ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

文字の大きさ
233 / 255
☆*:.。. o番外編o .。.:*☆

8

しおりを挟む

チュッと小さな濡れた音が静かな寝室に響く。


触れ合う距離。


手元に戻って来てくれた苗を愛しげに見詰めると、苗の後頭部に手を添えて晴樹は唇を開き首を傾けた──


「──…?」


引き寄せようとした苗の後頭部に力が入っている…

晴樹はゆっくりと半身を起こすと苗の顔を覗き込んだ。


「なえ…お前…起きてるだろ…」


「………」 


「なえ…」


「……っ」

苗はそーっと薄目を開けて晴樹を盗み見た。


「……寝てる間にいろいろやっちゃおかな──…」


「──…!」

晴樹の脅しの言葉に苗の薄目がカッと開いていた。

晴樹は枕を肘にあて横を向いたまま苗を見詰めてニヤニヤしている。

「いつ帰ってきた?」

晴樹は率直に苗に聞いていた…

「……家に行って直ぐお母ちゃんに追い出された…」

「マジで!?──」

苗はグスンと鼻を啜った。

「普通なら離婚問題よっ!──っで…うぅっ」


「……だな…」


さすが、おばさん……ぷっ…


泣きながらグスグス言う苗の下唇が大将のように突き出してきている。

晴樹は笑いをこらえ、苗の涙ながらの訴えを聞いてあげていた。


「…で──…ここに戻って来たってことは覚悟を決めたってことだろ?」


「……っ…うぅっ」


「泣くな…」

顔をくしゃりと歪めた苗を晴樹は叱る。

「そんなに泣くほど嫌ならシなくていい──…浮気するから」

「──…!」

晴樹のその一言に苗の目がショックで見開いた。




「ぅううぅっ…兄さんっヒドイ…」


「どっちが!?」

抱かせないうえに

浮気はだめ


しかもベットは一つ──


発狂するぞ俺はっ!!!



晴樹は恨めしげに苗を睨む。

ころろなしか目尻に涙が滲んでいるようだ。

「苗に合わせてると涙ちょちょぎれてくるわっ!!」


晴樹はゴロンと背を向けた──。

「うぅっ…」

「………」

「うあぅ…」

「──……」

「うぇ──」

「なえ……二択だからな」


背後で嗚咽の止まない苗に晴樹は背中を向けたまま無情に呟いた。

「……ぅうっ…二、択…っで…?」


「浮気公認か──…今から覚悟決めるか──…今、選べ」

「………」

苗の嗚咽がピタリと止まった。

──…が

「うあああっ…ぅ…ヒッグッ…さっき言ったのとまったく同じじゃん…っ…ヒネリもだんにもないだょぅ…っ…」

「………るさいっ」

ひねり何かいるかっ!


激しくなった嗚咽に晴樹は相変わらず背を向けたままだ。

「なら三択にしてやる」


「しゃんたく…っ…?」


「今夜覚悟決める、浮気公認、離婚する──…選べ」

「──…っ」


「三つから選べ…」


「………」


背中越しに苗の緊張が伝わってきていた…




晴樹は低い声で苗を急かす。


「早く選べ…」

苗は中々答えない。

答えにくい選択肢をわざと選んだのだからしょうがない。


晴樹は催促を繰り返した。

「離婚を選ぶか?」

「………離、婚は…やだゅ…」


晴樹の問い掛けに苗は蹲ったまま小さな声で拒否する。

晴樹はその答えに安心したような溜め息をホッと吐いた。

苗の答えを待つ晴樹の心臓がなぜかトクンと跳ねる。

「じゃあ浮気公認するか──…」



「……う…浮気…は…もっとダミだゅっ…」


「──…っ」

背中に触れた苗の手が晴樹のパジャマをキュッと掴んでいた──

トクンとした晴樹の脈が徐々に昂ってくる


晴樹は小さく唾を飲み込むと震える呼吸をゆっくり吐いた。

「……っ…じゃあ──覚悟決めるか…」


苗の方を向き直った晴樹の胸に苗は踞るようにして抱き付いていた──

「──……っ」 

鼓動が早まる。

晴樹の胸に顔を埋め、しっかりと抱き付いてくる苗を晴樹は強く抱き締め返す。

「覚悟決めたんだな?…」
念を押して聞いた晴樹の胸に顔を埋めたまま、苗は何度も大きく頷いていた。




「──っ…なえ」

晴樹は自分の胸元に顔を埋めていた苗の頬を両手で捕えると唇を塞いだ。


我慢できない──

そんな熱い感情がほとばしる。

包み込んだ苗の頬はとても柔らかくて熱く、晴樹は真っ赤になった苗の顔に胸を焦がした。


晴樹が初めて見たベットの上での苗の女の子らしい表情──

赤くなった顔で恥ずかしがりながら瞳を潤ませる。


晴樹はそんな苗に愛しさが募った。


唇を重ねながら苗の上にゆっくりと覆い被さる。

顔を上げると目の前の苗を見つめ、晴樹は首の向きを傾けながら唇を開いた。

頬を包んでいた晴樹の男の指先が苗の唇をなぞり開かせる。

晴樹は濡れた舌をゆっくりと突き出していた…

開かされた苗の唇から小さな舌先が出てくる。

二人の舌が控え目に絡み合うと、口腔に溢れた唾液の音が吐息を吐く度に奏でられ、晴樹は胸を疼かせた。


「なえ…っ…優しくするから……」


熱いキスを落としながら微かに震える苗を見つめる。

「…痛くしない──…いっぱい時間かけるから…」


「………っ」
晴樹は真っ赤になって涙目で頷く苗の唇に再び吸い付いていた──



ゆっくり

たっぷりと──



時間をかけて晴樹は苗にキスをする──


唇だけにしか触れないキス。

晴樹の手は苗を抱き締めたままどこに触れるでもなく、時に強く 時に優しく苗を抱く腕に力を込める。



「なえ…っ…」

すごく好き…

噛み合う唇を離しては晴樹はそんな想いを込めて苗を見つめた。

しっとりとした頬。
柔らかな唇──

熱を持つ瞼…


包み込んだ両手で大好きな苗のパーツ、一つ一つに触れながら晴樹は耳を隠していた髪をとかす。


晴樹は熱い吐息を含んだ声で囁いた──


「なえ…

離婚なんて絶対してやらない…

浮気なんか…するはずないだろ……」

言葉を吐いては耳に唇を押し当てて苗をぎゅっっと抱き締める。

想いを伝えながら高まる感情。

晴樹は苗を覗き込むと


「愛してる──」


熱に犯されたようにその言葉を何度も囁きながら苗の唇を甘く貪った……


晴樹の優しい愛撫に苗の緊張がほどけていく。
沢山のキスを交わし、漏れる吐息の熱さを味わいながら、晴樹の唇は少しずつ下降していった。

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

処理中です...