週、早速渡米して挨拶だけでも出来るよう段取りを組んだから後は村井に聞け」

「え!?
私は何も詳しく聞いては…っ」


智晴のこの言葉には村井も戸惑いを隠せなかった。


「‥っなんなんだよあいつら!?」

「‥💧‥まあ、今に始まったことでは‥‥‥」


帰りの車の中‥

晴樹は苛立ちを見せながら村井に訴える‥

「リディ!」

「な、何かしらっ?‥」


終始無言だったリディに晴樹はいきなり話しかけた。

「お前まさか、このこと知ってたんじゃ!?」

「‥💧‥」


晴樹にそう問われリディは目を泳がせていた‥




家にたどり着きリビングのソファに腰掛け、どこかしら機嫌の悪い晴樹に村井が声をかける‥

「晴樹さん💧‥
今、こんな物が…」


手にはFAX用紙が何枚か‥

村井はそれを晴樹に手渡した。

「──…っ…」


目を通した途端、晴樹の額には青スジが立つ


「なに勝手な…っ」

‥とにッ!なんでいつもこーなんだ!?
なんでも決まってから知らせて来やがって結局、俺の意見なんて一つも通りはしない!!


どこに行っても俺の意見も気持ちも何一つも──ッ


晴樹はFAXを手にしたまま唇を噛み締めた‥


来週、村井とリディとニューヨークに向かってくれ。
場合に寄っては二、三ヶ月の滞在になりうるだろうから、そのつもりで準備しておくように。

苗ちゃんの事は心配いらん。じいちゃんに任せなさい!(>ε<)*


お爺からのFAXだった💧
下の方には手書きで書いたらしい歪んだ顔文字が乗っている‥




・・・・…


苗‥


二、三ヶ月‥か‥‥‥


ちょうどいいかも知れない‥。


晴樹は噛み締めた唇をゆっくり解放する‥


今度の週末が競泳の都大会。

見なくてすむ‥

苗と夏目、二人が付き合い始めた姿を見なくても‥




「村井‥」

「はい?」

「出張に必要なもの買い揃えるから明日から学校休むよ」

「わかりました」

「あと、スーツも何着か用意して。多分必要だろうから‥」

「はい。では、こちらの仕事を一通り片付けてしまいましょう。」

「ああ、その方がいいかもな。

‥場合に寄っては──

もう‥
日本に戻らないかもしれない‥‥」


「晴樹さん?」


晴樹はふと、笑みを溢す。

「‥もう、戻る必要もないだろうしな‥」

そうボソリと呟きながら
諦めきった悲しい笑みを‥

苗の周りのことはお爺に頼めばいい‥
もう‥俺が側に居る理由は見つからない…


渡米で二、三ヶ月なら好都合だ

喜んで行ってやるよ


俺にとっては願ってもない幸運だ──



自分自身にそう言い聞かせながらも表情が歪む‥


苦しいのなんてほんの一時。

…直ぐに忘れる──


忘れなきゃ‥


やってられないッ


締め付ける胸の痛みを堪え晴樹は自分でそう思い込むしかすべがなかった…




◇◇◇


「苗!どうだ?」

退院した翌日、学校に登校してきた苗と屋上ランチをしながら夏目は調子を伺う。




「うん‥だいじょび。」

「‥そか、💧
具合悪かったら今日も早引きしろよ‥」


心なしか元気のない返事をする苗を夏目は心配そうに見つめていた。


‥なんだ、何か心配事でもあんのかな💧?


珍しく弁当を美味しそうに食べない苗。
苗は一生懸命、右脳を使っていた💧



兄さん!今日はチキンオムライスだょ


✉⇔
悪い。ちょっと忙しくて今日から学校休むから、弁当はもう要らない。



今朝、今日の弁当の中身をメールで送って返ってきた晴樹の返信メール‥


・・・・忙しくて休む?


苗は自分の弁当を頬張りながらそのメールの内容の意味を必死で考える‥



‥学校休まなきゃいけないくらい忙しい?

「むぅ‥あやしい‥」

苗はフォークをかじりながら声を洩らす💧



「苗💧‥どうした?」


「あやしいだょ‥」

「なにが💧?」

夏目は難しい顔をする苗に話しかける

「なんだかとっても、きな粉臭い匂いだょ‥」

「それを言うなら〃きなくさい〃だろ💧?」


「むうぅ‥」

「‥‥‥💧」


夏目の訂正も聞かず、苗は深く考え込んでいた💧



「苗、それよりこれ‥」 

「‥ん?‥‥ああ!」


夏目は都大会の案内用紙を苗に見せた。

「土曜日‥来てくれるよな?」

「うん、行くだょ!」

「そうかっ
俺、絶対頑張るからな!!」

苗の返事を確認し、夏目はイキイキと顔を輝かせる。

‥よし、この大会で優勝したら‥
国体までは程遠いか💧‥トホホ‥

ん!?でも待てよ‥

そだっ!

夏目は何かを思いついたようだった。


「なあ、苗」

フォークを握ったままの苗の手を夏目は両手で包み込む

「大会で優勝したら‥」


「うん?したら?‥」

「したら‥//

デートしてくれるか!?‥//」

「う、ん💧
いいだよ‥べつに💧」


夏目の勢いに飲まれ苗は要件を受け入れていた‥


‥よしっ
こうやって度々デートに誘ってれば‥
国体まで無理に我慢しなくても、いつの間にか付き合うことになっちゃったりなんか‥//

‥しちゃうように仕向け‥//


うくっと含み笑いを浮かべている。
夏目の姑息な作戦が始まっていた💧

キラキラとした笑みを浮かべ妄想にふけはじめた夏目の隣で苗は再び右脳を使う‥


‥むうぅ

忙しいだって‥

忙しいだって‥‥むぅ‥

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...