ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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19章 恋の片道切符

3

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会話もなくていい‥

今はこの時間を大事にしたい…


悲しい感情はいつの間にか和らぎ温かい想いが晴樹の心を満たす。


展望台に辿り付き晴樹は一番眺めのいい場所を見つけると苗に望遠を覗かせた。


「ゆっくり右に回してみな‥」

「右?」

晴樹に言われ苗は標準を合わせる‥

「‥うわぁ‥」

「な、いい眺めだろ」

「うん!
中華街のネオンがすごい綺麗だよ!!」

「中華街💧?」

‥俺が見せたかったのはそれじゃ‥💧

‥プッ

‥まぁいいか‥


的はズレていれど、苗は喜んでいる‥

晴樹は妥協し、そのまま望遠を覗かせてやっていた。

苗が自分といて楽しそうにしてくれている‥
それ以外、晴樹が望むものはない…


夜の輝く街を眺めはしゃぐ姿‥

苗のそんな姿を晴樹は胸に焼き付けるように見つめ続けた‥

‥こんなに手に届く距離なのに‥

こんなに…近くにいるのに──


「兄さん見てっ!」

「──!?」

直ぐ側にいた晴樹を苗は突然、引っ張り望遠を覗かせる

「み、見てって何を見りゃいいんだよ💧?」




普通の夜景しか写らない望遠を覗き晴樹は訴える。

「あれ、見えない?ちょっと待って‥」


──!?っ‥

「なっ──💧‥//」


苗は晴樹の肩を捕まえると顔を割込ませ強引に望遠を覗き込む──

密着してくる苗のふっくらとした頬を肌で感じ晴樹は一気に顔の熱を上げていた。

「苗っ!
無理だって二人で覗くのは!!‥//」

がっつり掴まれた肩に焦りながら晴樹は声をあげる

「直ぐ見つかるって!
あ、ほらっ!」

「‥‥!?」


望遠の焦点が目標物を捉えると、苗は安心して晴樹を解放した。

「‥ね!」

「!‥

ああ‥あったな…」

晴樹は望遠を覗き呟くように返事をかえした。

ネオンに主役を奪われた星の少ない東京の夜空‥

その中を一隻の飛行船が華やかな明かりを纏い、優雅に泳ぐ姿が映し出される…


「なんの飛行船だかね?」

「多分、結婚式の二次会‥

うちのホテルの飛行船だ」

晴樹は説明しながら望遠を再び苗に譲った

「へぇ…結婚式の二次会で飛行船かぁ、豪勢だね」

望遠を覗きながら晴樹の話に苗は答える




「乗ってみたいか?」

「うん。一回でいいから乗ってみたい!」

「そうか…」


望遠を覗きながら苗は興奮気味でそう語る。
晴樹はそんな苗をしばらく見つめると軽く息を吐いた。

「んじゃあ…

俺の奥さんになるか?」

「───‥


‥‥お、奥しゃん?‥💧」

そのセリフに苗は望遠から顔を上げ晴樹の顔を見上げる

「───‥💧?」

「ああ、
結婚して奥さんになったら毎日、飛行船に乗れるぜ」


晴樹は冗談交じりにウィンクを返す


「───‥‥毎日は‥乗りたくないだよ💧」

「‥そだな‥💧‥//」


あっさり苗に意見され晴樹は気まずそうに頭を掻いた…

冗談まじりで言ったセリフ。それさえも、断られたことに変わりはない💧



‥なに言ってんだ俺💧‥//


冗談で言ったことさえも却下される‥

密かに落ち込み、とことん諦めの悪い自分に我ながら呆れていた…。 

望遠を覗く苗の隣に立ち、晴樹は東京の夜景を見渡す‥

‥明日観る夜景は‥もうこの夜の景色とは違う…

そして──



「───‥」

想いをはせながら晴樹が苗を見つめていると、ふと苗の視線が晴樹に向いた…


「どうした?…もう飽きたか?」

話掛ける晴樹に苗は首を振って笑顔を向けた


「…ここ、いいね……


また兄さんと来たいだょ」

「───…」

晴樹は目を見開いた。

期待もしていなかった言葉…

せっかく落ち着いた鼓動が再び脈を早らせる


‥なんで今になってそんなこと‥っ‥


晴樹の大好きな笑顔を向け、そしてずっと晴樹が望んでいた言葉をさらりと苗は言ってくれる


どんなに気持ちを抑えてもそんな顔して‥
そんな言葉を言われたらッ

‥諦めろって方が無理に決まってんだろ──!!


「‥苗ッ!」

「うぁっ‥」


突然強く抱きしめられ、苗は晴樹の胸に顔をぶつけて一瞬もがいた

「苗ッ‥

なえ‥‥‥っ‥」


胸が熱すぎて息が出来ない

抱きしめた苗の後頭部を包み込み愛しむように掻き乱す。
苗の背中に回した腕も行き場を見つけられず小さな背中を泳ぐことが精一杯だった‥


「苗っ‥」

息苦しさでかすれる声に呼ばれ苗は顔を上げる

指先に絡まる艶やかな黒髪を優しくとかしながら晴樹は苗の顔を覗き込んだ‥


今まで何度も繰り返された光景‥


‥ぅあ‥//く、くるッ──


この先が予想でき、一瞬苗は身構えた。




「‥‥な‥え」


ビクリとした苗の緊張を感じ晴樹は伏せかけた瞼を開き苗を見つめた。

歯を食い縛り目をぎゅっと閉じて構える苗。晴樹はそんな苗の表情を目にし、微かに唇を噛む‥


‥っ‥俺にキスされるのはそんなに嫌か…


晴樹は傾けた顔をゆっくりと元に戻した‥

切ない‥

これが最後なのに…

結局は…どん底に突き落とされるっ
ほんのちょっと苗の口から嬉しい言葉を言われただけで沸き上がる想い…

熱を帯ては自分で必死に凍らせる

なんでいつも期待ばかり持たせる!?‥


もう…いい……ほんとに‥




構えたものの、一向に襲ってこない晴樹の唇に苗は恐る恐る目を開けた。

‥あ、あれ!?

「兄‥さん‥」


苗は自分を見つめる晴樹の視線に思わず目を見張った。熱を帯た揺れ動く瞳‥
何かを言いたげに唇は軽く開き微かに震えて見える‥

「兄さ‥どうしっ‥」

ほんの一瞬、大きく歪み掛けた晴樹の表情に驚き苗は声を掛けた。


「フッ‥ぶっ‥クスッ‥

いつみても笑えるな?お前のその顔。」

「‥う💧?」

悲痛な表情を浮かべたかと思った瞬間、腕から苗を解放し晴樹はさもおかしそうに含み笑いする

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