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☆*:.。. o番外編o .。.:*☆

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チュッと小さな濡れた音が静かな寝室に響く。


触れ合う距離。


手元に戻って来てくれた苗を愛しげに見詰めると、苗の後頭部に手を添えて晴樹は唇を開き首を傾けた──


「──…?」


引き寄せようとした苗の後頭部に力が入っている…

晴樹はゆっくりと半身を起こすと苗の顔を覗き込んだ。


「なえ…お前…起きてるだろ…」


「………」 


「なえ…」


「……っ」

苗はそーっと薄目を開けて晴樹を盗み見た。


「……寝てる間にいろいろやっちゃおかな──…」


「──…!」

晴樹の脅しの言葉に苗の薄目がカッと開いていた。

晴樹は枕を肘にあて横を向いたまま苗を見詰めてニヤニヤしている。

「いつ帰ってきた?」

晴樹は率直に苗に聞いていた…

「……家に行って直ぐお母ちゃんに追い出された…」

「マジで!?──」

苗はグスンと鼻を啜った。

「普通なら離婚問題よっ!──っで…うぅっ」


「……だな…」


さすが、おばさん……ぷっ…


泣きながらグスグス言う苗の下唇が大将のように突き出してきている。

晴樹は笑いをこらえ、苗の涙ながらの訴えを聞いてあげていた。


「…で──…ここに戻って来たってことは覚悟を決めたってことだろ?」


「……っ…うぅっ」


「泣くな…」

顔をくしゃりと歪めた苗を晴樹は叱る。

「そんなに泣くほど嫌ならシなくていい──…浮気するから」

「──…!」

晴樹のその一言に苗の目がショックで見開いた。




「ぅううぅっ…兄さんっヒドイ…」


「どっちが!?」

抱かせないうえに

浮気はだめ


しかもベットは一つ──


発狂するぞ俺はっ!!!



晴樹は恨めしげに苗を睨む。

ころろなしか目尻に涙が滲んでいるようだ。

「苗に合わせてると涙ちょちょぎれてくるわっ!!」


晴樹はゴロンと背を向けた──。

「うぅっ…」

「………」

「うあぅ…」

「──……」

「うぇ──」

「なえ……二択だからな」


背後で嗚咽の止まない苗に晴樹は背中を向けたまま無情に呟いた。

「……ぅうっ…二、択…っで…?」


「浮気公認か──…今から覚悟決めるか──…今、選べ」

「………」

苗の嗚咽がピタリと止まった。

──…が

「うあああっ…ぅ…ヒッグッ…さっき言ったのとまったく同じじゃん…っ…ヒネリもだんにもないだょぅ…っ…」

「………るさいっ」

ひねり何かいるかっ!


激しくなった嗚咽に晴樹は相変わらず背を向けたままだ。

「なら三択にしてやる」


「しゃんたく…っ…?」


「今夜覚悟決める、浮気公認、離婚する──…選べ」

「──…っ」


「三つから選べ…」


「………」


背中越しに苗の緊張が伝わってきていた…




晴樹は低い声で苗を急かす。


「早く選べ…」

苗は中々答えない。

答えにくい選択肢をわざと選んだのだからしょうがない。


晴樹は催促を繰り返した。

「離婚を選ぶか?」

「………離、婚は…やだゅ…」


晴樹の問い掛けに苗は蹲ったまま小さな声で拒否する。

晴樹はその答えに安心したような溜め息をホッと吐いた。

苗の答えを待つ晴樹の心臓がなぜかトクンと跳ねる。

「じゃあ浮気公認するか──…」



「……う…浮気…は…もっとダミだゅっ…」


「──…っ」

背中に触れた苗の手が晴樹のパジャマをキュッと掴んでいた──

トクンとした晴樹の脈が徐々に昂ってくる


晴樹は小さく唾を飲み込むと震える呼吸をゆっくり吐いた。

「……っ…じゃあ──覚悟決めるか…」


苗の方を向き直った晴樹の胸に苗は踞るようにして抱き付いていた──

「──……っ」 

鼓動が早まる。

晴樹の胸に顔を埋め、しっかりと抱き付いてくる苗を晴樹は強く抱き締め返す。

「覚悟決めたんだな?…」
念を押して聞いた晴樹の胸に顔を埋めたまま、苗は何度も大きく頷いていた。




「──っ…なえ」

晴樹は自分の胸元に顔を埋めていた苗の頬を両手で捕えると唇を塞いだ。


我慢できない──

そんな熱い感情がほとばしる。

包み込んだ苗の頬はとても柔らかくて熱く、晴樹は真っ赤になった苗の顔に胸を焦がした。


晴樹が初めて見たベットの上での苗の女の子らしい表情──

赤くなった顔で恥ずかしがりながら瞳を潤ませる。


晴樹はそんな苗に愛しさが募った。


唇を重ねながら苗の上にゆっくりと覆い被さる。

顔を上げると目の前の苗を見つめ、晴樹は首の向きを傾けながら唇を開いた。

頬を包んでいた晴樹の男の指先が苗の唇をなぞり開かせる。

晴樹は濡れた舌をゆっくりと突き出していた…

開かされた苗の唇から小さな舌先が出てくる。

二人の舌が控え目に絡み合うと、口腔に溢れた唾液の音が吐息を吐く度に奏でられ、晴樹は胸を疼かせた。


「なえ…っ…優しくするから……」


熱いキスを落としながら微かに震える苗を見つめる。

「…痛くしない──…いっぱい時間かけるから…」


「………っ」
晴樹は真っ赤になって涙目で頷く苗の唇に再び吸い付いていた──



ゆっくり

たっぷりと──



時間をかけて晴樹は苗にキスをする──


唇だけにしか触れないキス。

晴樹の手は苗を抱き締めたままどこに触れるでもなく、時に強く 時に優しく苗を抱く腕に力を込める。



「なえ…っ…」

すごく好き…

噛み合う唇を離しては晴樹はそんな想いを込めて苗を見つめた。

しっとりとした頬。
柔らかな唇──

熱を持つ瞼…


包み込んだ両手で大好きな苗のパーツ、一つ一つに触れながら晴樹は耳を隠していた髪をとかす。


晴樹は熱い吐息を含んだ声で囁いた──


「なえ…

離婚なんて絶対してやらない…

浮気なんか…するはずないだろ……」

言葉を吐いては耳に唇を押し当てて苗をぎゅっっと抱き締める。

想いを伝えながら高まる感情。

晴樹は苗を覗き込むと


「愛してる──」


熱に犯されたようにその言葉を何度も囁きながら苗の唇を甘く貪った……


晴樹の優しい愛撫に苗の緊張がほどけていく。
沢山のキスを交わし、漏れる吐息の熱さを味わいながら、晴樹の唇は少しずつ下降していった。

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