魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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黒の少女

31話《アリスside》

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「見つけたっ!」

私は目の前のオオカミの姿をした災害級モンスターの背後から左の拳を叩きつける。

「グルル?」

モンスターがゆっくりとこちらを向く。

「さすがに素手だと全身がオリハルコンに匹敵する程の硬さの棘の毛皮で覆われてる棘鎧狼カンメルウルフは痛いわね…」

私は棘鎧狼の毛皮で傷ついて血まみれになった左の拳を見ながら言う。

この世界のオリハルコンはダイヤモンドよりも硬いため加工がかなり難しく、純度が上がれば上がるほど指数関数的に硬さが増していくものであり、最高クラスの純度のものになれば神の作ったものにも使用されるほどの絶大な硬さになるのである。

「アオーン!」

棘鎧狼の「咆哮強化ウォークライ」で周囲の木が大きくしなる。

「打撃じゃダメージの入らない相手となると厄介ね…」

私はバッグの中から黄金に輝く一振の剣を取り出す。

「武器なんてもう何年も使ってないけど、拳よりは消耗も少なく済みそうね。」

私がそう言うと棘鎧狼が飛びかかってくる。

「そこだ!カウンター!」

私はクリティカルタイムで最大倍率のカウンターを発動する。

クリティカルタイムは俗に言う攻撃が一番強い距離だ。
カウンターは相手の攻撃の隙をついて反撃するシンプルな技だ。

「ギャウン!」

棘鎧狼の左前脚から血が流れる。

「アオーン!」

怒った棘鎧狼が風魔法を使用して、振り下ろした前足から無数の斬撃を発生させる。

「当たらないわよ!」

私はあちらこちらから飛んでくる斬撃を避けながら、後退して距離を取りつつ剣の魔力を高める。

「未だ旅路に在りし時…我は力、知恵、勇気、王の剣を持つ者!」

剣の輝きが強くなる。

「力を示せ…カリバーン!」

私が剣を勢いよく振るうとそこから極太の高出力光線が発射される。

「グルル?アオーン!」

棘鎧狼は避けようとしつつも魔法耐性を強化する。

光線は目の前の全てを蒸発させる勢いだった。

棘鎧狼の右足が跡形もなく消えていた。

剣の輝きが初めより弱くなる。

「はぁ…はぁ…やっぱり、この剣の魔力を増幅させるのは私自身も魔力消費が尋常じゃないわね…」

私の持つ剣は私が元々持っていたらしい神剣エクスカリバーだ。

聖剣のエクスカリバーが人が作った神剣のレプリカなのに対し、こちらは世界樹の神が作ったとされる神剣なのだ。

この世にこれ以外の神剣エクスカリバーは存在せず、またその力も無限大であるこの剣はによって魔法を扱えない私ですらも、光魔法を扱える様になる程の膨大な光の魔力が込められている。

元々は神剣カリバーンであったが、神剣に力を認められる事で真の姿のエクスカリバーへと変化したのである。

世界樹の神はこの世界の神よりも高位の存在で数多の世界を管理しているとされている。

他にも世界樹の神の作った武具はローブ、鎧、兜、槍、弓、杖、大斧、刀、魔眼の計9種類あると言われていて、弓は代々アルフェノーツ家のが受け継いでおり、その性質上、今はアイフェットが所持している様だ。

魔眼はウェンとオリュンがそれぞれ右眼と左目に所持しているらしい。

「グルル…グルウォーン!」

棘鎧狼が怒り状態になり、魔力が高まる。

「やっぱ、あれじゃ逃げてはくれないかぁ…」

私はを取り出す。

「神剣バルムンクも取り出す事になるのは本当に初めての事だわ。」

神剣バルムンクは元々アリスの物では無かったが、かつて共に冒険者として行動していたアリスの友人から譲り受けた物だそうだ。

アリスの持つ神剣バルムンクは所有者と相対するものを邪悪とし、それを破壊する能力を持つ。

つまり、如何なる障壁も神剣バルムンクの前では紙切れ同然なのである。

世界樹の神が作ったものだけあって、破格の能力を持つのだ。

「グルル!ガオー!」

棘鎧狼の獅子の雄叫びライオネルハウリングによって、周辺の木々が吹き飛び、棘鎧狼を筋肉隆々の姿に変える。

「バルムンクもあるとは言え、厄介な状況になったわね…」

私はバルムンクに魔力を込めて振るう。

「まずは様子見よ!真空刃!」

バルムンクを振り払った軌跡から強引に発生させた風の刃が棘鎧狼の体に直撃する。

しかし、凄まじい衝撃波とは裏腹に棘鎧狼にダメージはほとんど無さそうだ。

「まあ、そう簡単にはいかないわよね。」

私はさらにバルムンクに魔力を込める。

バルムンクが魔力を吸収する。

「邪を滅し、邪を射殺す軌跡よ…我が意に呼応せよ!」

バルムンクの魔力が青く輝く。

心花解放しんかかいほう心名しんめいバルムンク!」

バルムンクが青い魔力で刀身を強化する。

「グルル…ガオー!」

棘鎧狼が尻尾を振って風の魔力を纏って、格段に殺傷能力の上がった追尾性のある棘を無数に飛ばす。

「そんなの…」

私はバルムンクを勢いよく振って全ての棘を破壊する。

「効くわけねぇだろ!」

私は後退りしようとする棘鎧狼に一瞬で近づく。

「逃がすかよ」

振り下ろしたバルムンクの軌跡に沿って棘鎧狼が綺麗に真っ二つに裂け、絶命させる。

「ふぅ…」

私はエクスカリバーとバルムンクを収納する。

「久々に武器を使ったら、思いの外、疲れちゃったわね。」

私は自身の底無しの魔力を持ってしても、かなりの消費である事は理解していた。

「そう言えば…」

私はある事を思い出す。

「昔は魔法を使えてたような…」

私がそんな事を考えていると「ドゴオオォォォォォォォン!」と言う強烈な爆音と共に莫大な力の衝撃波を感じ取る。

「おわっとと…」

私は大きな魔力反応が一つ消えている事に気がつく。

「リリアの方も無事に片づいたみたいね。」

私は棘鎧狼の処理をした後に茉莉たちと合流しに行く。
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