魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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最強の呪術師:デューク

12話

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「はぁ…はぁ…」

私は目の前の龍を見る。

「グルルルル…」

闇の力を持つSS級モンスター、闇龍ダークドラグニア…

体長は翼を含めると15m程の大きさのワイバーン種によく似た姿の漆黒の龍だ。

やつの扱う闇の力もだが、その大きな口から発せられる闇のブレスがかなり厄介な効果を持っていた。
威力こそ、そこまで高くは無いが、相手の全防御ステータスを無視してダメージを与えると言う破格の性能をしているのだ。
さらには爪の攻撃や、噛みつきにも同様の効果が出ることもあり、ランクに見合わぬ強さを誇るモンスターだ。

「リリア!」

ヴァリアスが私の方を見ながら言う。

「よそ見しないで!」

ダークドラグニアの噛みつきを紙一重で後方に飛び退いて避ける。

目の前でやつの大きな口が閉じられる。

もし噛まれていたら、死んでいたかもしれなかった。

「叩き割り!」

私の大斧の一撃がダークドラグニアの閉じられた口に当たって、火花を散らす。

「グルルルル…」

ダークドラグニアはそのまま私を薙ぎ払おうと首に力を入れる。

私はそれを利用してダークドラグニアと距離をとる。

ヴァリアスの方でも山のようにデカいヤマアラシみたいな姿のSS級モンスターのギガニードルが長い爪による引っ掻き攻撃や針飛ばし攻撃などで猛攻をしかけていた。

ヴァリアスは今のところはまだ平気そうだが、徐々に疲労が溜まって来る事を考えれば、早期決着が望ましいだろう。

私は先程一体のSS級モンスターのギガバーンを一撃で仕留めたばかりだった。

それを遥かに上回る硬い皮膚のこのダークドラグニアにはダメージを与える事すらままならない状況が続いている。

雄叫びウォークライがあれば…」

このままでは上限突破リミットバーストするしか無い。

しかし、上限突破は身体にかなりの負担を強いるし、いつまで持つかも分からない。

私はダークドラグニアの攻撃を防ぎながら、考える。

どうすれば…

私は気力オーラを可能な限り身体の中に抑え込む。

「そうね…私も命賭け…命燃やせ!」

私の体温が上昇し、身体から少しづつ湯気が出る。

「上限突破のさらに向こうへ…完全限界突破フルバースト!」

私のHP以外の全ステータスが大幅に強化される。

肺は空気をさらに取り入れ、心臓の鼓動は早くなり、酸素の豊富な熱い血液が全身を余す事無く駆け巡り、脳が活性化する。

「グルルルル…ギャアアアアアアス!」

ダークドラグニアが闇の力を強める。

ダークドラグニアも本気を出したようだ。

私は大きく息を吸って深呼吸する。

「行くよ!」
「ギャアアアアアス!」

私が大斧を振り上げると同時にダークドラグニアの鋭い爪の攻撃が来て互いに火花を散らして弾き返す。

「喰らえ!兜割り!」

兜割りは相手の防御のステータスを無視してダメージを与える技能だ。

ダークドラグニアはそれを避けようとはしなかった。

むしろ、くらった上でお前を殺すと言わんがばかりの堂々たる直撃だった。

『ハハッ…クハハハハハハ!』

突然ダークドラグニアが笑い始める。

『ニンゲンにもこれほどまでの強者が居るとはな。余も本気を出したかいがあるってものだ!』

「悪いけど、あんたの話につきあってられる程の余裕は無いの。だから…」

ダークドラグニアがニヤリと不敵に笑う。

「この一撃に全てを賭ける!」

私は大斧に気力を注ぐ。

同時にダークドラグニアも闇の力を爪に込める。

『余も最高の一撃を持って殺してやろう!』

私は高く飛び上がる。

大斧がバチバチと電気を発して火花を散らす。

「奥義!稲妻落とし!」

『カオススラッシュ!』

ダークドラグニアの爪と私の大斧がぶつかり、闇の力と稲妻がぶつかり合いながら、火花を散らす。

「倒れろぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」

パキン!と音を立ててダークドラグニアの爪が折れる。

『クハハハハハハ!ニンゲン、余はソナタを見くびっていたようだ!ソナタは強い。紛うことなき強者だ!』

ダークドラグニアの頭から縦に一直線に斬る。

ダークドラグニアはそのまま倒れて息絶える。

同時に私は全身から力が抜ける感覚とともに大量に吐血し、その場に倒れる。

「なんとか勝てたわ…」



一方その頃ヴァリアスは目の前のギガニードルと対峙していた。

「はぁ…はぁ…さすがに手強いな…」

聖盾アイギスで攻撃を防いでも貫通ダメージがあるほどの高威力の攻撃は徐々にヴァリアスの体力を奪っていた。

「チュー!」

ギガニードルが前足を上に大きく広げて威嚇する。

デカいだけあって迫力のある姿に思わず身構える。

「このままだと完全にジリ貧なんだけどなぁ…」

ギガニードルと言う名前だけあって、背中のトゲが大き過ぎて迂闊に近寄れないのだ。

背中のトゲは大きいだけで無く、掠るだけでも激痛を伴う神経毒もあるんだ。

「さすがに激痛で動けなくなるのは論外だが…」

僕はギガニードルの行動に合わせて盾でガードする。

「うぐっ…貫通ダメージも大きい…せめて、近づけられれば…」

ギガニードルが背中のトゲで攻撃しようとして、一瞬だけふらついた。

