ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

文字の大きさ
228 / 255
☆*:.。. o番外編o .。.:*☆

3

しおりを挟む

ベッド脇の棚には苗が置いたらしい、二人で写した写真が飾ってあった。


苗と過ごした時間が思い出になって…

これから少しずつ、この空間を彩っていく…


色褪せることのない思い出。

時間が経過する度にきっとそれは眩しいほどの輝きを増す筈で……


「苗…」

「……ん…」

「水、飲めるか?」


もごもごと口を動かす苗を抱き起こすと晴樹は自分の口に水を含んだ…

冷たい水が晴樹の口の中でほどよい温度に変わり、苗の小さな唇へと流し込まれる…

「…んっ…む…っ」

口移しで与えられる水を少しずつ飲み込む度にゴクリと苗の喉が鳴る。

注ぐものが無くなると、晴樹は苗の口にそのまま濡れた舌を入れていた。

そっと緩んでいく唇。
晴樹はその奥へと舌を差し込む。

苗の背中を支え、空いた手で苗のぽわっとした温かい手を絡め取ると冷たかった舌が直ぐに熱を取り戻し、晴樹は唇を交差しながら甘い息を吐いた。


「…苗……」


何度も諦めた苗とのこの瞬間。

唇を離すと少し酔いの覚めた苗は照れながらも晴樹の手を握り返す。

晴樹はそんな苗を見つめた…


“兄さん…好き…”


二次会で突然口にした苗の言葉が脳裏をかすめ、晴樹はふと頬を緩ませる。


付き合い始めても…

婚約しても…


やっぱり俺は兄さんか…



立場は確かに変わった筈なのに“兄さん”からは逃れられないことに、返って笑いが溢れそうだ。



兄さんでも幸せであることは間違いないんだけど…


「苗…あーいう言葉はな……今、言うもんだろ…」


照れたままうつ向いて無口になった苗に、晴樹はそう言って優しく笑うとギュッと苗を抱きしめた。


海外と日本を行ったり来たりの慌ただしい日々。

やっと取り戻せた苗との時間を噛み締めるように、晴樹は抱きしめた苗の首筋に顔を埋める。

ふんわりとした香りが晴樹の疲れた心を和ませる。



ああ…

これは…
なんていうんだろうか…


赤ちゃんのような柔らかな匂い。
抱きしめただけでこんなにもホッとする…


やっぱりこれだな…



瞳を伏せた晴樹の表情に自然に笑みが浮かぶ。


すごく大事で…

愛しくて可愛い…




晴樹は鼻先を擦り付けるように苗の香りを味わうと首筋にちゅっと軽く何度も吸い付いていた…




鼻先で肌を伝いながら、晴樹は苗をそっとベッドに押し倒していた。

「…苗………」

軽く吸い付いただけで白い首筋がほんのりとピンクに染まる。

強く喰らいつきたい


目立つ場所に自分のものだという印を残したい…


そんな感情が湧いてくる。

苗にだけ抱いた独占欲


晴樹はそれを我慢しながら熱い舌を這わした。

「…っ…うぁっ…」

唇を肌に押し付けたまま、熱い舌先で苗の白い肌を柔らかくなぞると握っていた苗の手に、時折力が入る。

そして微かにうめき声が洩れていた…


「うぅぉっ…」


………?

おおよそ色気とは無縁の苗の喘ぎに晴樹の動きが一瞬止まった。

堪えるように目を堅く瞑る苗をちらっと覗くと晴樹はまた柔らかなキスを繰り返す。

ワンピースの裾から少しずつ潜り込む晴樹の指先…

「ヒィッ……」

「――……」

…ヒィッって……なんだよ…


膝から内腿を伝った晴樹の手。苗の口から脅えたような悲鳴が漏れていた…

カチコチに固まったまま拳を握り締める苗を見て晴樹は動きを止める。
「苗……お前、ちょっと緊張し過ぎ……」



それ以上先に晴樹の手が行くことを拒むように苗の両膝がガッチリとくっついている。

「………」

もしかして…

またお預けか?…


なんだかそんな気がしてくる。

「苗……力抜けって…」


晴樹は苗の様子を窺いながら太ももペチペチと叩いた。

「…う……」

「………?」

「兄さ、ん…」

「…どう…した…?」

なるべく優しく…

焦らずに………


そう自分に言い聞かせながら晴樹は脅える苗に優しく聞き返す。


「やっぱり今から…っ」


「…今からなんだ?……」


「………今から…っ…」

「………?」


「シちゃう…だよね?……」

――!
「お前っ―――…そんな事率直に聞くか普通っ」


「だってっ……苗もか、覚悟がっ…」

必死の形相でそうわめく苗をじっと見つめて晴樹は唾を飲んだ。

「い…一応…は…」

わざわざ口にするって何とも言えない程に恥ずかしい…

でも晴樹は声を絞った。

「最後までシちゃうつもり…でいますが…っ…」

「……っ…」

何故か息が上がる。その上、顔は熱り語尾はなんだか声が上擦っていた。



苗の要らぬ再確認のお陰で落ち着いていた晴樹の心臓が必要以上に今のこの状態を意識し始めていた。


苗の上に重なった心臓が圧迫されたように鼓動を打つ。

シちゃうと宣言した以上、今回こそは絶対にっ…


晴樹は目の前の苗を見つめ、頬に手を添えた。

「苗、…覚悟とか必要ないから…」

晴樹はそういいながら再び瞳を伏せて、苗に唇を重ねた。

今まで何度も交したキス…


あまり行き過ぎることがないように…

途中で想いを抑えられるように…

制御しながらのキスをたくさんしてきた…


でも、たった今。
晴樹が苗に降り注ぎ始めたキスはその後の続きを予感させるようにじっくりと甘く…

そしてたっぷりの愛を惜しみなく含んでいる。


「…苗……」

「……っ…ん…」


唇を放した晴樹の口から熱いため息が零れ、苗は恥ずかしそうに目を反らし少しばかり途方に暮れた。



どうあがいても、やっぱり今日は最後までコースだ…

そう覚悟を決めるしかないっ…

「…っ…ええぃっ…ヤルんなら一思いにヤッちゃっておくんなましよっ!!」

「……っ」
―――苗!?

苗はそう叫ぶと同時に晴樹を振り払い両手足を大の字にドカッと広げていた…

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...