ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

文字の大きさ
239 / 255
☆*:.。. o番外編o .。.:*☆

5

しおりを挟む


早く帰りたい…


寧ろ、早く苗に逢いたい…


そして、めいいっぱい
苗を抱きたい──



「性欲溜まるぜチキショーっ…」


「はは!社長、今のは日本語ですか?」

「そう、俺は頑張るぜっって意味!」

「オー!なるほど」

返した書類を受け取りながら尋ねた部下に晴樹は笑顔でデタラメを教えていた。

いい事を聞いたと笑いながら部下は立ち去っていく──

「社長…程々にしてくださいよ…」

「余程の音感なきゃ一回聞いたくらいじゃ憶えねえよ」

「彼はギターマンですよ…」


──なに!?


強気で返した晴樹を村井がたしなめた直後、オフィスのドアが開いた。


──!はっ…
ヤバいっ──…


日本かぶれのリディの父親、リチャードの登場に晴樹は焦る。

様子を見に来たリチャードはオフィスに入ってくるなり明るく言った。

「やあ、諸君。頑張ってるかい!」


「ホゥッ!セヨクタマルゼ.チキショー!!」


「ん、なんだと!?」




はは…あちゃ…──

頭を抱えた晴樹の横で村井は「社長…」そう小さく呼び掛けていた……




怪訝な顔で部下を振り返りながらリチャードは晴樹のもとまで来る。

「晴樹──…いや、社長。調子はどうだ?」


「今のところは順調。残るは挨拶周りかな」

「うむ、君は兄さん達と違って弁がたつ。そこでどうだ──今夜、三社合同での会食を予定しようと思うが…」

晴樹はリチャードの提案に目を見張った。

「そりゃ願ってもないことだリチャードっ」

そう言った晴樹にリチャードはこっそりと耳打ちした。

「早く帰りたいだろ?愛しいワイフのもとへ…」

リチャードは笑ってウインクをする。ニヤリと返した晴樹に会食の時間を告げるとリチャードは颯爽と出口へ向かった。


そしてリチャードは急に立ち止まる。

「ヘイ、ユー!そんなに溜まってるなら早く彼女を作れっ──それともSサイズの搾乳器をプレゼントしようか?ん?」

「……?」

ギターマンの部下に日本語で返して肩を叩くとニッコリ笑う。そんなリチャードに部下は肩をすくめ、首を傾げていた。




「さすが智晴氏のパートナーですね。相変わらずユーモアたっぷり」

「ブラックジョークだろあれは……でも、話しのわかる人だから助かる」


晴樹は軽いステップを踏み立ち去っていくリチャードの背中を見送っていた。



ただ──

それでも苗と約束した一週間で帰国するというのは厳しいようだ。

晴樹は髪をかきあげて疲れたため息を零す。

そんな晴樹に村井はパソコンを弄りながら話し掛けた。

「そう言えば晴樹さんが去年行ってた例のリゾートホテル、結城の買収が決まったそうです」

「──……ああ、あれか」

晴樹は思い出していた。苗の田舎に行った際、予約した似非5つ星のホテル──

晴樹の睨んだ通り、経営は火の車だったようだ。

バブル崩壊前に建てられたばかりで瞬く間に不況の煽りを受けてしまったらしい。まわりのゴルフ場も無人のまま放置状態だった。

「買収の話を持ち掛けたら、所有者の権利がそこの大地主の方で東郷って──」

「東郷!?」

「はい、田中家の御友人か御親戚で披露宴にも来ていらっしゃいましたねたしか…」

「ああ」

なるほど…
あの田舎の土地ほとんど所有してるなその分じゃ──

晴樹は一度だけ行ったことのある東郷家のバカでかい屋敷を思い浮かべた。




「買収も是非にと、直ぐに話がまとまったようです。買収値もかなり安値だったと…」

「へえ…」


「安値の代わりに観光地として活性化させて欲しいと条件付きだそうですが」

「そんなこと態々条件付けなくてもホテル業ならやるさ」

「ですね」

村井は相づちを打つと付け加えた。

「──…あと、社長からのご提案だったので、全責任を社長に委ねるそうです…」

「………」

村井の言葉に晴樹は無表情だった顔を激しく崩した。

「げっ…──マ、ジに!?」

「はい、昨日…可決したそうです」

村井はそう言って弄っていたパソコンを晴樹に見せていた。


「うわ、やられた──っ」

送られてきたメール読んで頭を掻く。


「気負わずやってみたらどうですか?」

「他人事だな村井は!?」

さらりと言って退ける村井に反論する。


くそっ──!!
この仕事が一段落したら苗との新婚生活と学生生活を楽しもうと思ったのに──

なんでこう、次から次へと持ち込むんだよ!?


晴樹はカリカリしながらやる気をなくしていく。

「たぶんこれからの事に大いに役立つと思いますよ。苗さんと一緒に取り組んでみては?」

「苗と!?」

「ええ」

「苗とどう取り組むんだよ?只でさえ一風変わった感覚してんのに…」




──…!


そう言った自分の言葉に晴樹はふと気がついた。


「よそと同じことしてては繁盛しませんからね」

村井はにこやかに返した。

「確かにな…」

あのホテルで見直すことと言えば…

値段 従業員の教育──ホテルそのものは勿体ないくらいいい造りをしていた。

それに地域イベントに三万発なんて花火大会もある──

集客イベントとしてはそれはかなり目玉だ。

夏の花火大会以外の客寄せが何かあれば──


晴樹は次第にワクワクした表情を浮かべる。


「ふ……苗と一緒に何かやるのも面白いかもな──」 

晴樹はそう小さく呟いていた。







「お嬢、こっちです!!」

小さな店が建ち並ぶ通りでガタイのいい男が手を振っていた。

「あっ?タケちゃん!?」


「お久し振りです」

元、龍極会系藤代組

幹部の近藤 武──

今や鬼頭組若頭付きとなった武はある一軒の店で苗を待っていた。

「ささ、中へどうぞ。親爺さんが楽しみにしてますよ」

小さな花を抱えた苗は武に言われるまま店の中へと入っていった。

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

処理中です...