「隙あり!」

僕はやつのトゲの範囲のスレスレを通って柔らかいお腹の下まで潜り込む。

「スキル!シールドバッシュ!」

「チュー?!」

突然の衝撃に驚いたギガニードルが後ろに倒れる。

必死に起き上がろうとするが、背中のトゲが邪魔して上手く起き上がれないようだ。

「スキル!ジャンプ!」

僕はジャンプで空高く飛ぶ。

「一点集中!」

そのまま剣先に集中して重力に引かれていく。

「チュー!チュー!チュー!!」

ギガニードルは激しく抵抗しようとするが、手足が短い為、もがいているようにしか見えない。

そして、剣先がギガニードルのお腹に触れる寸前までくる。

「奥義!勇気ある者の剣ブレイブソード!」

「チュー?!」

ギガニードルの体で一番柔らかいとは言え、SS級のモンスターの名に恥じぬ鋼鉄並みの硬さ。

だが、それでも…

「僕は絶対にお前を倒すんだぁぁぁぁあああ!」

メキメキと音を立てながら、ギガニードルのお腹が避け始める。

「ヂュー!!ヂヂッ!ヂュー!」

ギガニードルが苦しみの悲鳴をあげている。

やがて、ギガニードルの体が半分ほど裂け、ギガニードルが力尽きると驚くほどあっさりとその体を裂く事に成功する。

「はぁ…はぁ…つ、強かった…」

僕はギガニードルを解体して、素材をバッグにしまう。

胃の中にも様々な素材があるが、貴重な物が多い中、到底口に出したくないようなものもある事もよくある話だ。

ギガニードルの胃の中だけで取れるギガニードルの神経毒の元となる劇毒結晶とギガニードルに食べられたモンスター達の素材が少し取れただけで済んだので少しだけ安心する。

「ヒトが居なくて良かった…」

僕はそんな事を呟いて、リリアの方を見る。

「なんとか勝てたわ…」

リリアはそう言って目を閉じた。

僕は急いでリリアの元へ行き、体を起こす。

「お、おい!しっかりしろ!」

「すぅ…すぅ…」

「…え?」

リリアは静かに寝息を立てて居た。

「ね、寝てる…のか?」

僕は思わず脱力しそうになる。

「マジかよ…」

僕は安全そうな場所までリリアを運び、デュークさんが戻って来るのを待つ。

「索敵能力を習得してたらなぁ…」

僕の小さな嘆きは虚しく虚空に響く。

「そうね。こんなにも近くに居るのに分からないもんね。」

驚いて後ろを見るとが僕の目の前にいた。

リリアと違って胸部は平坦で服装はとても野生的であった。

「うわぁぁぁぁあ!!」

「うるさいわね…そんなに驚かなくても取って食ったりしないわよ…」

少女は呆れた様子で僕を見る。

「ご、ごめん…」

僕は素直に謝る。

「別に…」

少女は素っ気ない態度だったが、リリアを見て言う。

「その子、ちょっと見せなさい。ほら、はやくしなさいよ。」

「え?あ、その…」

僕が突然の事で戸惑っていると少女はテキパキと治療を始める。

「こんな状態でよく放置したわね…」

「あ、うん…ごめん…」

「あんたのせいじゃないんでしょ?」

「うん…この辺りにSS級のモンスターが居て…」

少女は意味がわからないと言いたげな表情をしていたが、治療を終える。

「言ってる事の意味がわからないのだけれど…」

「あ、えーっと…」

僕がどう説明しようか迷っていると少女はどうでも良さそうに言う。

「まあ、いいわ…あんた達、弱そうだし、しばらくアタシが一緒に居てあげるわ。」

「ありがとう!とても助かるよ!」

「か、勘違いしないでよね!別にあんた達の為じゃないし、顔見知りでも死なれてたら、夢見が悪いだけだから!」

少女はそっぽ向きつつも目線はリリアを見ていた。

僕は少女に自己紹介をする。

「僕はS級ギルドアルカノイド所属のヴァリアスで、こっちで寝てるのはリリア。よろしくね。」

「ふーん?アタシはフィリアよ。ちゃんと覚えておく事ね。」

フィリアはそういうと右手を出す。

僕がその手を見ているとフィリアが言う。

「なにボサっとしているのよ。さっさと手を出しなさいよ。」

フィリアは頬を赤くしていた。

「え?あ、あぁ…」

僕はフィリアの手を握ってしっかりと握手する。

手を離すとフィリアが背中を向けて小さな声で言う。

「…よろしく…」

そう言って、フィリアは木々の中へと消えていく。

「やっと…見つけた…」

聞き覚えのある声がして振り返る。

「デュークさん!」

「静かに…モンスターが来るわ…」

「す、すみません…」

周りで次々とモンスターが倒される音が聞こえる。

「…誰?」

デュークがヴァリアスに尋ねる。

「多分、さっき知り合ったばかりのフィリアだと思う。リリアが危ないところを治療してくれたんだ。」

「そう…」

デュークは後ろから殴りかかってきたフィリアの拳を片手で受け止める。

フィリアが抵抗してもう片方の拳でデュークを殴ろうとしていた。

「待ってフィリア!その人は僕たちの仲間だよ!」

フィリアはデュークの目の前でピタッと拳を止める。

「あんた、今のは本当なの?」

「本当よ…」

「ふーん…」

フィリアはデュークから離れて拳を下ろす。

「なら、さっさとそうだと言いなさいよね!急いで戻って来て損したじゃない!」

デュークは苦笑いしていた。

「言う前に…飛びかかってきた…」

「う、うるさい!」

フィリアは顔を真っ赤にして大声をだす。

「アハハ…」

こうして僕らはフィリアと言う頼もしい仲間と共に過ごすこととなった。
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