ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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☆*:.。. o番外編o .。.:*☆

もっと手強い恋敵(後編)

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何度目かの熱い溜め息を吐く頃──

空は黄みがかり、朝をとうに越えた事を知らせていた。

明け方前に事に及んだせいか、晴樹はいまだに苗を解放する様子がない。


「はぁ…っ…なえ──」

「……うぅっ」

うぁぁ…っ…この調子じゃ──

ホントに赤ちゃんデキちあうかもしんないだ…ょ…っ


閉めきったカーテンの隙間からは明るい射光が漏れている。虚ろな眼差しで頬を上気させて苗は天井を見つめていた。


思わぬ誤算で初っぱなに悔しさを味わった晴樹は苗をもう一度、抱いていた──

慣れてきた感覚と、まったりとした愛撫。

一度果てた晴樹の体は長い時間、苗の抱き心地を堪能する。

晴樹は苗を抱き締め腰を揺らしながらおでこに口付けた。

「なえ」

「……あぅっ…っ」

喘ぎとも呻きともとれる声を漏らして苗は返事する。

「もしかして──…もうすぐ生理くる?…」

「──…!?」

どんぴしゃな晴樹の問い掛けに苗は驚きを隠せなかった。



「す、ごいね兄さんっ…」


やっぱりな…


晴樹は中を味わいながら奥であたる感触に違和感を覚えていた──

「どしてわかるのさっ!?」


「……子宮が下がってきてる…」


「………っ!?──そんなことまでわかるの兄さんっ!?」


「わかるよ…先に当たるから……」


「………」

……兄さん…

ただのハレンチじゃなかったんだね…


妙な尊敬の念が生まれてくる。

ゆっくりと味わう余裕の出来た晴樹は大好きな苗を思う存分堪能していた。

晴樹は驚いた表情のままの苗をクスッと笑う。

唇に軽くキスをして首筋に潜ると晴樹は囁いた。

「もし子供できたらどうする?──」

「──…」

「名前は?…」

「名前…」


晴樹はそんな会話を交わしながら揺ったりと腰を動かす。




甘ったるい快楽、幸せなひととき──


本当なら披露宴後の二次会が済み次第、最終便で渡米するばすが思わぬ恋敵、悟の出現で急遽延長した日本滞在。

それも朝を迎えた今、残すは明日までとなってしまった…

またも御預けになるかと思った苗とのこのひととき。

強力な助っ人、オカン(咲子)のお陰で事なきを得たが、自分が不在になってしまえばまた何が起きるかわからない……


“苗っ!俺、×イチでも全然気にしないからっ──”


アイツもまだ諦めてないし…


控え室で白無垢姿の苗に叫んだ夏目の言葉を思い出す。

まだまだ前途多難だ…

「なえ…」

晴樹は苗を見つめた。


「始業式迄には帰るから……浮気するなよ…」

顔を赤くして頷く苗の頬を軽くつねる。つねった後に優しく唇を充てると晴樹は枕元の両脇で絡めていた苗の手を自分の肩に回した。

四月の始業式まで二週間。

NY支社での起業の段取りも殆ど調整出来た。あとは日程通りにイベントを済ませればいいだけ。

「なえ……帰ってきたらいっぱい抱くからな」

「……!?…」

晴樹は抱き付いた苗の腰を引き寄せる。

向こうに行ったらまた暫く苗とは逢えなくなる。

知ってしまったこの温もり──

手離したくない想いだけが溢れてくる。


苗の体温を惜しむ様に律動を早めて熱い吐息を吐くと、晴樹は苗を抱き締めたまま深い眠りに着いていた──。



「兄さん、会社の人にお土産は要らない?」

「日本と違うからそこまで気遣わなくていいよ、ある程度見繕って村井が送ってるから」


渡米の日、空港のお土産屋で物色しながら聞く苗に晴樹はそう伝えた。

晴樹を見送る為に田中家御一行総出でお見送り。そのために、マイクロバスが一台貸し切られていた。

「お前の手にあるのはなんだ?」

「これ?…お家帰ってから食べようと思って」

「自分の為か…」

色んな土産店の品物をぶら下げた苗を見て聞いた晴樹に苗は答えた。


殆ど足を運ぶことのない空港。田中家御一行にしてみればちょっとした観光地と変わりない。

はしゃぐ三つ子に、迷子になる満作。飲食店巡りを始めた両祖父母に着いて回る内に、出発までの待ち時間は結構あった筈なのに、あっという間に搭乗時を迎えていた。


「やっぱり飽きないな…」

まだ何かを買い込もうとする苗を見て呟くと、晴樹はぷっ…と笑いを溢していた。



椅子に座って長い脚を組む。


田中家とはロビーで別れを告げて、晴樹は苗と二人で待ち合い席に居た。

「あ、ゲート開いたな」

アナウンスで晴樹の乗る便が案内され、席から腰を上げた晴樹は後ろに居た苗を振り返った。

「なるべく早く帰れるようにするから…」

「うん…」

名残惜しさが込み上げる。国際線だけあって周囲は異国の乗客が大半を占めている。

晴樹は苗の頬をそっと撫でると腰を屈めた。

「苗…愛してる…」

交わした口付けに言葉を添えて、晴樹は“行ってくる”の一言を告げると苗に背を向けた。

苗は笑顔で晴樹の後ろ姿に手を振り返す。

ゲートを潜ってふと晴樹が振り返ると……

涙をゴシゴシ拭う苗の姿がちらりと見えた。

乗り口に向かいながら晴樹は小さく笑みを浮かべる。


早く帰らなきゃな…


自分との別れに愛しい苗が泣いている──


それは晴樹にとって嬉しいことでもあり、切ないことでもある。

離陸した飛行機の中、晴樹は涙を拭う苗のその仕草を思い浮かべる度に、ずっと胸を疼かせていた。

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